「チェアリフト」の版間の差分

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BATACHAN (会話 | 投稿記録)
各記述の全般的な部分修正。「歴史」中のチェアリフトの設備寿命記述につきましては「構造」に移動しました。
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始点から終点までは平面的には直線である必要がある。高速リフトで乗ったまま進行方向が変わるものもあるが、2つのリフトをレール等の機構で渡っていくものである。
 
自動循環式は固定循環式に比べて2倍程度の速度で運行可能でありながら、乗降部分ではより低速で運転することが出来る。スキー場では、自動循環式リフトは'''高速リフト'''と呼ばれることが多い。握索装置の劣化や整備不良によるゴンドラリフト(チェアリフトと同じ構造を持つ)の事故が発生(索の上を滑走するか、最悪落下する)した事から一時問題になったことがある。
 
またこれらとは別に[[滑走式リフト]]と呼ばれる、スキー・スノーボードの利用客が[[ロープ]]を直接掴む、またはロープや[[ケーブル]]に取り付けた搬器に跨がる・掴まる、あるいはバー等の支持具に掴まる・背中や腰にあてがう事で移動するリフトも存在する。
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世界で2番目のチェアリフトは、[[1938年]]に[[オレゴン州]]マジックフッドに設けられたリブレット社([[:en:Riblet|Riblet]])のマジック・マイル([[:en:Magic Mile|Magic Mile]])と呼ばれるチェアリフトで、これは当時世界最長であった。これに先立って設けられたリフトもあったが、それらは採鉱運搬用に建設されたものをチェアリフトに転用したものであった(例えば、[[ユタ州]][[パークシティ (ユタ州)|パークシティ]]にあった採鉱用索道は、1939年に人間用・スキー用に改造されている)。
 
ヨーロッパで最初のチェアリフトは、[[1940年]]に[[チェコ]](当時の[[チェコスロバキア]])に建設されたものである。また日本で最初のチェアリフトは、[[1946年]](昭和21年)にかつて[[北海道]][[札幌市]]の[[藻岩山]]に進駐軍専用として作られた「[[札幌スキー場]]」に架設されたものだが、現存せず、コンクリート台座の遺構だけが残っている。なお、民間用として最初に架設されたリフトは[[群馬県]]の「草津国際スキー場」(1948年(昭和23年)、現・[[草津温泉スキー場]])のものである。屋外に設置する金属構造物であるため、設備寿命は支柱でもおよそ30年~50年であり、索道や搬器はもっと短い
 
=== リフトの発展 ===
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初期の滑車は鋼鉄のみの車輪だったが、支曳索のケーブル表面に作成上生じる凹凸や通過する搬器の握索装置による振動を滑車が拾って騒音を発するため、現在は滑車に[[ゴム]]巻きを施して騒音を軽減したものが使われている。
 
初期の支柱は[[トラス]]構造の鉄塔が用いられ、スキーリフトにおいては誤って、または故意に鉄塔の隙間に[[ストック (スキー)|ストック]]などを差し込んでしまってストックなどの破損や搬器からの転落事故とならないように、上り側のみに防護板が取り付けられていた。現在は大半が円筒及び方錐形の支柱となり、ストックなどによる事故は起こり得なにくくなっている。
 
支柱は天頂部に[[電線]]を架設し、前述の脱索防止各装置のデータ送受信の他に、リフトの乗降場間とスキー場内施設等への電力供給や[[電話]]などの通信用として、[[電柱]]の代わりに使われる事もある。
 
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File:七飯第1高速リフト1(2018.03).jpg|thumb|チェアリフト(クワッドリフト)支柱(2018年3月撮影・函館七飯スノーパークにて)
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初期タイプのシングルリフトやペアリフトの座面は木板またはプラスチックが露出していたが、スキー用の寒さ対策として座面部分に[[ウレタン]]等のシートを後付け改良するケースがあった。現在の搬器は最初から防寒シート付きの座面構造となっている。
 
 
 
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File:シングルリフト(1985年4月撮影)当時のニセコ国際ひらふアルペンリフト(現・ニセコマウンテンリゾート グラン・ヒラフ)のアルペン第3A線リフト.jpg|thumb|シングルリフト(1985年4月撮影)当時のニセコ国際ひらふアルペンリフト(現・[[ニセコマウンテンリゾート グラン・ヒラフ]])のアルペン第3A線リフト
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チェアリフト自体は屋外に設置する金属構造物であるため、設備寿命は支柱でもおよそ30年~50年であり、索道や搬器はもっと短い。
 
== 乗車定員による区分 ==
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座席の背もたれや手すりが1人乗りゆえに小さい事が多く、時にスキーリフトでは背もたれや手すりを付けていない、座面だけのものもある。
 
降車時はスキーリフトの場合、搬器から外側に踏み出して移動する必要がある事から、初心者は降車時に戸惑うケースもある。また、上級者専用コースにスピードの速い「高速シングルリフト」なるものが設置されている場合があり、これは乗降時のスピードも速いので<ref name="speed down-1">ただし係員への申し出により、乗降時の減速操作を行ってくれる場合がある。</ref>リフトの乗降に技術が必要で、初心者には不向きである。なお、一部のシングルタイプスキーリフトにおいて、降車後に前方のスロープを滑り降りる形式があり、降車が幾分楽なものもある。<!--[[札幌藻岩山スキー場]]の第一リフトA線降車停留場において確認出来ました。-->
 
揺れが大きくなりやすいため、乗車中に何らかの理由でリフトが停止すると危険な状態となる場合もあるので、通常は搬器のバーにしっかり掴まるか、腕を掛けている事が推奨されている。
 
近年では輸送力に勝る他の種類のリフトが増え、その数は減少している。
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'''クワッドリフト'''は、4人乗りのチェアリフトである。
 
4名が横並びに座れる形態をしている。いすを一人分ずつ区切ったものもある。クワッドを必要とする設置個所では輸送力が求められるため高速リフトである場合が多く、それに伴い可動式の[[屋根]](フード)に覆われるものもある。これにより[[雪]]や[[雨]]、[[風]]から体を守り、安全で快適に、高速に乗客を輸送することが出来る。このフードは手動で開けることが出来るものがあるが、棄権危険防止のため乗降時と緊急時を除いては運行主体側より乗車中の開閉を禁止されているケースがほとんどである。
 
その形状から中央で一人乗りをすると把持する箇所がなくなるため、基本的に転落防止の可動式手すり(セーフティバー)があり、足(スキー・スノーボード板)掛けのある場合もある。また、トップシーズン前後に登坂用として使用される可能性のあるリフトについては、座席背後にスキー板ハンガーを装備するものもある。
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=== その他の禁止されている事項 ===
* '''降車停留場における、折返装置部分での回り込み'''
: 初期のシングルリフトにおいて、降車部分と同じ雪面の高さが折返装置部分まで続いている上に[[#安全装置|緊急停止装置(後述)]]が無いものがあり、遊び半分で折返装置部分までそのまま乗車を続けて回り込んだ結果、雪面に接するスキーに引っ張られた力が支曳索にも伝わって脱索する事故が起こったケースがあるため、この場合は折返装置部分に近づいてはならない。なお、ほとんどのペアリフト以上の輸送能力の高いリフトや一部のシングルリフトである場合は、降車位置の前方にスロープが設けられてそのまま滑り降りて降車する方法であるため場合、折返装置位置の雪面は降車位置より低くなるのでこのような事故は起こりにくくなっている。またこのケースで、降り損なって折返装置を回り込んだ後にある緊急停止装置を作動させるなど、[[#チェアリフト利用時の注意|上記条文 '''降車時''' 2]]に従う場合はこの限りでは無い。
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File:チェアリフト折返装置と緊急停止装置の位置関係.jpg|thumb|チェアリフト折返装置と緊急停止装置の位置関係(2018年3月撮影・函館七飯スノーパークにて)
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* '''リフト下の立ち入り禁止'''
: リフト下はゲレンデ上に架設されている場合以外で、通常はコースとして設定されていない事が多く、地形や雪の状況などによっては遭難や搬器・支柱等の障害物への衝突等のを含めた危険が伴うため、立ち入り禁止規制とされている。リフト下に落とし物をした場合は、勝手に立ち入って拾いに行かず、スキー場を含む運行主体の係員などにその旨を告げて対処してもらう。
 
=== 逆走事故 ===
[[2018年]][[3月18日]]、[[ジョージア (国)|ジョージア]]・グダウリの[[:en:Gudauri|Gudauri Ski Resort]]にある固定循環式クワッドリフトが突如高速で逆回転し、2基の搬器に乗車中の客が乗車停留場の折返装置で振り落とされ、その衝撃で搬器の握索装置が支曳索から離脱して留まり、そこへ他の搬器も次々と衝突する事態となった。この事故により、搬器から振り落とされたり危険回避のため飛び降りるなどして11名が負傷した。事故の状況は動画撮影されたものが[[YouTube]]等にも投稿されている。この事故の原因については、リフト係員が誤って逆回転操作を行ってしまったという説と、事故発生当時に停電が起こったという目撃情報による説が報じられている<ref name="Chairlift-Accident-News-01">[https://www.excite.co.jp/News/world_clm/20180318/Techinsight_20180318_485780.html ジョージア・リフト暴走事故に人災説 リゾート無料利用券配布で幕引きの可能性も<動画あり>]2018年3月18日exciteニュースより。2018年3月23日閲覧。</ref>。
 
海外でのチェアリフト逆走事故は他に、[[2015年]][[3月24日]]に[[アメリカ合衆国|アメリカ]]・[[メイン州]]の[[:en:Sugarloaf (ski resort)|シュガーローフマウンテンリゾートスキー場]]で多数の客を乗せたチェアリフトが1分間にわたって逆走し、乗客のうち7名が転落、うち3名が病院に救急搬送されるという事故も発生している<ref name="Chairlift-Accident-News-02">[https://www.excite.co.jp/News/world_clm/20150324/Techinsight_20150324_105908.html スキー場でリフトから7名が転落する事故、約1分にわたり逆回転。(米)]2015年3月24日exciteニュースより。2018年3月23日閲覧。</ref>。
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=== 安全装置 ===
* '''脱索事故対策'''
:* 脱索検知装置
:: 起点・終点停留場及び支柱の滑車に取り付けられている。脱索の際に外れた支曳索が検知装置に接触するか、脱索時に支曳索から受けていた張力から解放された時の滑車の急激な動揺を検知した際に作動して自動的にリフトを止める。
:* 風速計・風向風速計
:: リフト1線中の停留場や一部の支柱に、全体で1個または複数個設置されている。搬器の過大な揺さぶりが生じる危険性のある基準を超えた風速や風向が検知された場合に自動的にリフトを減速し、さらに強い風速では停止させる。風速の設定はリフトの架設場所の地形や気象条件等によって変わる。
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File:脱索検出装置1(赤矢印部分).jpg|thumb|脱索検知装置1(赤矢印部分)
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File:リフト支柱に取り付けられた風向風速計.jpg|thumb|リフト支柱に取り付けられた風向風速計
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* '''その他安全対策'''
:* 係員詰め所
 
:: 従来からある。起点・終点停留場に係員が1名以上在中して監視し、乗降客の転倒・乗り損ない・降り損ない・転落(停留場が地面から離れた[[舞台|ステージ]]状となっている場合)などの緊急時に緊急停止等の対応をする。乗車用の[[改札]]を兼ねている場合もある。
:* 係員詰め所
:* 緊急停止スイッチ・減速スイッチ
:: 従来からある。起点・終点停留場に係員が1名以上在中して監視し、乗降客の転倒・乗り損ない・降り損ない・転落(停留場が地面から離れた[[舞台|ステージ]]状となっている場合)などの緊急時に緊急停止等の対応をする。乗車用の[[改札]]を兼ねている場合もある。
:: 乗降客の転倒・乗り損ない・降り損ない・転落(停留場が地面から離れたステージ状となっている場合)などの緊急時を係員が発見した場合に作動させ、リフトを止める。また、初心者等がリフトを利用する時に減速を申し出た際の減速用スイッチが併設されている場合もあり、安全な乗降車をうながす。減速スイッチは近年の固定循環式リフトに設けられるようになった。
:* 緊急停止スイッチ・減速スイッチ
:*緊急停止装置
:: 乗降客の転倒・乗り損ない・降り損ない・転落(停留場が地面から離れたステージ状となっている場合)などの緊急時を係員が発見した場合に作動させ、リフトを止める。また、初心者等がリフトを利用する時に減速を申し出た際の減速用スイッチが併設されている場合もあり、安全な乗降車をうながす。減速スイッチは近年の固定循環式リフトに設けられるようになった。
:: 乗客が降車場所で降りるタイミングを失って降り損なった際にそのまま乗車した上で、乗客の足が触れるようにして設けられたバー型の緊急停止装置。バーが触れると作動してリフトを止める。近年のリフトに設けられるようになった。[[滑走式リフト#ロープトゥ・リフト|ロープトゥ・リフト]]の場合、折返装置に至る手前に[[コネクタ]]に取り付けたワイヤを張り、足がワイヤに触れてコネクタを引き抜く事で停止させるタイプもある。
:* 落下防止対策 乗客の所持品、および乗客自身の落下による衝突を防ぐため、基本的に索道下は進入禁止としている場合が多く、道路や通路、滑走コースを越える場所では網や金属フェンスなどで十分に対策をする必要がある。 <br />
* 落下防止対策
:*緊急停止装置
:* 落下防止対策 乗客の所持品、および乗客自身の落下による衝突を防ぐため、基本的に索道下は立ち禁止としている場合が多く、道路や通路、滑走コースを越える場所では落下事故防止網や金属フェンスなどで十分に対策をする必要がある。 また、降車停留場がステージ状となって地上から高い位置にある場合にも落下事故防止網が設置されている事がある。<br /!--[[札幌藻岩山スキー場]]のリフトで確認しました。これについては写真撮影予定です。-->
:: 乗客が降車場所で降りるタイミングを失って降り損なった際にそのまま乗車した上で、乗客の足が触れるようにして設けられたバー型の緊急停止装置。バーが触れると作動してリフトを止める。近年のリフトに設けられるようになった。[[滑走式リフト#ロープトゥ・リフト|ロープトゥ・リフト]]の場合、折返装置に至る手前に[[コネクタ]]に取り付けたワイヤを張り、足がワイヤに触れてコネクタを引き抜く事で停止させるタイプもある。
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File:降車停留場に設置の緊急停止装置.jpg|thumb|チェアリフト降車停留場に設置の緊急停止装置(2018年3月撮影・函館七飯スノーパークにて)バーに足が触れる事で作動して停止する。
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File:05 旧来のロープトゥ・リフト動力装置手前の降車位置に設けられた緊急停止装置.jpg|thumb|旧来のロープトゥ・リフト動力装置手前の降車位置に設けられた緊急停止装置(2018年2月撮影)バーに足が触れる事で作動して停止する。
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:* 監視カメラ
:: 長大リフトである場合、リフト中間の異常を発見するために設けられる場合がある。
 
== 脚注 ==