「主題優勢言語」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
Mkpoli (会話 | 投稿記録)
m +リンク
編集の要約なし
1行目:
{{言語類型論}}
'''主題優勢言語'''(しゅだいゆうせいげんご、{{lang-en-short|topic-prominent language}})とは、通常の文には<ref>英語では命令文の場合は異なる。</ref>[[統語論|統語]]<ref>syntax。「構文」とも</ref>的に「[[主語]]」<ref>ここでは、英語などいくつかの言語において見られる(必ずしも多数派というわけではない)、「述語形を特権的に規定(ドミナント)して文を成立させるもの」という言語学上の用語の「主語」であって、たとえば日本語話者が日常の文章で考えている「主語」とは異なる。</ref>が存在する'''主語優勢言語'''(subject-prominent language)に対置されるものとして、そういった「主語」を必ずしも要さず、また、それに相当する「[[話題|主題]]」が、統語的とは限らず言語によって格[[助詞]]などで示されたりする、といったような言語である。'''話題卓越性言語'''などともいう。日本の周辺の例としては、[[日本語]]、[[朝鮮語]]、[[中国語]]、[[インドネシア語]]など東・東南アジアの諸言語がある([[東アジア言語]]参照)。[[言語類型論]]的観点から[[チャールズ・N・リー]]とサンドラ・トンプソンが1976年に提唱したものである<ref>Li, Charles N. and Thompson, Sandra A. 1976. "Subject and Topic: A New Typology of Language". In Charles N. Li. ''Subject and Topic''. New York: Academic Press.
'''主題優勢言語'''(しゅだいゆうせいげんご、{{lang-en-short|topic-prominent language}})とは、[[文]]における[[話題|主題]](話題)が[[統語論]]的に決まった方法で明示され、それに比して[[主語]]<!--([[主格]])-->が重視されない[[言語]]を指す。'''話題卓越性言語'''などともいう。
 
代表的なものとして[[日本語]]、[[朝鮮語]]、[[中国語]]、[[インドネシア語]]など東・東南アジアの諸言語がある([[東アジア言語]]参照)。これと対立するタイプの言語を[[主語優勢言語]](subject-prominent language)と呼ぶ。これらは[[言語類型論]]的観点から[[チャールズ・N・リー]]とサンドラ・トンプソンが1976年に提唱したものである<ref>Li, Charles N. and Thompson, Sandra A. 1976. "Subject and Topic: A New Typology of Language". In Charles N. Li. ''Subject and Topic''. New York: Academic Press.
</ref>。
 
==概要==
主題(話題語)は、日本語のように[[係助詞]]「は」で示されるもの、中国語のように語順(文頭)で示されるものがあり、見かけ上主語と区別しにくい場合も多い。また、主語の無い文は、他にも、[[屈折語]]では屈折によって明確であるために主語が存在しない表現があったり、近年の研究としては尊敬表現との組合せによる省略といったものもあり、主題優勢言語のみの特徴というわけでもない。
 
[[英語]]など<!-- 上で挙げられた例だけでも主題優勢言語はそれなりの数があるので、主語優勢言語が「多く」と単純に言い切れるほど多いとは考えにくい。→(そのほか世界の多くの言語)-->の主語優勢言語と比較すると、以下のような特徴が見られる。
*一般に「[[主語を示す必要がな]]」のある言語に見られる(詳しは当該記事を参照)、動詞の人称変化も、英語 “''It'' rains.” のよう非人称どといった文に対する「主語」の統語的な特権といったのがないこと
*主語が統語的にどうしても必要、ということがない。たとえば、英語で見られる “''It'' rains.” のようにして主語を置く必要がない。
*日本語「象は鼻が長い」のようないわゆる「総主文」<!---(あくまでも「いわゆる」であり本当に主語が二重であるわけではない){「象が鼻が長いこと」のように二重主格文にすると、主語が二重と言えなくもないです。主語と認めるか否かは立場次第ではないでしょうか}--->が存在する。このような日本語表現を二重の主語と解釈するかどうかは議論があるが、中国語においてはこのような表現は「主謂謂語句」、すなわち「主語+謂語(述語)」の組み合わせが副文として述語になっていると解釈する。
*[[料理]]を注文するときにいう「ぼくはうなぎだ」(うなぎ文)<ref>「うなぎ文」の呼称は[[奥津敬一郎]]による。次を参照。{{cite book|和書