「実質賃金」の版間の差分

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労働者の賃金は[[貨幣]]によって支払われるが、この貨幣によって購買できる物の量は、その時の物価によって左右される。たとえ労働者に名目上の賃金として支払われる貨幣の金額が同じでも、物価の変動によって貨幣の価値は上がったり下がったりしているので、実質的な賃金は増えたり減ったりしていると言える([[インフレ]]・[[デフレ]])。そのため、労働者の賃金の変化を比較するためには、労働者が賃金として受け取った貨幣の金額(「名目賃金」)を単純に比較するだけでは駄目で、名目賃金から物価上昇や下落などの物価変動部分を取り除き、実質的な賃金(「実質賃金」)の数値を算出する必要がある。
 
労働者が貨幣として受け取った賃金の金額(「名目賃金」、いわゆる「現ナマ」)の金額が上がったり下がったりする方が、「給料が上がった」「給料が下がった」という労働者の実感に近く、一般社会で「賃金」と言った場合は「名目賃金」を指すことが多いが、国家の経済を分析する上においては、物価の変動を考慮した実質的な賃金の数値を用いないと、その国の年ごと・月ごとの労働者の賃金の比較はできず、また2国間の相対的な労働者の賃金の比較もできない。そのためこれらの用途には、「賃金」の数値としては「実質賃金」の数値が主に使われる。
 
なお、物価の変動を考慮せず、名目上の賃金が上がったり下がったりしたことのみをもって「給料が上がった」「給料が下がった」と考えるのは、人間の[[錯覚]]であるが([[貨幣錯覚]])、実質賃金が下がっている(名目賃金の上昇以上に物価が高くなっている)にもかかわらず散在してしまったり、実質賃金が上がっている(名目賃金の下降以上に物価が安くなっている)にもかかわらず貯蓄してしまったりして、労働者の消費活動に影響を与えるので、経済の指標としては「名目賃金」の値も重要となっている。