「古今和歌集」の版間の差分

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=== 定家本 ===
[[ファイル:Kokin Wakashu - Reizei-ke Shiguretei Bunko.jpg|thumb|180px|「定家本」(嘉禄二年四月九日書写本) 表紙の画像。題号の文字は定家ではない後人の筆である。[[冷泉家時雨亭文庫]]蔵。]]
[[藤原定家]]は確認できるだけでも17回『古今和歌集』を書写しているが、そのうち自筆本が2種、転写本系統のもの9種が今に伝わる。その本文については[[藤原俊成|俊成]]筆昭和切を底本とし、校訂を他本によって行っている。ただし俊成本と同じく定家本も伝本によって本文に異同があり、巻末に真名序が有る本と無い本がある。このうち重要なものについて以下4種を挙げる。
 
* '''貞応元年十一月二十日書写本''' - 定家の自筆本は現存しない。真名序を欠く。
** [[高松宮]]家旧蔵伝[[二条為世]]筆本 - 定家自筆本を[[寛元]]元年(1243年)に書写し、さらにそれを[[文永]]10年(1273年)に転写した旨の奥書を持つ。『[[日本古典文学全集]]』([[小学館]])底本。
* '''貞応二年七月二十二日書写本''' - 流布本。いわゆる「貞応本」。これも定家の自筆本は現存していない。巻末に真名序を持つ。
** [[冷泉家時雨亭文庫]][[藤原為家|為家]]自筆奥書本 - 貞応二年本の現存最古の写本で、かつ最善の本と考えられる。
** [[梅沢彦太郎]]旧蔵本 - 定家の子孫[[二条為明]]が[[元享]]4年(1324年)9月に書写したもの。この本は同年10月に為明の祖父[[二条為世]]が、[[頓阿]]に[[古今伝授]]を行うために用いられており、「宗家相伝本」と呼ばれる。[[重要文化財]]、[[東京国立博物館]]<ref>[http://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/210669 古今集〈二条為明筆/〉 文化遺産オンライン]</ref>。『[[日本古典文学大系]]』([[岩波書店]])底本。
** [[今治市河野美術館]]蔵『詁訓和歌集』 - 為定本の転写本。[[二条為定]]が[[文保]]2年(1318年)に定家自筆の貞応二年本を書写し、それを[[明暦]]3年(1657年)ごろ転写したもの。『[[新日本古典文学大系]]』(岩波書店)底本。
** [[北村季吟]]『八代集抄』 - [[天和 (日本)|天和]]2年(1682年)刊。近世に広く流布した刊本。『[[新潮日本古典集成]]』([[奥村恒哉]]校注)、『[[ちくま学芸文庫]]』([[小町谷照彦]]校注)底本。
* '''[[伊達家旧蔵無年号本古今和歌集|伊達家旧蔵無年号本]]''' - 定家自筆本。[[伊達政宗]]が所持して後、[[伊達家]]に伝わったことから「伊達本」と通称される。近代以前は流布しなかったが、近年底本として用いられることが多い。真名序を欠く。『[[新編国歌大観]]』、『[[講談社学術文庫]]』([[久曾神昇]]校注)、『[[角川文庫]]』(新版、[[高田祐彦]]訳注)底本。
* '''嘉禄二年四月九日書写本''' - 定家自筆本。いわゆる「嘉禄本」と称されるもので真名序を欠く。冷泉家の古今伝授に用いられる。
** [[陽明文庫]][[藤原為相]]筆本
** [[国立歴史民俗博物館]]蔵高松宮旧蔵本
 
平成22年(2010年)には、定家本系統で[[鎌倉時代]]初期の写本も見つかっている<ref> [http://www.lib.konan-wu.ac.jp/toshokanPDF/library%20bulletin%20No.26.pdf 甲南女子大学蔵「古今和歌集」について] ・[http://gakuen.konan-wu.ac.jp/gallery/rarebook/kokin.html 伝慈円筆『古今和歌集』]</ref>。下記はその概要。
* '''伝[[慈円]]筆古今和歌集''' - 定家本系。鎌倉時代初期―中期頃の書写(定家存命中の書写と考えられる)。仮名序・真名序の両序を持つ完本としては最古のもの。親本は定家本の中でも初期のものとされる。[[甲南女子大学]]蔵。和泉書院から影印本が刊行されている([[米田明美]]補遺・解題)。
 
== 脚注 ==