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{{Infobox Musician <!--Wikipedia:ウィキプロジェクト :音楽家を参照-->
| Name = スティーヴィー・レイ・ヴォーン
| Img = Stevie Ray Vaughan, 1989.jpg
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| Instrument = [[ギター]]<br/>[[ヴォーカル]]
| Genre = [[ブルース]]<br/>[[ブルース・ロック]]
| Occupation =  [[ミュージシャン]]
| Years_active = 1975年〜1990年
| Label = [[エピック・レコード]]
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| Notable_instruments = [[フェンダー (楽器メーカー)|フェンダー]]・[[ストラトキャスター]](ナンバー・ワン)
}}
'''スティーヴィー・レイ・ヴォーン'''('''Stevie Ray Vaughan''', [[1954年]][[10月3日]] - [[1990年]][[8月27日]])は、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[ブルース]]・[[ギタリスト]]、[[作曲家]]、[[歌手]]。本名はStephen Ray Vaughan (Vaughan(スティーヴン・レイ・ヴォーン)。[[アルバート・キング]]、エルモア・ジェームス、オーティス・ラッシュらの強い影響を受けていた。同郷のジョニー・ウィンターの後継者的な存在だった。兄はファビュラス・サンダーバズのジミー・ヴォーン。
 
「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」において2003年は第7位、2011年の改訂版では第12位。
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スティーヴィーは主に[[フェンダー・ストラトキャスター]]を愛用した。
 
==== ナンバー・ワン ====
最も有名なストラトキャスター「ナンバー・ワン」は、彼がそれまで使用していた黒いストラトキャスターの修理を頼みにオースティンのレイズ・ミュージック・エクスチェンジを訪れたところ、壁に展示されていた中古のストラトキャスターに一目惚れして、交換して入手したものである。元々は[[クリストファー・クロス]]がこの店に下取りに出していた個体であるという。彼が入手した当時の仕様は1963年製の[[ハンノキ|アルダー]]・ボディ、ネックは1962年12月製のDサイズで[[ローズウッド (木材)|ローズウッド]]指板のラウンド貼り、ピックアップは1959年製、ピックガードは白であった<ref>[http://www.fender.jp/artist/detail.php?aid=fa_0078 スティーヴィー・レイ・ヴォーン・ストラトの真実]</ref>。
 
その後、ピックガードは[[ホログラム]]ステッカーを切り出した"SRV"のロゴが貼られた黒いピックガードに交換され、最終的にはSRVのロゴを溝状に刻んだ、後にシグネイチャーモデルとして発売される物と同じ書体のロゴが奢られたピックガードに交換された。フレットは彼が「ベースフレット」と呼んでいた[[ジム・ダンロップ]]社のいわゆるジャンボフレットである6100番に打ち替えられた。トレモロユニットも左利き用のものへと換装された。ペグはオリジナルのクルーソン社製から、金メッキが施されたSharller(Sharller(シャーラー)製のロトマチックペグで、パール柄の樹脂製のペグボタンのタイプに交換されていた。
 
当初のネックはフレット打ち替えの際に指板を削正(弦の張力や湿度変化などで歪んだ指板面を削って整形すること)出来る限界に達した為、1989年に同じくSRV所有であったストラトキャスター(通称「スコッチ」)のものに交換されている。更に1990年にコンサート会場で機材が落下する事故が発生し、「スコッチ」から移植されたネックも折損した。そこで当時のSRVのギター・テクニシャンであったレネ・マルティネスがフェンダー社のカスタムショップに1963年仕様のストラトキャスターのネックの新作を依頼し、SRVがこのギターを入手して以降では3本目のネックとして「ナンバー・ワン」のボディに取り付けられた<ref>[http://www.fender.jp/artist/detail.php?aid=fa_0078 スティーヴィー・レイ・ヴォーン・ストラトの真実]</ref>。
 
スティーヴィーの没後、このギターが彼の棺に納められたという情報が一時流れたが、まったくのデマである。
 
==== レニー ====
彼の遺したギターは1980年代のシャーベル社(Charvel)(Charvel)製のメイプル指板のネックが付けられたストラトキャスター"レニー"が、[[2004年]]にクリスティーズのオークション<ref>[[エリック・クラプトン]]が自費で設立したアルコールとドラッグ中毒のリハビリ施設「Crossroad Centre」の運営資金を集めるために、「[[ブラッキー (ギター)|ブラッキー]]」を含むエリック自身のギターコレクションや、主旨に賛同したギタリストから寄贈されたギターをクリスティーズのオークション「Crossroads Guitar Auction -Eric Clapton And Friends For The Crossroads Centre」に出品、その中にジミー・ヴォーンから出品された[[フェンダー・カスタムショップ]]製の「Stevie Ray Vaughan Tribute Stratocaster」等と共に"レニー"が出品された。</ref>で落札された以外は全て兄のジミー・ヴォーンが所有、管理している。"レニー"はこのギターをプレゼントしたという当時の妻の名前で、ボディがウォルナットブラウンに塗り替えられ、ブリッジ後部に旧いマンドリンから外したピックガードを埋め込んでいる個体。当時[[シャーベル]]社(Charvel)(Charvel)に在籍していた現フェンダー・カスタム・ショップのマーケティング・マネージャーであるマイク・エルドレッド(Mike(Mike Eldred)Eldred)がビリー・ギボンズ([[ZZ Top]])のオーダーで製作したものをスティーヴィーが譲り受け「レニー」に取り付けられた。トレモロユニットはオリジナルの物からマイティマイト社製の物に交換されている。
 
==== その他 ====
この他、ストラトキャスターでは、イエローホワイトのボディに、当時のギターテクニシャンであるルネ・マルティネス(スティーヴィーの没後は[[カルロス・サンタナ]]や[[ジョン・メイヤー]]等を担当している)が製作した赤いマーブル模様のピックガードを取り付けた"スコッチ"、黒の上から赤をオーバースプレーされたオリジナルのボディを持ち、何度と無くネックを交換されていた"レッド"、さらに元[[ヴァニラ・ファッジ]]のヴィンス・マーテルから贈られたという"イエロー"を所有していた。"イエロー"は、元々[[ハムバッキング|ハムバッカー]]を四つ強引に取り付ける改造がなされており、後にピックガードごと新しく作りかえられているが、ピックアップがフロントのシングルコイル一つだけと言う、非常に変わったストラトキャスターだった。ピックアップを取り付けた後が大きな空洞となっているため、本人曰く「ベルの様に鳴る」「今のアンプシステムとは合わないから使えない」と語っていた一本だったが、1987年頃に盗難に遭っている。
 
テキサスにあるギターショップ"Charley's Guitar Shop"のチャーリー・ワーツ(故人)が製作したストラトキャスタータイプ'''"E-flat Model"'''、ビリー・ギボンズからプレゼントされた'''"Hamiltone"'''の、「メイン」と呼んでいたギターもある。"E-flat Model"は[[ビブラート・ユニット|シンクロナイズドトレモロ]]が無い、[[ダンエレクトロ]]のリップスティックピックアップのコイルを巻き直した[[シングルコイル]]ピックアップが取り付けられ、コントロールノブがボリュームとトーンのみの仕様である。このギターは後にフェンダー・カスタムショップが同一仕様のギターを製作したが、Charley's Guitar Shopからのクレームにより生産を取り止めている。
 
ビリー・ギボンズから贈られた"Hamiltone"は同ブランドを起こしたジェイムズ・ハミルトンなる人物が製作したストラトキャスタータイプで、ボディが木目が美しい[[カエデ|フィギュアドメイプル]]をボディとネックに使用したスルーネック構造のギターで、"Could'nt stand the weather"のビデオクリップでも登場したギターである。[[黒檀|エボニー]]製の指板にはパールでスティーヴィーの名前の[[象嵌|インレイ]]が施され、ボディとネックの外周にバインディングが施された豪華なギターである。太目のネックと張りのあるトーンがとても気に入っていたようで、ステージでは"ナンバー1"とこのギターがメインギターとなっていた。プレゼントされた当初は[[EMG]]のアクティブサーキット付きピックアップが使用されていたが、EMGの独特の癖がある音が気に入らなかったのか(「Couldn't Stand The Weather」のプロモーションビデオでギターが濡れてピックアップが壊れた為とも言われる)、後に[[セイモア・ダンカン]]製のストラトキャスター用パッシブピックアップに交換され、更にフェンダーの「テキサス・スペシャル」に交換されている。このギターのスケールはヴォーンの半音下げチューニングに合わせて通常のフェンダーが採用している弦長より長いスケールが選択されていた。スケールが長くなると同じチューニングでは弦のテンションが強くなる為、テンションが緩んだ弦によってノイズやチューニングの狂いを抑制するという狙いがあったとされる。
 
この他にも[[ギブソン (楽器メーカー)|ギブソン]]・[[フライングV]](1970(1970年代に限定生産された"メダリオン")や、[[エピフォン・カジノ]]、ナショナル・[[リゾネーターギター]]等を使用していた。
 
彼はこれらのギターに一弦が.013から始まるかなり太い弦を張り、ほとんどの曲で半音下げチューニングにしていた。ネックは大きく反っていて弦高も12フレットの位置で約3mm弱と非常に高く、彼のギターを手にした事がある人は一様に「とても弾けた物じゃない」「並みの握力では弦を押さえる事も出来ない」と言うほど極端なセッティングであった。生前このセッティングについて「とにかく手が痛くなるし演奏するのは大変だけど、この方がいいトーンが得られるんだ」とコメントしている。また彼はティアドロップ形の[[ピック]]の尖った部分ではなく丸い部分を弦に当てて弾いていた。
 
=== アンプ ===
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=== トリビュート・ストラトキャスター ===
2004年に[[フェンダー・カスタム・ショップ|フェンダーカスタムショップ]]がトリビュート・シリーズ第1弾としてスティーヴィー・レイ・ヴォ−ン「ナンバー・ワン」ストラトキャスターを100本製作した。マイク・エルドレッド(Mike(Mike Eldred)Eldred)、マスタービルダーであるジョン・クルーズ(John Cruz)等が採寸や傷、錆等の特徴を詳細に調べ、スティーヴィーが所有していた実物をほぼ完全な形で復元した。製作はジョン・クルーズ(John Cruz)によるものである。
 
2007年にクリスティーズでギターセンター社が$623,500で落札した「レニー」を、ギターセンター社企画でフェンダーカスタムショップがスティーヴィー・レイ・ヴォ−ン「レニー」ストラトキャスターを製作した。ヘッドに入ったクラッキングや、ブリッジ後方に施されたインレイ(100(100年程前のマンドリンのピックガードを埋め込んだ物)、オリジナルとは違うブリッジ、更にケースに至るまで再現されている。
 
== 影響を受けたギタリスト ==
スティーヴィーが影響を受けたギタリストとして真っ先に挙げていたのが、兄[[ジミー・ヴォーン]]である。他は[[アルバート・キング]]、[[ヒューバート・サムリン]]([[ハウリン・ウルフ]]のバンドで活躍したギタリスト)、ラリー・デイヴィス、[[ライトニン・ホプキンス]]、[[アルバート・コリンズ]]らのブルース・ギタリストたちもあげている。またブルース・ロックの[[ジミ・ヘンドリックス]]、[[ロニー・マック]]からの影響も顕著である。
 
ジャズ系のギタリストでは、「[[ケニー・バレル]]、[[グラント・グリーン]]なんて大好きだから。[[ジャンゴ・ラインハルト]]もだね。それに、もちろん、[[ウェス・モンゴメリー]]も。」と、何人かの名前を挙げていた(「ザギタリスト()達人に聞くサウンドの秘密」ドン・メン編 / 中山義雄 訳 1995年 [[音楽之友社]])。また、別のインタヴューでは、同じように数人のジャズ・ギタリストの名を挙げ、中でもグラント・グリーンの演奏は特に良いフレーズの宝庫だ、と影響の大きさを語っている。
 
== ディスコグラフィ ==
=== オリジナルアルバム ===
* テキサスフラッド~ブルースの洪水 - Texas Flood(1983Flood(1983)
* テキサスハリケーン - Couldn't Stand the Weather(1984Weather(1984)
* ソウル・トゥ・ソウル - Soul to Soul(1985Soul(1985)
* イン・ステップ - In Step(1989Step(1989)
* ファミリースタイル - Family Style(1990Style(1990)
 
=== ライヴアルバム ===
* ライヴアライヴ - Live Alive(1986Alive(1986)
* ライヴ・アット・カーネギーホール - Live At Carnegie Hall(1997Hall(1997)
* イン・ザ・ビギニングIn The Beginning(1992Beginning(1992)
* イン・セッション(with(with [[アルバート・キング]]) - In Session (withSession(with Albert King)King) (1999(1999)
* ライヴ・アット・モントルー1982&1985 (20011985(2001)
* Live in Tokyo (2004Tokyo(2004)
 
=== コンピレーション ===
* ザ・スカイイズクライング(未発表音源集) - The Sky Is Crying(1991Crying(1991)
* グレイテスト・ヒッツ - Greatest Hits(1995Hits(1995)
* ザ・リアル・ディール:グレイテスト・ヒッツ Vol.2 - The Real Deal: Greatest Hits Volume 2(19992(1999)
* ブルーズ・アット・サンライズ(未発表音源集) - BLUES AT SUNRISE(2000SUNRISE(2000)
* S.R.V.(ボックスセット) - S.R.V.(2000(2000)
* エッセンシャル・スティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブル - The Essential Stevie Ray Vaughan And Double Trouble(2002Trouble(2002)
* マーティン・スコセッシのブルース - Martin Scorsese Presents The Blues(2003Blues(2003)
* ザ・リアル・ディール:グレイテスト・ヒッツ Vol.1 - The Real Deal: Greatest Hits Volume 1 (20061(2006)
* SRV仕事集 - Solos, Sessions & Encores(2008Encores(2008)
 
=== 映像作品 ===
* プライド・アンド・ジョイ - Pride And Joy(1991Joy(1991)
* ライブ・アット・エル・モカンボ - Live At The El Mocambo(1991Mocambo(1991)
* ライブ・フロム・オースチン・テキサス - Live From Austin, Texas(1995Texas(1995)
* ライヴ・アット・モントルー 1982&1985 - Live At Montreux: 1982 & 1985(20041985(2004)
* Live In Tokyo(2006Tokyo(2006)
 
== 来日公演 ==
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== 脚注 ==
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== 外部リンク ==
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* [http://www.sonymusic.co.jp/Music/International/Arch/ES/StevieRayVaughanDT/index.html Sony Music Online Japan : スティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブル]
{{Normdaten}}
 
{{DEFAULTSORT:うおおん すていいういいれい}}
[[Category:アメリカ合衆国のギタリスト]]
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[[Category:グラミー賞受賞者]]
[[Category:ロックの殿堂入りの人物]]
[[Category:航空事故死した人物]]
[[Category:1954年生]]
[[Category:1990年没]]