「栄花物語」の版間の差分

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節タイトル変更。写本の呼称を統一。文化財指定経緯の記述をわかりやすく。
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『栄花物語』は『大鏡』とは対照的に批判精神に乏しく、物語性を重要視するあまり、史実との齟齬を多く有する。また、政事(まつりごと)よりも藤原北家の後宮制覇に重心を置くため、後編の記述は事実の羅列というしかない。歴史書としても、文学作品としても、『大鏡』に引けをとる所以である。しかし[[相模女子大学]]の待井新一教授によれば、「評価すべきは、女手(おんなて)といわれる仮名で物語風に歴史を書いている事で、女性にも読んでもらう史書を目指し''女性による女性のための歴史物語''を完成させた点、はじめて歴史と文学とを結合させ歴史を身近なものにした点では画期的な事」、として挙げられる。後の「鏡物」といわれる一連の歴史物語を産む下地となった。
 
== 原典写本 ==
[[ファイル:Eigamonogata.JPG|220px|thumb|[[13世紀]]([[鎌倉時代]]前期)書写の最古写本「三条西家梅沢本」(国宝、[[東京国立博物館]]蔵)]]
本文の形態によって古本系統・流布本系統・異本系統という3つの系統に分けられる。
 
主な伝本としては、梅沢本([[三条西家]]旧蔵、古本系第一類、[[国宝]])、[[陽明文庫]]本(古本系第二類)、[[西本願寺]]本(流布本系第一類、[[重要文化財]])、[[古活字本]]([[元和 (日本)|元和]]・[[寛永]]年間の版本)・[[明暦]]刊本(以上、流布本系第二類)、絵入九巻抄出本(流布本系第三類)、富岡家旧蔵本(甲・乙二種類あり、異本系、甲本は重要文化財、甲乙とも巻三十まで)などがある。
 
このうち[[三条西実隆]]が入手して子孫に伝えた梅沢本(40巻17帖)は、鎌倉時代中期までに書写された現存最古の完本として昭和10年([[1935年]])に当時の[[国宝保存法]]に基づく国宝(旧国宝、現行法の重要文化財に相当)に指定され、昭和30年([[1955年]])には[[文化財保護法]]に基づく国宝に指定された。大型本(10帖、巻二十まで、鎌倉時代中期の書写)と枡形本(7帖、巻四十まで、鎌倉時代初期の書写)の取り合わせ本(取り合わせとなった経緯は不明)で、大型本の書名は『榮花物語』、枡形本では『世継物語』となっている。なお三条西実隆入手の経緯は、『[[実隆公記]]』永正6年11月4日、8日の条に詳しい。「[[岩波文庫]]」「[[日本古典文学大系]]」「[[日本古典文学全集|新編日本古典文学全集]]」は、この梅沢本を底本としている。
 
== 各巻の巻名と内容 ==