「ヒナワチガイソウ」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
m編集の要約なし
m編集の要約なし
48行目:
 
== 学名、分類の変遷 ==
'''武田'''(1915)<br />
[[武田久吉]]は、1915年、[[筑波山]]に分布するワチガイソウ属の植物について、茎上部の葉が著しく狭く線形になることから、それらの植物に {{Snamei|Krascheninikovia heterantha}} Maxim var. {{Snamei|linearifolia}} Takeda の学名を与え、和名をヒナワチガイソウとした。その後、[[根本莞爾]]は、1936年に本変種の属する属名を {{Snamei|Krascheninikovia}} から {{Snamei|Pseudostellaria}} に移し、学名を {{Snamei|Pseudostellaria heterantha}} (Maxim.) Pax var. {{Snamei|linearifolia}} (Takeda) Nemoto とした。一方、檜山庫三は、1951年、東京都清瀬村(現、[[清瀬市]])産のワチガイソウ属の植物について、線形葉を有し、茎の下部が緑色で、花弁が常に鋭頭であることから、独立の種として {{Snamei|Pseudostellaria musashiensis}} Hiyama の学名を与え、ムサシワチガイソウの和名をつけた。檜山は新種記載において、ヒナワチガイソウについてはふれていなかった。しかし、檜山は、後にムサシワチガイソウとヒナワチガイソウが同じものあることに気づき、檜山が1965年に出版した「武蔵野の植物」ではムサシワチガイソウをヒナワチガイソウに変更している。また、本変種については、基本種と分けない考え方や[[品種]]とする考え方もあったが、茨城大学の鈴木昌友と萱野千寿は、筑波山産のワチガイソウと葉が細葉になる植物を詳しく調査し、1986年にその調査内容を発表した。その結果は、ワチガイソウを基本種とし、細葉タイプを変種ヒナワチガイソウとして区別するのが妥当というものだった<ref name="JJB61" /><ref name="JJB26" /><ref name="JJB62">[http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_062_16_16.pdf 「山崎敬:東京都清瀬のヒナワチガイソウ」]、''The Journal of Japanese Botany'',『植物研究雑誌』Vol.62, No.1, p.16, (1987).</ref>。なお、門田裕一は、2017年刊行の『改訂新版 日本の野生植物 4』において、「独立種として認めるほうが適当かもしれない。」としている<ref name="H.Ohashi" />。
[[武田久吉]]は、1915年、[[筑波山]]に分布するワチガイソウ属の植物について、茎上部の葉が著しく狭く線形になることから、それらの植物に {{Snamei|Krascheninikovia heterantha}} Maxim var. {{Snamei|linearifolia}} Takeda の学名を与え、和名をヒナワチガイソウとした<ref name="JJB61" />。<br />
'''根本'''(1936)<br />
その後、[[根本莞爾]]は、1936年に本変種の属する属名を {{Snamei|Krascheninikovia}} から {{Snamei|Pseudostellaria}} に移し、学名を {{Snamei|Pseudostellaria heterantha}} (Maxim.) Pax var. {{Snamei|linearifolia}} (Takeda) Nemoto とした<ref name="JJB61" />。<br />
'''檜山'''(1951)<br />
一方、檜山庫三は、1951年、東京都清瀬村(現、[[清瀬市]])産のワチガイソウ属の植物について、線形葉を有し、茎の下部が緑色で、花弁が常に鋭頭であることから、独立の種として {{Snamei|Pseudostellaria musashiensis}} Hiyama の学名を与え、ムサシワチガイソウの和名をつけた<ref name="JJB26" />。しかし、檜山は新種記載において、ヒナワチガイソウについてはふれていなかった<ref name="JJB62">[http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_062_16_16.pdf 「山崎敬:東京都清瀬のヒナワチガイソウ」]、''The Journal of Japanese Botany'',『植物研究雑誌』Vol.62, No.1, p.16, (1987).</ref>。<br />
'''水島'''(1965)、'''杉本'''(1965)、'''檜山'''(1965)<br />
その後、本変種については、基本種と分けない考え方や[[品種]]とする考え方もあった<ref name="JJB61" />。しかし、檜山は、後にムサシワチガイソウとヒナワチガイソウが同じものあることに気づき、檜山が1965年に出版した「武蔵野の植物」ではムサシワチガイソウをヒナワチガイソウに変更している<ref name="JJB62" />。<br />
'''鈴木、萱野'''(1986)<br />
[[茨城大学]]の鈴木昌友と萱野千寿は、筑波山産のワチガイソウと葉が細葉になる植物を詳しく調査し、1986年にその調査内容を発表した。その結果は、ワチガイソウを基本種とし、細葉タイプを変種ヒナワチガイソウとして区別するのが妥当というものだった<ref name="JJB61" />。<br />
'''門田'''(2017)<br />
なお、門田裕一は、2017年刊行の『改訂新版 日本の野生植物 4』において、「独立種として認めるほうが適当かもしれない。」としている<ref name="H.Ohashi" />。
 
== 脚注 ==