「U型エンジン」の版間の差分

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このような構成のエンジンは[[ヤマハ・YZR500]](及びレーサーレプリカの[[ヤマハ・RZV500R]])や[[カジバ・GP500]]、[[スズキ・RGV-Γ500]]等で採用され、'''製造メーカー自体はV型4気筒と定義していた'''が、厳密にはスクエア4気筒の発展系に相当する。
 
このような形式のエンジンは、古典的な[[直列4気筒|列4気筒]](二輪では横置きのため並列と呼ばれることが多い)や一般的な[[V型4気筒]]と比較して二つの利点がある。
 
一つめはエンジンの幅で、クランク室を気筒ごとに気密しなければならない2ストロークエンジンにおいて、1軸式V型4気筒では1本のクランク上にクランクウェブ・ベアリングのジャーナル・4気筒分のクランクピンを設けなければならず、前後の気筒でクランクピンを共有しない位相クランクを採用した場合には更に幅が必要となり、また前後のシリンダーもクランクピンが置かれた位置により左右方向にオフセットされた千鳥配置とならざるを得ず、エンジンのコンパクト化には限界がある。
しかし前後のバンクでそれぞれにクランクを持つ2軸式V型4気筒は、バンク角を設けて列2気筒を前後に並べた構造であり前後バンク間で物理的に干渉が起きないため、純粋に列2気筒と同じ幅のコンパクトな設計が可能になる。
 
二つめは2本のクランクシャフトがお互いに逆回転する構造にする事で、前後バンクで各々に発生する回転モーメントを相殺でき、多くの場合に[[バランスシャフト]]が不要となる点である。
これにより2軸式としたことで構成部品が増加した重量面でのデメリットを緩和することが可能になる(ただしYZR500(OW61)や、そのレプリカモデルであるRZV500Rでは、前後バンクの2本のクランクに挟まれた出力軸を持つため同方向に回転しており、公道走行用の市販車であるRZV500Rはその出力軸にバランスシャフトを内蔵している)。
 
この形式の先鞭を付けたのは1967年のヤマハの250 ccワークスレーサーであるRD05Aで、そのエンジンは1964年から1966年の125 ccクラスで実績のあった水冷列2気筒125 ccのRA97<ref>[https://global.yamaha-motor.com/jp/race/wgp-50th/race_archive/machines/ra97/ RA97] - ヤマハ発動機企業サイト(更新日不明/2017年4月18日閲覧)</ref>のエンジンを上下に重ねて4気筒化するという奇策により完成した物であった<ref>[https://global.yamaha-motor.com/jp/race/wgp-50th/race_archive/machines/rd05a/ RD05A] - ヤマハ発動機企業サイト(更新日不明/2017年4月18日閲覧)</ref>。
RD05Aは250 ccクラスで大きな実績を納め、後に125 cc版のRA31も投入されたものの<ref>[https://global.yamaha-motor.com/jp/race/wgp-50th/race_archive/machines/ra31a/ RA31A] - ヤマハ発動機企業サイト(更新日不明/2017年4月18日閲覧)</ref>、500 ccクラスでは並列4気筒が採用されたために一時的に2軸V4は姿を消す事となったが、1983年のYZR500 (0W61) にて復活を遂げ<ref>[https://global.yamaha-motor.com/jp/race/wgp-50th/race_archive/machines/yzr500_0w61/ YZR500(0W61)] - ヤマハ発動機企業サイト(更新日不明/2017年4月18日閲覧)</ref>、その後2002年の[[MotoGP]]規定完全移行に至るまで、[[ホンダ]]を除く各ワークスチームの2ストローク500 ccレーサーの主流であり続けた。