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[[マイクル・シャーマー]]([[サイエンスライター]])は自著で、以下の特徴を主張している<ref>{{Cite book|和書 |author=マイクル・シャーマー|translator=[[岡田靖史]]|year=1999|month=2|title=なぜ人はニセ科学を信じるのか UFO、カルト、心霊、超能力のウソ|publisher=[[早川書房]]|isbn=4-15-208212-7 |page=}}{{要ページ番号|date=2019-04-24}}</ref>。
: {{Quotation|集団の指導者に対する崇拝、[[聖人]]あるいは神格に向けられるものとさして変わらない賛美、絶対に間違いを犯さないという確信。また、指導者は{{読み仮名|無謬|むびゅう}}性がみられ、哲学的な事柄から日常の些細なことまで広い知識を持っている。布教手段は、新たな信徒を獲得し、現状の信仰心を補強するために、寛大なものから威圧的なものまで手段はさまざまである。集団は絶対的な真理と道徳観を持ち、信仰の真の目的と計画が曖昧であり、新規入信者や一般大衆には明確に提示されることはない。入信者や信徒は、指導者や集団の中枢部に関してすべてを知らされるわけではなく、また大きな混乱を招くような不備や厄介事に発展しそうな事件、あるいは状況は隠蔽されており、金銭およびそのほかの資産を差し出すよう説得される。指導者には一人かそれ以上の信徒との性的関係が許され、指導者、あるいは集団が見いだした究極の知識や思考および行動に関する善悪の基準への盲信が見られる。集団の道徳の基準にきちんと従えば、組織の一員としていられるが、そうでない者は[[破門]]されるか罰せられる。{{要ページ番号|date=2015年9月}}}}
 
== 各国の状況 ==
=== アメリカ合衆国 ===
反カルト陣営の統一見解としては1985年にまとめられた「{{lang|en|Cultism:A conference for scholars and policy makers}}」という文書がある。また、アメリカの宗教団体の脱会者が、絶対的服従や[[マインドコントロール]]、犯罪行為を行う反社会的な集団を指して「破壊的カルト」と呼び始める<ref name="rinri"/>。
 
=== 中南米 ===
[[ベレン (パラー州)|ベレン]]を中心に[[アマゾン川|アマゾン]]{{要曖昧さ回避|date=2016年4月}}地方に分布する{{仮リンク|バトゥーケ|pt|Batuque (religião)}}、[[バイーア]]を中心に分布する[[カンドンブレ]]、[[サンパウロ]]など全国に広まっている{{仮リンク|ウンバンダ|en|Umbanda}}などのアフリカ系の宗教は、総じてアフロ・ブラジリアン・カルトと呼ばれている<ref>{{Cite journal |和書 |author = 古谷嘉章 |title = 集束する音、拡散する音:アフロ・ブラジリアン・カルトの憑依儀礼 |journal = 環境と音楽 |date = 1991 |publisher = 東京書籍 |series = 民族音楽叢書 |isbn = 4487752574 |ref = harv }} pp.169-176.</ref>。アフロ・ブラジリアン・カルトは16世紀以来、アフリカから労働力として導入された奴隷によって持ち込まれた伝統的宗教とローマ・カトリックが融合した宗教であり、先住民[[インディオ]]の[[シャーマニズム]]の影響も見られる。アフロ・ブラジリアン・カルトでの「カルト」とは、「流派」という意味合いで使われる。
 
=== ヨーロッパ諸国 ===
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よって、現代では、個人や社会に対して破壊的な行為をする集団を指す通俗用語となっている<ref name="jiten"/>。日本では、国家機関によるカルトの集団についての定義は一切存在しないが、裁判の判決理由において、オウム真理教を指して使用した例が確認できる<ref>{{cite 判例検索システム|事件名=損害賠償請求事件|法廷名=東京高等裁判所 第1民事部|事件番号=平成13(ネ)3067 |url=http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/105/020105_hanrei.pdf}} p.5</ref><ref>{{cite 判例検索システム|事件名=名誉毀損被告事件|法廷名=最高裁判所第一小法廷|事件番号=平成21(あ)360 |url=http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/704/038704_hanrei.pdf}} p.1</ref>。
 
現代の日本の宗教政策としては、「[[無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律]]」を適用した処分により、旧[[オウム真理教]](現・[[Aleph (宗教団体)|Aleph]]、[[ひかりの輪]])が、長期的に[[臨検|立入検査]]を受けている([[2015年]][[3月]]の時点において、19都道府県下延べ608か所(実数131か所)への検査の実施が公表され、麻原の写真や麻原・上祐の説法教材の多数の保管が確認されている<ref>[{{Cite web |url=http://www.moj.go.jp/psia/20150309tachiiri.html |title=立入検査の実施結果について]、 |date=2015年3月10日 |accessdate=2015年3月15日閲覧。 |publisher=公安調査庁}}</ref><ref>[{{Cite web |url=http://www.moj.go.jp/psia/tachiiri20150205.html |title=立入検査の実施結果について]、 |date=2015年2月9日 |accessdate=2015年3月15日閲覧 |publisher=公安調査庁}}</ref>。)
 
最近では、『カルト』や『カルト教団』の語が、[[新宗教]]全般に対する蔑称のように使用されることも多い<ref name="serikawa">{{Cite book |和書 |author=芹川博通 |title=現代人と宗教世界 |publisher=北樹出版( |date=2011/6)-06 P193|page=193}}</ref>。
 
== 反論 ==
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=== 宗教学者 ===
*カルト論研究を行う[[宗教学者]]の[[櫻井義秀]]は、マスメディアが消費するカルト論には否定的である。反カルト集団により「カルトにより[[マインドコントロール]]された」と言う主張も[[コマーシャルメッセージ|コマーシャル]]と同様の手法であり、カルトと同様に反カルト集団が裁判の戦略として利用しているドグマであると主張している{{Sfn|櫻井義秀|1997|pp=114-115}}。また、言葉自体が[[統一教会]]信者の奪回・脱会を目的とした弁護士らからなる反カルト集団により、総称的蔑称として、ないしは[[ラベル|レッテル]]貼りを意図して日本に紹介された概念である、特定団体を『カルト』であると言うことは、その団体が宗教的多様性を構成する一つの団体というよりも、一般市民に重大な危害を加える団体であるから、何らかの対処が必要だと主張することに等しいとする<ref>{{Cite journal |和書 |author=櫻井義秀 |title=「キャンパス内のカルト問題」[を考える① |url=http://www.jbf.ne.jp/assets/files/pdf/feature/campus/campus615.pdf] |format=PDF |publisher=全日本仏教会 |date=2015-12 |journal=全仏 |issue=615 |pages=4-5 |accessdate=2019-04-24}}</ref>。反カルト集団により、裁判戦術の「対抗的[[ドグマ]]」として使用された際、まるで、あたかも最新の[[心理学]]ないしは[[宗教学]]の研究結果であるかのように、マスコミに紹介されたとしている{{Sfn|櫻井義秀|1997|pp=114-115}}。
 
*キリスト教学者の[[芦名定道]]は『一般的に日本人は、「特定の既成宗教を主体的に信仰している」とも言えず、むしろ何らかの宗教儀式(例えば、冠婚葬祭など)に参加しても「自分は、無宗教である!」と思っている人が多い。そのため直接的な体験よりも、主に『マスコミを介した間接的な情報によって構成された印象([[刷り込み]]現象による影響)』で判断をする傾向にある<ref name="essence">参照 {{Cite book |和書 |author=[[芦名定道]] |title=宗教学のエッセンス |publisher=[[北樹出版]]  |date=1993年10月15日 ISBN |isbn=978-4893843241 |page=}}{{要ページ番号|date=2019-04-24}}</ref>と自著で述べている。マスコミの提供する情報は、それが「視聴率を獲得するため」という特性から、当然に該当する宗教団体側から見て「報道内容は、不適切だ!」と思われる事も多く、日本の宗教像全般に多大なマイナス・イメージを生じさせている。日本では『カルト』の用法が、『マスコミのセンセーショナルなイメージ』と共に広まったが、メディアは事件報道が主体であり、良いニュースはあまり流さないため、反社会的な団体ではない新宗教へのマイナスイメージが形成されたという指摘もある<ref>{{Cite journal ja-jp|和書|author=[[石井研士]]|year=2001|title=日本人の宗教行動|journal=宗教と人間の未来|serial=|publisher=[[白馬社]]|naid=|pages=34-37 |ref = harv}}</ref>。
 
*宗教学者の[[浅見定雄]](旧約聖書学者、[[東北学院大学]][[名誉教授]])によれば「「カルト」は厳密な学術用語としては放棄されています」「カルト問題は、宗教的問題と異なる[[社会問題]]だ」としている。{{要出典|date=2018-8}}
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*この語句には多義的な意味があるが、宗教や宗教団体に対して使用する場合は、個人の自由や尊厳を侵害し社会的(一般他者との人間関係)に重大な弊害を生じさせている集団、つまりは、反社会的な団体という意味である。個人的な自らの考えや価値観と異なる思想をもつ団体を排他したり蔑む目的で、教義や儀礼(儀式)が奇異に思えるなどの評価を指すために使うべき用語ではないとする見解もある<ref name="jiten">{{Cite book |和書|author=大貫隆|authorlink=大貫隆|author2=名取四郎|authorlink2=名取四郎|author3=宮本久雄|authorlink3=宮本久雄|author4=百瀬文晃|authorlink4=百瀬文晃|title=岩波キリスト教辞典|date=2002-6-10|publisher=[[岩波書店]]|isbn=978-4000802024|ref=harv}}</ref>。
 
*[[2009年]] - [[2010年]]に、[[公安調査庁]]が、旧・オウム真理教以外で、社会通念からかけ離れた特異な活動をしている宗教団体を「特異集団」と位置づけて、情報収集を行っていたが<ref>[{{Cite web |url=http://www.moj.go.jp/psia/kouan_naigai_naigai17_naigai17-04.html |title=内外情勢の回顧と展望(平成17年1月)] |publisher= 公安調査庁 |accessdate=2019-04-24}}</ref><ref>[{{Cite web |url=http://www.moj.go.jp/psia/kouan_naigai_naigai18_naigai18-04.html |title=内外情勢の回顧と展望(平成18年1月)] |publisher= 公安調査庁 |accessdate=2019-04-24}}</ref>、[[2011年]]以降は発表がない{{要出典範囲|ため、その後は監視対象でないと見受けられる。|date=2019年4月24日 (水) 07:45 (UTC)|title=}}
 
=== 宗教団体 ===
==== 統一教会 ====
統一教会は、信者が脱退目的で拉致・監禁されることが相次いでおり、人権侵害であると抗議している。反カルト側の問題として、「親族による拉致監禁」により強制的な脱会カウンセリング受講<ref name=asahi1401>{{cite news|title=統一教会信徒、親族に勝訴 損害賠償訴訟|newspaper=朝日新聞|date=2014-01-29}}</ref>、[[拉致]][[監禁]]を契機として統一教会を脱会する「強制説得」を行う際に人権侵害が発生したという告発<ref>{{Cite journal ja-jp |和書 |author=[[米本和広]] |year=2003|title=書かれざる『宗教監禁』の恐怖と悲劇|journal=[[月刊現代|現代]]|serial=|publisher=講談社|naid=|pages= |ref = harv}}</ref>)、ディプロプログラミングの弊害(統一教会脱会時にPSTDを発症{{Sfn|櫻井|2006|p=不明}}{{要ページ番号|date=2019-04-24}})、信教の自由への迫害(統一教会への信仰を理由とする侮辱、[[パワーハラスメント|パワハラ]]、[[アカデミックハラスメント|アカハラ]]<ref name=asahi1405>{{cite news|title=佐賀大と元学生が控訴|newspaper=朝日新聞|date=2014-05-11}}</ref><ref name=yomiuri1405>{{cite news|title=佐賀大が損害賠償の強制執行停止を申し立て|newspaper=読売新聞|date=2014-05-03}}</ref><ref name=saga1404>{{cite news|title=統一教会を侮辱、佐大側に賠償命令 福岡高裁|newspaper=佐賀新聞|date=2014-04-21}}</ref><ref>{{Cite book |和書|author=室生忠|authorlink=室生忠|title=大学の宗教迫害|date=2012-1-31|publisher=日新報道|isbn=9784817407368 |page=|ref=harv}}{{要ページ番号|date=2019-04-24}}</ref>)で訴訟となり、信徒側が勝訴した事例も複数存在している。
{{main|統一教会信徒の拉致監禁問題}}
 
==== ひかりの輪 ====
オウム真理教後継組織[[Aleph (宗教団体)|アレフ]]から分派した[[ひかりの輪]]は、アレフは麻原崇拝のカルトであるが、ひかりの輪はそれとは異なると主張し、両団体を区別するよう主張している<ref>[{{Cite web |url=http://www.joyu.jp/hikarinowa/overview/07/0020.html |title=ひかりの輪とアレフの大きな違い / ■よくある質問や誤解について / 初めての方へ // |publisher=ひかりの輪] 2018/8/10閲覧|accessdate=2019-04-24}}</ref>。
 
==== エホバの証人 ====
[[エホバの証人]]は、「人間​の​指導​者​を​あがめ,偶像​視​する​こと​が,今日​の​カルト​教団​の​大きな​特徴​を​なし​て​い​ます​」と定義し、「エホバ​の​証人​の​間​に​それ​が​見​られ​ない​の​は,この​よう​に​聖書​の​教え​に​固く​付き従っ​て​いる​から​に​ほか​なり​ませ​ん。エホバ​の​証人​は​僧職​者​と​平​信徒​を​区別​する​考え​を​退け​ます。」としている<ref>[{{Cite web |url=https://wol.jw.org/ja/wol/d/r7/lp-j/1994121#h=8%E3%82%A8%E3%83%9B%E3%83%90%E3%81%AE%E8%A8%BC%E4%BA%BA%E3%81%AF%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%88%E6%95%99%E5%9B%A3%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B |title=エホバの証人はカルト教団ですか |website=ものみの塔 オンライン・ライブラリー] |publisher=Watch Tower Bible and Tract Society of Pennsylvania |accessdate=2019-04-24}}</ref>。
 
== サブカルチャーでの用例 ==
{{出典の明記|date=2019年4月24日 (水) 07:45 (UTC)|section=1}}
少数の熱烈な信奉者を持つ[[映画]]や[[文学]]、[[音楽]]などの作品について、カルトという言葉が用いられることがしばしばある。[[カルト映画]]やカルト・ミュージックなどがその例である。特定分野の[[マニアック]]な内容を設問にしたクイズ番組『[[カルトQ]]』や[[ウッチャンナンチャン]]主演の映画作品『[[七人のおたく]] {{読み|subst=2015-03|cult seven|カルトセブン|rblang=en|lang=Ja}}』などがある。
 
== 関連する人物 ==
* [[スティーブン・ハッサン]] - 元[[統一教会]]幹部。アメリカ{{仮リンク|メンタルヘルスカウンセラー|en|Mental health counselor}})が、体験に基づく自著において使用した用語を、[[浅見定雄]]が「破壊的カルト」と訳す<ref>『[[:en:{{Cite book |title=Combatting Cult Mind Control|Combatting Cult Mind Control]]』、 |date=1998年(ISBN |isbn=0-89281-243-5)5 |author=Steven Hassan |publisher=Park Street Press |page=}}{{要ページ番号|date=2019-04-24}}</ref><ref>{{Cite book |和書 |author=スティーブン・ハッサン|translator=[[浅見定雄]]訳『 |title=マインド・コントロールの恐怖』( |publisher=[[恒友出版]]、[[ |date=1993年]]、ISBN 4765230716)|isbn=4765230716 |page=}}{{要ページ番号|date=2019-04-24}}</ref>。
 
== 脚注 ==
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== 関連項目 ==
* [[政府の文書によってセクトと分類された団体一覧]]
* [[セクト]]
* [[邪教]]
* [[マインドコントロール]]
* [[洗脳]]
* [[日本脱カルト協会]]