「新数学」の版間の差分

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==概略==
[[スプートニク・ショック]]を受け<ref>{{Cite web |url =https://web.archive.org/web/20150524104100/http://www.nytimes.com/1982/10/05/science/education-sputnik-recalled-science-and-math-in-trouble-again.html |title = EDUCATION; SPUTNIK RECALLED |publisher = www.nytimes.com |date = |accessdate = 2019-04-28}}</ref>、ソ連に負けることを許されなかったアメリカが国威発揚のもとに1960年代に現代数学の諸分野を未成年に教えようという考えのもとに、流行した思想であった。[[行列]]、[[ブール代数]]、[[ベクトル]]、ほか従来の大学数学で教えられていた諸分野を中学高校の指導要領で学べるように大きく改訂された。[[ブルバキ]]の影響も指摘されている<ref>{{Cite web |url =httphttps://web.archive.org/web/20160326142025/http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=6503411 |title = The Case of the Disappearing Mathematician |publisher = www.npr.org |date = |accessdate =  2019-04-28 }}</ref>。
 
しかしながら、[[リチャード・P・ファインマン]]他の科学者の大きな批判に会い、退潮<ref>Kline, Morris (1973). Why Johnny Can't Add: The Failure of the New Math. New York: St. Martin's Press. ISBN 0-394-71981-6.</ref>を余儀なくされた。マンガにも揶揄<ref>{{Cite web |url = https://web.archive.org/web/20180313093715/https://www.chisholm-poster.com/posters/CL68406.html|title ="How can you do 'New Math' problems with an 'Old Math' mind?" |publisher = www.chisholm-poster.com |date = |accessdate = 2019-04-27}}</ref>される始末であった。
 
==影響==
日本もこの影響を多く受けた。[[1969年]]に告示された中学数学用の[[学習指導要領]]が有名である。従来なら高校初年度以降で学習されると考えられる初等幾何、組合せ、集合、グラフ理論の初歩が導入された。これに基づく啓林館発行の教科書は、新しい数学の完全な摸造品ではない。中高一貫校の場合、この過酷な内容を2年と半年以下でやらされることになり、教師は「詰め込み教育<ref>{{Cite web |url =https://web.archive.org/web/20190428135935/http://www.st.nanzan-u.ac.jp/info/ma-thesis/2016/ss/m15ss001.pdf |title = 数学教育の現代化について|publisher = www.st.nanzan-u.ac.jp|date = |accessdate =  2019-04-28 }}</ref>」と批判されながら対応に追われた。
 
現在の中学数学と比べても極端に内容が詰め込まれており、1977年告示学習指導要領では多くの領域が元に戻された。ただし、この二度にわたる改訂で、[[初等幾何学]]が中学高校から完全に姿を消してしまったため、失敗を指摘する教育者は多い<ref>数学教材としてのグラフ理論 (早稲田教育叢書31) ISBN 978-4-76202-253-1, p.i</ref><ref>新入生のための数学序説 ISBN 978-4-40702-419-7 , 前書き p.ii</ref>。現在の日本の中学数学は幾何と代数に特化し元に戻っている。