「空間ベクトル」の版間の差分

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このとき、空間内の点 ''Q'' に対して ''Q'' = ''P''('''v''') となるベクトル '''v''' を点 ''Q'' の'''位置ベクトル'''と呼ぶ。
==歴史==
いわゆる矢印ベクトルは物理学の教育では力学の初歩から導入されるため、ベクトルも古典力学と同時(17世紀ごろ)に発生したと思われるかもしれないが、実はもっと後の19世紀になって現れたものである。今でこそベクトルや行列などを使って、物理学や幾何の問題を解くといったことは常識であるが、ベクトルが誕生する以前の数学や物理学では[[初等幾何学]]、[[解析幾何学]]や[[四元数]]などを利用していた。今日我々が知っているベクトルの概念は、およそ200年もの時間を掛けて徐々に形成されてきたものである。そこでは何十人もの人々が重要な役割を果たしてきた<ref name="Crowe">Michael J. Crowe, [[A History of Vector Analysis]]; see also his [httphttps://web.archive.org/web/20040126161844/http://www.nku.edu/~curtin/crowe_oresme.pdf lecture notes] on the subject.</ref>。ベクトルの先祖は[[四元数]]であり、ハミルトンが1843年に複素数の一般化によって考案したものである。ハミルトンは最初に、二次元における複素数と複素平面のような関係を満たすような数を三次元空間にも見いだそうとしたが失敗し、なぜか三つの数の組では二次元の場合の複素数と複素平面のように三次元空間を記述できないことが判明した。
 
研究の結果、最終的に四次元(数が4組)の四元数へとたどり着くこととなった。三次元空間を記述するのに、数が三組では記述が不可能でなぜか四組必要だったのである。二次元では、二組の数である複素数を用いることによって、複素平面を二次元ユークリッド平面と同等みなすとベクトルに似た概念(回転やスカラー倍など)が記述できるというのに、三次元空間を記述するのに四次元の数が必要だったのである。ハミルトンは1846年に四元数の複素数における実部と虚部に相当するものとしてスカラーとベクトルという用語を導入した(今日の用法とは異なることに注意されたい):