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人間が口から摂取するものは、人間の健康に影響を及ぼす。例えば「野菜」と呼ばれることになったものの多くが、もともとは(人間が関与せずとも)野生で自生していた[[植物]]であり(あるいは野生の植物に人間が若干の品種改良をほどこしたもの)、人間が試しにそれをそれを食べてみたら健康状態が改善した(=健康に役立つ微量成分が含まれていた)り、活力を得られた(=熱量を得られた、糖質を含んでいた)りしたので、「この植物は食べるのに適している」と人間が判断し、それを食習慣に取り込むために「野菜」に分類するようになったり「食品」に分類するようになった、といういきさつを持つ。つまり、もともとある植物を「野菜」に分類した理由は、(全てではないにしても)その多くが、人間の健康の維持や改善に役立つと判断されたからで、その意味で、もともと「食品」と「[[医薬]]」との間にはっきりした境目は無く、「食べ物 / くすり」や「野菜 / [[生薬]]」や「食品 / 薬」などという呼び分けは、同じものでもそれが使われる文脈に応じて呼び分ける、ある意味で便宜的な分類である。
 
例えば、マメ科の植物の[[葛]](クズ)は、その根にデンプンを多く含み、それを粉にして、水を加えあたため食べると(主成分がデンプンなので、カロリー補給にもなり、それだけでも)元気にもなる。プルンとしており食感も良いので和菓子の材料にもなっている。こうした形で口に入れる場合は「クズの根」は「食品」に分類されている。ところでクズの根には、さまざまな微量成分が含まれ、乾燥させたものは古代から薬効があり、たとえば風邪(など)に効くことが知られており、「葛根(かっこん)」と呼び、他のさまざまな生薬と組み合わせて用いられている。こうした用い方をしている場合は「クズの根」は「葛根(かっこん)」と表記され「生薬」に分類されている。同じ物が、使われる文脈に応じて「食品」に分類されたり、「生薬」に分類されたりするわけである。
 
また例えば、[[玉ねぎ]]も、もともと古代では、[[スタミナ]]をもたらしてくれる食品であり、たいていの病気の治癒に役立つ「薬」とも位置付けられていた<ref name="ryuusendou">[http://www.ryusendo.co.jp/medical/ タマネギの医学]</ref>。近代の先進国では 玉ねぎをただ「野菜」や「食品」に分類して済ませてしまうことが多くなっていたわけだが、最近になってあらためて大規模な[[疫学調査]]をしてみたら、玉ねぎを食べることが胃ガン・大腸ガン・食道ガンを減らす効果があることや、[[高脂血症]]に対する顕著な改善効果があることが明らかになった<ref name="ryuusendou" />。つまり、玉ねぎは「食品」でもあり、そのままで同時に「薬」でもあるわけである。別の言い方をすると、人類は玉ねぎという「薬」の効果を持つものを見つけ、それを「野菜」や「食品」と呼んで、日常的に摂取するようなしくみ(食習慣)にとりこみ、(後の時代の人が、それを意識していようとも、していなくとも)実際にその効能(薬の効能)の恩恵を日々受け続けているわけである。ここでは玉ねぎを一例として挙げたが、他にも「野菜」に分類されているさまざまな植物が、「野菜」(「食品」)であり同時に「薬」の効果を持っていることが明らかになってきている。