「桜花 (航空機)」の版間の差分

しかし708飛行隊の桜花母機一式陸攻搭乗員酒井啓一上飛曹の回顧によれば、4月16日の第五回神雷桜花部隊で、戦艦を中心とする十数隻の艦隊に対し宮下良平中尉が搭乗する桜花を射出、その後大きな爆発と水柱が上がったのを酒井上飛曹を含む4名の母機搭乗員が目撃しており、戦艦1隻撃沈と戦果報告している。また4月28日の第六回神雷桜花部隊出撃時も、不意に機動部隊に遭遇し、激しい対空砲火の中で山際直彦一飛曹搭乗の桜花を射出、その後に井上上飛曹と機長らが海上で大火災が起こってるのを確認し、重巡1隻撃沈と報告しているが<ref>「丸」編集部編集 『特攻の記録』光人社NF文庫(電子版) P.170〜P.182</ref>、このいずれの日もアメリカ海軍に公式の被害記録はなく、他にもアメリカ軍が損害を公表していない民間徴用商船などで、未公表の戦果の存在を指摘する意見もある<ref>冨永謙吾 安延多計夫 『神風特攻隊 壮絶な体あたり作戦』秋田書店 P.170</ref>。
 
== アメリカ側の評価 ==
[[ファイル:MXY7 Ohka Cherry Blossom Baka Ohka-9s.jpg|thumb|230px|沖縄でアメリカ軍に鹵獲された桜花11型]]
[[沖縄戦]]でアメリカ軍は上陸初日に沖縄の北・中飛行場を占領したが、北飛行場の北東側の斜面に掘られた掩体壕の中から桜花が10機鹵獲された。既に概要の情報を掴んでいたアメリカ軍であったが、鹵獲した桜花を調査し、桜花(この時点ではGizmoと呼ばれていた)が人間が操縦するロケット爆弾であるという事が間もなく判明すると、自殺を禁じるキリスト教的な価値観より、自殺をするような愚か者が乗る兵器という意味合いで「BAKA」というコードネームが付けられた<ref name="jinrai_233">加藤浩『神雷部隊始末記』P.233</ref>。その運用思想に嫌悪感を覚えたアメリカ軍であったが、兵器としての有効性に対しては強い懸念を示し、早速鹵獲した桜花を本国に送り、アメリカ技術航空情報センターで徹底した調査が行われている。この報告書を戦後に見た桜花設計技術者の[[三木忠直]]に「桜花設計時に作った設計書より遥かに詳しい」と言わしめたほどに詳細な調査であった<ref name="jinrai_233"/>。
 
その後に桜花が駆逐艦[[マナート・L・エベール (駆逐艦)|マナート・L・エベール]]を撃沈するとその懸念が現実化する事となり、アメリカ軍はマナート・L・エベールのオールトン・E・パーカー艦長と副長と砲術長に25P25ページもなる及ぶ長文の詳細な戦闘記録を作らせ、TOP-SECRET扱いとし徹底的に分析している。その報告書には「それは今まで目にしたどんな飛行機よりも速かった。プロペラやエンジンは見かけられなかったので、この機体はジェットかロケットを推力にしているものと思われた。」と記述してあった<ref>デニス・ウォーナー『ドキュメント神風下巻』時事通信社 P.97</ref>。マナート・L・エベールに桜花が命中しながら、あまりの威力に艦体を突き抜けた為、撃沈を免れた{{仮リンク|スタンリー (駆逐艦) |en|USS Stanly (DD-478)}}の砲術長は「このミサイルが艦艇装備の自動火器の射程内まで接近しても、何物もその突進を停止させたり、その方向を変換させるのは無理である」と述べている<ref name="kamikaze_102"/>。
 
その設計思想と費用対効果の低さにより今日の日本では極めて評価が低い桜花であるが、鹵獲した桜花の調査結果や、また被害艦の戦闘報告を詳細に検証した当時のアメリカ海軍は、桜花をもっとも危険な兵器で、アメリカ軍の砲手やパイロットらにとってこれまでに遭遇したもっとも手におえない攻撃目標であると考えた<ref name="kamikaze_102"/>。
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