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[[File:Southern_Motorway_Auckland_traffic_-_copyright-free_photo_released_to_public_domain.jpg|thumb|right|260px|現代の高速道路を実際に走る 数々の自動車の状況。[[乗用車]](数名程度の人を乗せて走るための車)が圧倒的に多い。乗用車の群れの中に、[[貨物自動車|トラック(貨物自動車)]]や[[タンクローリー]]や[[バス (交通機関)|バス]]などがいくらか混じる。]]
[[File:1925_Ford_Model_T_touring.jpg|thumb|right|250px|20世紀初頭の自動車の急激な普及のきっかけとなった[[フォード・モデルT|フォード・モデルT(T型フォード)]]。]]
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[[File:YellowJeepCrossingRiver.JPG|thumb|right|250px|自動車は一般に軌条(鉄道)を必要としないわけだが、さらに、道路すら離れて走ることができる車([[オフロード]]車)もあり、街から離れた、[[道路]]があまり整備されていない場所への移動に便利である。オフロード車([[:en:Off-road vehicle]])の多くは[[四輪駆動]]である。写真は川を渡りかかっているオフロード車。]]
[[ファイル:Komatsu HD325 002.JPG|thumb|right|250px|特殊作業車の例
[[File:Danica Patrick Car 2010 Indy 500 Practice Day 7.JPG|thumb|right|250px|特殊な車の一例、[[サーキット]]で[[自動車競技|競走]]するための[[レーシングカー]]。]]
'''自動車'''(じどうしゃ、{{lang-en-short|car, automobile}})とは、[[原動機]]の動力によって[[車輪]]を回転させ、[[軌条]]や[[架線]]を用いずに[[道路|路]]上を走る[[車]]のこと<ref>[http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/99109/m0u/%E8%87%AA%E5%8B%95%E8%BB%8A/ goo辞書 大辞泉]</ref>。
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自動車の分類法はさまざまあるが、構造による分類や使用目的による分類などがある。→[[#分類・種類]]
自動車は世界中で大量に普及したため、[[大気汚染]]の原因となったり、その石油資源の消費量によって[[石油危機]]時のリスク要因となったり、道路上の自動車の過密状態などの問題を引き起こしており<ref name="nihondaihyakka" />、課題の解決に向けた努力が続けられている(消費する石油を減らすこと、つまり[[燃費]]の向上(低燃費エンジンの開発)が行われてきた歴史があり、[[電気自動車]]、[[ハイブリッド・カー]]、[[水素自動車]]などの開発・販売も行われている)。▼
▲自動車は世界中で大量に普及したため、[[大気汚染]]の原因となったり、その石油資源の消費量によって[[石油危機]]時のリスク要因となったり、道路上の自動車の過密状態などの問題を引き起こして
自動車を動かすこと・操ることを[[運転]]と言い、ほとんどの国で、公道(一般の道路)での自動車の運転には免許([[運転免許]])が必要とされている。自動車の最初期の段階からすでに運転を誤る事故([[交通事故]])が発生したが、自動車によって怪我をさせられたり命を失ってしまう[[被害者]]が生じ、同時に運転者が[[加害者]]として生きていかなければならなくなることは、自動車普及後の社会が抱え続けている重い課題のひとつである。最近では[[オートパイロット|自動運転技術]]([[自動運転車]])も研究されており、人間が運転するよりも事故率が劇的に減るであろうと期待されてもいて、一部ですでに(実験的な)導入が開始しており、世界での本格的な普及開始の時期が近付いている。▼
▲自動車を動かすこと・操ることを[[運転]]と言い、ほとんどの国で、公道(一般の道路)での自動車の運転には免許([[運転免許]])が必要とされている。自動車の最初期の段階からすでに運転を誤る事故([[交通事故]])が発生した
自動車の生産は、部品となる様々な工業品があってはじめて可能となるので、他の様々な工業の振興、一次的工業品の製造とも関連する<ref name="nihondaihyakka" />。その規模の大きさ、影響の大きさによって、政府にとっては自動車の製造は(一国の)経済を支える重要な産業となりうる。現在のところ、一握りの先進国が自動車の生産を[[独占]]してしまっているような状況にある<ref name="nihondaihyakka" />。多くの発展途上国の政府が、自動車製造を行うために懸命の努力を行っている(例えば、先進国の自動車メーカーや政府と交渉し、自動車を輸入するだけでなく、自国内に製造工場などを設けさせる努力を続けている)のは、経済的な影響が大きいからである<ref name="nihondaihyakka" />。▼
▲自動車の生産は、部品となる様々な工業品があってはじめて可能となるので、他の様々な工業の振興、一次的工業品の製造とも関連する<ref name="nihondaihyakka" />。その規模の大きさ、影響の大きさによって、政府にとっては自動車の製造は(一国の)経済を支える重要な産業となりうる。現在のところ、一握りの先進国が自動車の生産を[[独占]]してしまっているような状況にある<ref name="nihondaihyakka" />。多くの発展途上国の政府が、自動車製造を行うために懸命の努力を行っている(例えば、先進国の自動車メーカーや政府と交渉し、自動車を輸入するだけでなく、自国内に製造工場などを設けさせる努力を続けている)のは、経済的な影響が大きいからである<ref name="nihondaihyakka" />。→[[#自動車産業]]
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== 負の影響 ==
[[ファイル:Chang'an avenue in Beijing.jpg|thumb|交通[[渋滞]]]]
自動車は使用者に多くの便益を与えるが、
自動車が社会に及ぼす悪影響の中で特に大きなものは、
*交通事故
*自動車増に追いつかない道路などのインフラ整備状況と交通渋滞や交通事故▼
*ガソリン自動車の排気ガスによる健康被害と地球温暖化ガスの増加
*逼迫する燃料需給。増加するガソリン需要に対応すべく[[オイルサンド]]の開発が進行中であるが、その[[環境負荷]]には未だに確定されていない部分がある。
*[[バイオディーゼル]]や[[バイオマスエタノール]]などの[[代替燃料]]の需要増による[[2007年-2008年の世界食料価格危機#食料のバイオ燃料への転用|食料供給への影響]]
などである。
2018年には生産台数が1億台へ達すると予測されているが、仮に1.36トン車の984リットルで計算すると必要なエネルギーはガソリン984億リットル相当となり、これは日本の年間ガソリン消費量55百万キロリットル(550億リットル)<ref>日本エネルギー経済研究所 [http://oil-info.ieej.or.jp/data/oilnow2013.pdf 石油はいま 2013 OIL NOW] </ref>の約2倍である。▼
[[ファイル:Two-car collision in the USA.jpg|thumb|[[交通事故]]で大破した車]]▼
一般に、交通事故は出来る限りゼロに近付けるべきだ、とされている。特に'''死亡事故'''はゼロに近付ける努力を精一杯するべきだ、とされている。日本の警察は、交番などに、その地域で、日々、交通事故によって怪我を負った人や死亡した人の数を掲示し、人々に注意を喚起し、人々の意識を変え、運転に慎重になってもらおうと努力している。
負傷(怪我)と分類される場合でも、被害者は実際には重い[[障害]]を負って生涯苦しむ人が含まれている。まして被害者が死亡してしまった場合、死亡した人の親の悲しみは計り知れない。また死亡した人に子供がいれば、その子供は[[遺児]]([[交通遺児]])となり、「親を失った子」としてその後の人生を生きなければならず、多くの場合、親が生きていたらできたはずのことができない人生となる。加害者となった者のほうの人生の状況も、([[自賠責保険]]や[[任意保険]]などで)被害者に金銭的に補償すればそれで全てが済むというような生易しいものではない。たとえば、運転時にいわゆる「[[ながら運転]]」をしていたという場合、危険を予見できたにもかかわらず、道路交通法で定められている「注意義務」を怠ったことによって罪が重いが、そうでなくても、ただほんの一瞬注意を怠ってしまった、ということでも[[過失運転致死罪]]([[過失運転]][[過失致死罪]])が適用される可能性があり、運転者(加害者)は刑務所で服役しなければならない可能性がある。また、自動車保険を利用して被害者に対して金銭的に補償しても、さらに運転者が刑務所で服役しても、遺児にとって大切な親が生き返るわけでもなく、結果として加害者となった者は一生涯、被害者の人生を狂わせてしまったことに対する<u>道義的な責任</u>を感じ続けなければならなくなる。加害者は、ことあるごとに「自分は人を殺してしまった」とか「残された家族の人生も壊してしまった」などと苦しむようになり<ref>[https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-42744292]</ref>、加害者の人生もまた、大きく変わってしまうのである。自動車によって頻繁に起きるようになった交通事故というのは、ただの金銭問題や経済問題といったレベルをはるかに超えて、人々の人生を狂わせ、人々を苦しめ続けている。
なお(一部に、人命を軽視する者や、人の命まで金銭に換算して済ましてしまおう、という者がいるが、そういう態度がそもそも非常に不謹慎である、と一般にされている。それでも人命を軽視する姿勢を直せず、何でも金銭に換算してしか理解しようとしない者にその金銭の数字を示すと)交通事故関連の損失は、日本だけに限った場合でも、実に<u>毎年6.7兆円</u>に及んでいる<ref>[http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-t58-3.pdf 日本学術会議『交通事故ゼロの社会を目指して』]</ref>。
自動車の前に馬車が普及していたヨーロッパや米国では、車(馬車)が非常に危険だということは理解されていて、歩行者と車の走行場所の完全な分離(歩車分離)が早くから(つまり馬車時代から)進んだ。(外国に行ったことがない日本人は気づいてもいないようだが)欧米では、道路と言っても、自動車が走行する場所と、歩行者の歩く場所の距離が何倍もとってあり、そのけっか事故が少ない。またヨーロッパでは「歩行者優先」が徹底されていて、歩行者がいたら、自動車運転者はほぼ絶対的に停車する。ところが日本は後進国の段階、馬車すらも普及していない状態、つまり歩行者(や人が引く荷車)しかなかった道に、いきなり自動車が人の導線を侵害するように導入されてしまった。おまけに、ヨーロッパの走行状態を知らない人々が住む日本では「歩行者優先」の原則が十分理解されず、自動車の運転者が傲慢に歩行者の歩行を妨害するようなことがまかり通るようになってしまい、それが放置されるようになってしまった。最近では日本人でも海外経験をする人が増え、海外の交通状況を理解する日本人も増えるようになり、日本でも歩行者優先意識の啓発、あるいは歩行者優先の原則の絶対厳守とその原則を守らない運転者に対して厳罰を科すことが望まれるようになりつつある。歩道のガードの拡充、十分な幅の自転車専用レーンの確保、などの道路インフラ整備が必要とされている。[[東名飲酒運転事故]]以前は[[飲酒運転]]も横行していた。速度超過、事故を誘発する違法駐車、横断歩行者の妨害等などの交通[[犯罪]]が蔓延している現状がある。またスマートフォンの普及などが原因となって、2010年代後半には'''[[ながら運転]]'''による深刻な事故が統計的に明白に急増したので、政府も「ながら運転」による事故に関しては日本政府も厳罰化した改正案を2019年5月8日に閣議決定し法案として提出した<ref>[https://www.think-sp.com/2019/03/08/dokoho-kaiseian-sumaho-2019-3-8/]</ref>。
また日本など高齢化が進む社会([[高齢化社会]])では、全ドライバーに占める高齢ドライバーの割合が増え、ブレーキペダルとアクセルペダルの「踏み間違え」や道路の「[[逆走]]」を引き起こし、深刻で悲惨な事故が、高齢者の運転による死亡事故が(毎日のように)頻発するようになってきた。高齢者は、実際には客観的に測定して運転技能が落ちているにもかかわらず、本人は逆に「自分の運転には絶対に自信がある」などと言うようになり(=自信過剰状態)、こうした高齢者による(一種の狂気のような)自信過剰が原因で、より一層 重大で深刻な事故が起きている、ということが判ってきている<ref>[https://seniorguide.jp/article/1058760.html]</ref>。
2010年代後半、先進国の大手自動車メーカーやIT企業などが主導して、自動運転車、しかもA.I.([[人工知能]])と高性能のセンサーを多数活用した高度な自動運転車の開発にしのぎを削っており、すでに一部の地域では実験的に走行が始まっており、2020年代には本格的に販売され、普及が進んでゆくと予想されており、性能の良いAIを用いた自動運転車ならば、人間が運転するよりも事故率を数百分の1や数千分の1程度にまで減らすことができる、といった予想もあり、自動運転車の普及によって、交通事故で苦しむ人々が減ることが望まれている。
運転技能が落ちた高齢者ドライバーほど逆に自分の運転に「自信」を持つという恐ろしいデータも明らかになってきて、もはや高齢者ドライバーの「自覚」に期待したり、(自発的な)免許の自主返納に期待することは無理だ、高齢者に期待することが事故を引き起こす環境を放置する結果を生んでいる、ということも指摘されるようになってきている。(フジテレビの情報番組などをはじめとして)日本では高齢化が進み悲惨な事故が既に急増したので、高齢者ドライバーに関しては「(アクセルを踏み込む異状操作時に作動したり、障害物に突進する場合に作動する)自動ブレーキ車限定の免許」(現在のところ。また将来的には「自動運転車限定の免許」)に強制的に変えるなどの法的・行政的な対策が必要だ、との指摘が行われるようになっている。
=== 大気汚染と環境破壊 ===
{{see also|化石燃料#化石燃料の使用が引き起こす公害・環境問題}}
ガソリン、ディーゼル自動車は環境に大きな悪影響を与える。
[[内燃機関]]を
また、大量に自動車の走行する道路沿いでは大気汚染だけでなく走行による振動とそれに伴う[[騒音]]と言った様々な[[公害]]が大きな問題となる。▼
[[大気汚染]]は、道路周辺に住む人々の健康を害する。[[ぜんそく]]、[[肺疾患]]などを引き起こす。肺がんなどの原因ともなっている。
▲=== 交通事故多発問題 ===
▲[[ファイル:Two-car collision in the USA.jpg|thumb|[[交通事故]]で大破した車]]
自動車が大量に放出する二酸化炭素は[[地球温暖化]]を早めてしまい、窒素酸化物・硫黄酸化物などは[[酸性雨]]の原因にもなっており、これらの排出の削減が急務である。
自動車の排ガスはさまざまな面で害が大きいので、1970年代から先進国の政府によって大規模な[[自動車排出ガス規制]]が行われるようになった。その結果ようやく自動車メーカーは、排ガス中に有害物質の少ないエンジンや低燃費のエンジンを本腰を入れて開発するようになった。また徐々に、大気汚染問題を根本的に解決すべく、[[電気自動車]]や[[水素自動車]]などの開発も進むようになり、2010年代では電気自動車も本格的に販売台数が伸び、ヨーロッパ(や中国)では2020年代にさらに排ガス規制が厳格化し、電気自動車の普及の推進(や販売台数、販売割合の義務化)がされるよう予定が欧州議会や欧州の各国政府の主導で組まれており、環境にもやさしく健康にも優しい電気自動車の開発・販売や購入に対し様々な優遇措置がとられるようになっており(2012年時点ですでに行われていた)、各自動車メーカーも「脱ガソリンエンジン」「電気自動車開発」でしのぎを削っている。
;石油の大量消費
▲2018年には生産台数が1億台へ達すると予測されているが、仮に1.36トン車の984リットルで計算すると必要なエネルギーはガソリン984億リットル相当となり、これは日本の年間ガソリン消費量55百万キロリットル(550億リットル)<ref>日本エネルギー経済研究所 [http://oil-info.ieej.or.jp/data/oilnow2013.pdf 石油はいま 2013 OIL NOW] </ref>の約2倍である。
=== 自動車利用犯罪 ===
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