「冷え性」の版間の差分
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[[File:A thermal image demonstrating the loss of heat in a Reynaud's sufferer.jpg|thumb|right|250px|人間の手の[[サーモグラフィー]]。上の手は指先の温度が低く、冷え性の状態となっている]]
'''冷え性'''(ひえしょう)または、'''冷え症'''<ref name=jisdh.26.197>山王丸靖子
== 概要 ==
[[血行]]障害('''Poor blood circulation''')、特に[[末梢血管]]などでの障害により生じることがある。一般的な特徴として、身体全体には寒さを感じず、[[四肢]]など部分的に冷えを感じることが多いが、全身の冷えを訴える例もある<ref name=ryodoraku1986.35.107>森川和宥
一般に、女性は男性に比べて[[皮下脂肪]]が多いが、熱を通しにくい[[脂肪]]は、一旦冷えると温まりにくい性質がある。加えて、男性と比べ血流の多い筋肉が少ないことも起因する。{{要出典範囲|女性は男性に比して寒さに強いといわれるが、冷え性の女性はエネルギーの放散が少ないため、厳寒の雪山などや[[水難]]で遭難した場合にはむしろ生存時間が長いといわれる|date=2016-5}}。
== 定義 ==
病名は[[西洋医学]]にはなく[[病気]]として扱われず、単に身体の自覚症状([[不定愁訴]])に過ぎないと考えられている<ref name=ushiroyama />。[[東洋医学]]では治療すべき疾患とみなされている。従って、医学界の統一的な定義は明確ではない<ref name=Kusunoki />。これは生死に直接関わるものではないため、医学界の関心は薄かった事にあると指摘されている<ref name=jshhe.71.207>土屋基
冷え症の診断基準項目の例。寺澤(1987)<ref>寺澤捷年、
; 重要項目
# 他の多くの人に比べて“寒がり”の性分だと思う。
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== 統計的知見 ==
性別では女性に多いが男性でも冷えの訴えはあり、一般人(男64名 女89名)を対象とした調査では、男性26.6%、女性 55.1%が冷えを自覚し<ref name=sakaguchi>坂口俊二、川本正純、藤川治、『「冷え性」の定義の明確化に向けて : 「冷え性」調査用問診票(寺澤変法)の有用性の検討』 関西鍼灸短期大学年報 13, 58-63, 1998-06-30, {{naid|110001058080}}</ref>、女子大学生においては、約半数が冷え性群で<ref name=Kusunoki /><ref name=SAGA />36%程度が冷えが苦痛に感じているとする報告もある<ref name=SAGA>嵯峨瑞花、今井美和、{{PDFlink|[https://www.ishikawa-nu.ac.jp/pdf/kenkyu/09_10.pdf 女子大学生の冷えの苦痛とその要因の検討]}} 石川看護雑誌 第9巻(2012年3月)Volume 9 (March 2012)</ref>。一方、男女差は無いとする報告もある<ref>桑原有衣子、半藤保、池田かよ子、[http://hdl.handle.net/10623/36521 若年男女の「冷え症」について] 『新潟青陵学会誌』 No.4(3) 2012-3, p.65-69, {{hdl|10623/36521}}</ref>。
1980年代に行われた調査では、調査対象者の約40%が何らかの冷え症状を訴えており、思春期後期の19.3歳±5.1歳で発症していると報告されている<ref name=KONDO>近藤正彦、岡村靖、『冷え性の病態に関する統計学的考察』 『日本産科婦人科學會雜誌』 39(11), 2000-2004, 1987-11-01, {{naid|110002121876}}</ref>。
== 要因 ==
「遺伝」、「疾病の病態のひとつ」、「生活習慣」など幾つかの要因が複合していると考えられている<ref name=jisdh.26.197 />。
; 遺伝的な要因
1980年代から母親が冷えを訴えている場合、その子も冷えを訴える事が多いとされ遺伝的要素が関連している可能性が示唆されていた<ref name=KONDO /><ref>和田清吉、『冷え性と鍼灸手技療法』 関西鍼灸短期大学年報 4, 61-66, 1989-04-01, {{naid|110001076337}}</ref>が、2000年代になり、裏付けられる知見が得られている。これは、進化の過程で飢餓への対抗手段として獲得した代謝を低下させる'''倹約遺伝子'''<ref>竹中晃子、[https://
; 疾病の病態
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; 生活習慣
間違った食習慣も冷え症の原因になる。例えば、[[ダイエット]]のため摂取カロリーのみを重要視する偏重した食事となり、[[炭水化物]]を排除し[[野菜]]のみの食事となったり、逆に炭水化物主体となり野菜、[[タンパク質]]、[[ビタミン]]、[[ミネラル]]、[[脂肪]]などの摂取不足から[[栄養失調]]を生じるためである。冷え性を訴える群には、『朝食抜き』『ダイエット中』『塩分や脂肪分の摂取が多い』とする報告がある<ref name=jshhe.71.207 />。また、不規則な生活リズム、食事、薄着も影響を与えていると指摘されている<ref name=jshhe.71.207 /><ref name=jjh.49.1004>宮本教雄
; 冷え性との関連性が指摘されている生活習慣の例
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冷え性は、生活習慣病の側面があるため、生活改善することである程度の予防・改善をすることが可能であり、様々な民間療法や俗説が存在している。
* 体を温める食品を摂取し、体を冷やす食品の過剰摂取は避ける<ref name="endo">遠藤義晴 これが本当の「冷えとり」の手引書:愛蔵版
**体を温める食品
**体を冷やす食品
* 頭寒足熱になるようにする<ref name="endo"/>。
** [[天然繊維]][[靴下]]の重ね履きをする([[化学繊維]]靴下は不快な暑ぐるしさを感じるようになるため避ける)。
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* 朝は早起きして、夜は寝不足にならないよう早めに寝るようにする。
* 毎日お風呂に入り、シャワーではなく浴槽に入るようにして、血流を良くする。
* 38度程度のぬるめのお湯にしっかり浸かる(全身浴)<ref>{{Harvnb|川嶋朗|2010|p=76}}</ref><ref>{{Cite web |url=
* 42度程度の熱めのお湯と冷水のシャワーを交互に使う<ref>{{Cite web |url=
* マッサージや、柔軟体操などを行う。
* 定期的に適度な運動や、ウォーキングを行う。階段はなるべく歩いて昇降する。有酸素運動を行う。
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* 桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)61
* 五積散(ゴシャクサン)63
* [[大建中湯]](ダイケンチュウトウ)100
* 附子理中湯(ブシリチュウトウ)<ref>{{Harvnb|仙頭正四郎、土方康世|2007|p=62}}</ref>
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== 外部リンク ==
* 夏野豊樹
* 高取明正ほか、[http://ousar.lib.okayama-u.ac.jp
* [http://www.tsumura.co.jp/kampo/g_medical/ 「医療用漢方製剤ガイド」ツムラ]
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