「育児休業」の版間の差分

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== 育児休業の取得の状況 ==
厚生労働省「平成27年度雇用均等基本調査」によると、平成25年10月1日から平成26年9月30日までの1年間に'''在職中に出産した女性'''のうち、平成27年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む。)の割合は81.5%(平成26年度同調査では86.6%)、女性の有期契約労働者の育児休業取得率は73.4%(同75.5%)となっている。一方、同期間に配偶者が出産した男性のうち、平成27年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む。)の割合は2.65%(同2.30%)、男性の有期契約労働者の育児休業取得率は4.05%(同2.13%)となっている。男女間で大きな差があり、現在の日本では'''男性の育児休業取得率が極めて低い'''ことが、女性の就労や待機児童等の子育て支援問題の原因の一つと目されている。育児休業の取得期間をみても、平成26年4月1日から平成27年3月31日までの1年間に育児休業を終了し、復職した女性の育児休業期間は、「10か月~12か月未満」が31.1%(平成24年度同調査では33.8%)と最も高く、次いで「12か月~18か月未満」27.6%(同22.4%)、「8か月~10か月未満」12.7%(同13.7%)の順となっている。一方、男性は「5日未満」が56.9%(同41.3%)と最も高く、'''1か月未満が8割を超えている'''。男性の育児休業取得率が極めて低い理由として、厚生労働省「平成28年版男女共同参画白書」では子育て期にある30歳代~40歳代の男性は、週間就業時間60時間以上の雇用者の割合が他に比べて高いことを挙げ、'''深刻な[[長時間労働]]'''が問題としている。これは日本の物価及び税金の上昇が、労働者の所得の上昇をはるかに上回っているためである。今まで共働きで何とか家庭を維持してきた夫婦が、出産を機に母親が労働時間を減らさざるを得なくなるに伴い、父親だけの収入では家庭を維持できなくなるため、子育てを母親に任せ、父親は無理やりにでも残業して残業代を稼ぐなどして所得を維持しなければならないという日本社会の歪な構造に起因する。育児休業の取得率の低さだけではなく、世界的に異常とされる長時間労働や、一向に改善の兆しが見えない出生率の低下にも直結する根源的な問題であるにもかかわらず、日本政府は2019年現在何一つ対策を打ち出していないどころか、検討すらしていない
 
厚生労働省「平成27年度雇用均等基本調査」によると、育児休業制度の規定がある事業所の割合は、事業所規模5人以上では73.1%(平成26年度同調査では74.7%)、事業所規模30 人以上では91.9%(同94.7%)となっていて、規模が大きくなるほど規定がある事業所割合は高くなっている。特に事業所規模500人以上では100%となっている。産業別にみると、複合サービス事業(100%)、電気・ガス・熱供給・水道業(95.3%)、金融業、保険業(93.6%)で規定がある事業所の割合が高くなっている。また同調査によると、育児のための所定労働時間の短縮措置等の制度がある事業所の割合は61.3%(平成26年度同調査と同率)となっていて、各種制度の導入状況(複数回答)をみると、「短時間勤務制度」が57.8%(平成26年度同調査では57.9%)、「所定外労働の制限」が53.2%(平成26年度同調査では54.6%)、「始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ」が30.4%(平成26年度同調査では20.7%)となっている。
 
ただし、これらの調査には、第1子出産前に退職した女性は含まれていない。育児介護休業法では育児休業は男女問わず'''労働者の権利'''として認められていて、事業主は労働者からの申請に応じて休業させなければならない。しかしながら、「平成28年版男女共同参画白書」では'''出産前後に就業を継続する女性労働者の割合は変わっていない'''、としている。同白書では、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に「賛成」「どちらかといえば賛成」と答える者は、長期的には減少傾向にあるものの、平成26年には女性で43.2%、男性で46.5%となっており、仕事と家庭生活を夫婦で分担するとの考え方が多く存在するとしている<ref>なお同白書では、少子高齢化により1人の高齢者を支える現役世代の数が少なくなる中、日本社会が持続的に発展していくためには、'''現役世代が「仕事」か「家庭生活」かといったいずれかの選択ではなく、1人で何役も担わなければならない'''ケースが増えてくることも考える必要があり、そのための鍵となるのは、長時間労働や画一的な働き方を変革し、一人一人の事情に応じた職業生活を営むことができる社会を実現していくことである、としているが、2019年現在日本政府は何らの対策・方針も打ち出していない。</ref>。
 
また事業主の側では「育児休業を取得されたら、同じ職場で働く人にとっては迷惑でしかなく、また経営者にとっては甚大な損害である。」という考えを持ち、その考えに基づいて経営リスクを排除するため、結婚・妊娠・出産した女性を、様々な方法で退職に追い込んだり、降格および減給の対象とする暗黙の人事制度を実施している事業主が存在する([[マタニティハラスメント]])。そのような雇用主の下では、結婚・妊娠・出産した女性の側も、そのような人事制度の職場に在職を続けても仕事と育児の両立は不可能であるので、そのような人事制度の職場を見限って、自分や子供の利益を守るために退職・転職する事例もある。その結果、日本では、結婚・妊娠・出産以前や、子供が小学校高学年や中学生程度の育児負担が少なくなる以後と比較して、結婚・妊娠・出産から子供が小学校低学年の育児期の女性の就業率が低くなっている([[M字カーブ]])。