「ブランコ」の版間の差分

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世界最長としてギネス認定された日本のブランコについての追記など。
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ブランコはポピュラーな遊具の一つで、[[公園]]や[[小学校]]の[[運動場]]などに備え付けられていることが多い。
 
'''鞦韆'''('''秋千'''、しゅうせん)ともいう。「鞦」「韆」はそれぞれ1文字でもブランコの意味を持つ。「鞦韆」は今でこそブランコの意味を持つが、古くは中国で宮女が使った遊び道具(性具)をさす。いま現代のブランコとは少し違い飾りがたくさんついており、遊戯中、裾から足が見えて、皇帝が見ていて運よく夜伽に呼ばれる可能性から艶かしいイメージを持たれていた。[[北宋]]の文人、[[蘇軾]]の[[漢詩]]『春夜にも鞦韆が出てくることから、性行為の過程を詠んだという解釈もある。[[唐]]の[[玄宗]]は、鞦韆に「半仙戯」の名を与えたという{{Sfn|角川学芸出版|2006|p=284}}。
 
雅語は「ふらここ」。「ぶらんこ」の語源については擬態語「ぶらり」「ぶらん」などから来たとする説や、[[ポルトガル語]]の balanço (バランソ、[[英語]]のバランス、swing スイングの意もある)、もしくはBlanco(ブランコ、[[白]]色)から来たとする説などがある。なお、ポルトガル語版での対応項目タイトルは「Balanço」、フランス語版では「Balançoire」となっている。「ふらんど」「ゆさわり」ともいう{{Sfn|角川学芸出版|2006|p=284}}。
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日本へは古く中国から伝わったとされ、樹木や梁から吊り下げたものであった{{Sfn|笹間良彦|2005|p=201}}。[[嵯峨天皇]]の詩に詠まれ、また、『[[倭名類聚抄]]』にも記述がみられる{{Sfn|笹間良彦|2005|pp=201-202}}。「ぶらんこ」と呼ばれるようになったのは[[江戸時代]]になってからとされる{{Sfn|笹間良彦|2005|p=202}}。
 
[[サーカス]]などの曲芸には[[空中ブランコ]]という独特なブランコが使われる。非常に高い位置から2条の紐が降りていてその先に細長い棒のようなものがあるだけである。一般のブランコの紐を長くし台を極限まで小さくしたものと解してよい。英語では、遊具のブランコは swing、空中ブランコは [[:en:Trapeze|trapeze]] と呼ぶ。
 
== 種類 ==
[[File:Severe Tropical Storm Etau (2009) aftermath in Sayo 88.jpg|thumb|200px|タイヤブランコ]]
=== 一方向ブランコ ===
座板を2本の鎖で支柱から吊り下げる構造をつ最も一般的なもの通常は単に「ブランコ」というが、関連文献などでは他の種類と区別するため「'''一方向ブランコ'''」として類型化されることがある{{Sfn|松野敬子|山本恵梨|p=79}}。座板の材質・形状については、木製の板状のもの、金属製の椅子状のもの、ゴムや[[ポリウレタン]]製で腰まですっぽり覆われるバケツ型のものなどがある{{Sfn|松野敬子|山本恵梨|pp=80-84}}。ただ、ブランコについては飛び降り時に他の遊具や安全柵と衝突するなどの原因による事故も報告されており、座面の改善や転落への対策等が必要という指摘がある{{Sfn|松野敬子|山本恵梨|pp=79-89}}。
 
=== 全方向ブランコ ===
ゴム製の[[タイヤ]]を3本の鎖で支柱から吊り下げる構造をつもの「タイヤブランコ」もしくは「全方向ブランコ」と呼ばれる{{Sfn|松野敬子|山本恵梨|p=90}}。
 
=== 箱ブランコ ===
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可動部に2人~3人が向かい合って座る構造の4人ないし6人乗りの大型のブランコ。「箱ブランコ」のほか「揺りかご型ブランコ」あるいは「丸ブランコ」などとも呼ばれる{{Sfn|松野敬子|山本恵梨|p=62}}。
 
ただ、可動部の重さ、地面との隙間が狭いこと、指や足を挟む隙間が多いなどの問題点が指摘され、1960年代から頭蓋骨骨折や[[脳挫傷]]などによる死亡事故の報告例があった{{Sfn|松野敬子|山本恵梨|pp=63-76}}、このようなことから全国的に撤去される例が多くなっている。[[国土交通省]]管轄の公園においては、2001年には約13000台設置されていたが、2004年には約3600台にまで減少している{{Sfn|松野敬子|山本恵梨|p=62}}。
 
=== 遊動円木 ===
{{main|遊動円木}}
長い座板の両端を鎖で支柱から水平に吊り下げた構造をつ遊具{{Sfn|松野敬子|山本恵梨|p=77}}。遊動円木についても事故の報告があり、座面の材質や可動部の重さが問題点として指摘されている{{Sfn|松野敬子|山本恵梨|p=78}}。
 
== 遊び方 ==
{{出典の明記|section=1|date=2013年8月}}
2本の鎖やロープによってぶら下げられた椅子(踏み台)に乗り[[振り子]]の原理を利用し前後にらし、踏み台を漕ぐことによって振幅を徐々に大きくすることで振り子運動を楽しんだり高度感を味わったりする。[[物理学]]的には、[[パラメータ励振]]で説明できる。具体的にうと立ち乗りで漕ぐときには、最下点付近の[[遠心力]]が最も大きくなるあたりで立ち上がり、最上点付近の遠心力が小さなところでしゃがむ運動を繰り返している。
 
===乗り方の例===
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[[File:Local Government in a Country Town- Life in Wotton-under-edge, Gloucestershire, England, C 1944 D22016.jpg|thumb|200px|1人乗り(立ち乗り)]]
;座り乗り
:最も一般的な乗り方である。ブランコの台にすわり、両足を揺り動かすことによりブランコを動かす。この方法だと後ろから誰かに押してもらうことが容易であるので、力のない者でもブランコを楽しむことが出来るし、また転倒などの危険性が少なく安全性が増す。この方法の欠点は、足が疲れることと足だけでは作り出す振幅に限りがあるため、すぐには高くまでこぐことが出来ないということである。また立ちりが盛んなブランコだと尻が[[泥]]で汚れることもある。
;立ち乗り
:ブランコの台に立ったまま乗り、体全体を揺り動かすことによりブランコを動かすというもので、小学校中学年くらいになってからこの方法を取る者が多い。転倒などのリスクはあるが、体全体を使うことで大きな振幅を生むことができるため、スリルや自分が高いところにいることを楽しむことが容易である。本来座るべきブランコの台に土足で立って乗るのは、座り乗りで前述したような迷惑につながるという批判もある。
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== 文化 ==
[[ファイル:Fragonard, The Swing.jpg|200px|right|thumb|[[ジャン・オノレ・フラゴナール]][[ぶらんこ (フラゴナール)|ぶらんこ]](1767-1768年頃)、[[ウォレス・コレクション]]蔵]]
*世界最長のブランコとして、日本の[[福岡県]][[北九州市]]が[[グリーンパーク・響灘緑地|響灘緑地グリーンパーク]]に設置したブランコが2019年5月11日、[[ギネス世界記録]]認定された。100台のブランコと支柱などを全長約163mの環状につなげて、同日、ギネス認定員が立ち会って100台全てを同時に漕いで見せた。従来の世界最長ブランコは[[オランダ]]にあり、約133mだった<ref>[https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44688540R10C19A5CZ8000/ 「世界最長163メートルのブランコ/北九州 環状に100台つなぐ」]『[[日本経済新聞]]』朝刊2019年5月12日(社会面)2019年6月9日閲覧。</ref>。
*[[深夜]]の公園で一人でブランコに座っている若い女性あるいは中年男性は、寂しい人を象徴するシーンとして[[映画]]や[[テレビドラマ]]などでよく使われる。比較的よく知られたものに[[黒澤明]]『[[生きる (映画)|生きる]]』や[[増村保造]]『[[暖流 (小説)|暖流]]』のシーンがある。
*[[俳句]]における[[春]]の[[季語]]である。
*ブランコをぎながら[[靴飛ばし]]をする遊び方もある。
 
=== ブランコをテーマにした音楽 ===
*[[子供の遊び (ビゼー)|子供の遊び]]」[[作品番号|Op.]]22より第1曲「ぶらんこ」 - [[ジョルジュ・ビゼー]]作曲の[[ピアノ]][[連弾]]曲。
* [[ブランコ (童謡)|ブランコ]] - [[都築益世]]作詞、[[芥川也寸志]]作曲の童謡。
* [[ブランコ (みんなのうた)|ブランコ]]([[日野てる子]]、[[NHK東京児童合唱団|東京放送児童合唱団]]) - [[1973年]]6月に[[日本放送協会|NHK]]の『[[みんなのうた]]』で紹介された楽曲。作詞:[[水木かおる]]、作曲:[[一ノ瀬義孝]](なお映像に出て来たブランコは本項で紹介された物ではなく、遊園地の金属製ブランコ(別名:ウエーブ・スインガー)である)。
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== その他 ==
*日本のテレビアニメ『[[アルプスの少女ハイジ (アニメ) |アルプスの少女ハイジ]]』のオープニングには、非常に長い紐のブランコに乗るシーンがある。目視と計算によると、このブランコの最高速度は時速60 [[キロメートル毎時|km/h]]をえるという([[柳田理科雄]]による説)。
*[[ヨーヨー]]の技の一つに、糸でブランコの骨組みを象りヨーヨー本体でブランコを表現する「ブランコ」という技がある。
*[[飲食店]]などで、[[衣紋掛け|ハンガー]]や[[椅子]]などにかけた[[洋服]]などから[[財布]]などを盗む手口をブランコ[[スリ]]という。
 
== 脚注・出典 ==
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