「ティーガーI」の版間の差分

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ティーガーIの内部構造は一般的なドイツ戦車と同様であった。発動機を後部に配し、主変速機と操向変速機およびブレーキを車体前部に配した。砲塔は車体中央部に位置する。
 
後方から見て車体前部左側に運転手席、右側に無線手兼前方銃手席を設け、車体中央の戦闘室には戦車長、砲手および装填手を配した。戦闘室は防火壁を介して機関室とは完全に隔離されており、機関室の騒音を遮蔽し、防熱上有利だった。運転手席と無線手席の天井にはペリスコープ付きの小ハッチが設けられた。戦闘時には、運転手は防弾ガラスと開閉式装甲カバーを備えたスリットを通して前方を視認した。
 
戦闘室には一段高くなった床と、砲塔と連動して旋回する砲塔バスケット(砲塔壁面と連結した三本の支柱で吊られた円形の床)が設けられており、砲塔の回転とともに砲備品や乗員も回転した。重さ11トンの砲塔は、エンジンから動力供給される油圧装置を通じて動かされ、エンジン回転数が1,500回転の場合には全周旋回に1分かかった。これはこの戦車の欠点の一つで、そのため近接移動する敵戦車を取り逃がすことがしばしば起きた。エンジンの回転数と砲塔の旋回速度は比例した。
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機力旋回のほか、戦車長と砲手はハンドルを用いて砲塔を人力旋回させることができた。砲手はフットペダルによって砲塔の旋回を操作した。砲塔バスケット上に立つ装填手は、容易にスポンソン(履帯上の車体側面の張り出し)に搭載されている8.8cm砲弾薬をかかえ出すことができた。砲塔内部左側には砲手が座り、車長はその後ろに位置した。装填手は砲を挟んだ砲塔右側に立って作業を行うが、走行時に腰掛ける専用の折りたたみ式ベンチもあった。また床から砲塔天井までの高さは157cmだった。ターレットリングの直径は1,850mmである。
 
砲塔の右側面には外部視察用後方スリットが設けられ、装甲板から丸い瘤がせり出す形状となっている。砲塔の背面には車外収納箱(ゲペックカステン)が取り付けられ、主に整備用具類の収納に利用された。ゲペックカステンと外部視察用スリット向かって右側には脱出用ハッチが設けられている。このハッチは厚みが80mmあり、蝶番が下に取り付けられていたため、いったん開けたハッチを閉じるにはかなりの筋力が必要だった。ゲペックカステンの向かって左側には自衛戦闘用のピストルポートが設けられ、周囲を保護するために環形の追加装甲がボルト留めされていた。
 
砲塔上面の中央付近には換気扇、その左側に戦車長用キューポラ、右側に装填手用のペリスコープとハッチがそれぞれ設けられていた。後期生産型の車体砲塔では、装填手ハッチの後方に[[近接防御兵器]]が装備された。戦車長用キューポラの形状は当初、側面のスリットから防弾ガラスを通し直接視認する単純な筒型だったが、ソ連軍の対戦車ライフルに狙われるなど、防御上不利だったため、中期型以降ではパンターA型以降同様の、ペリスコープを介し間接視認する背が低いタイプに改良された。
 
=== 火力 ===