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[[ギガントマキアー]]ではセレーネーは兄弟たちとともにゼウスに協力し、[[ギガース]]たちの味方をする[[大地母神]][[ガイア]]が[[薬草]]を見つけられないように空に現れなかったと伝えられている<ref>アポロドーロス、1巻6・1。</ref>。
 
最も有名なセレーネーの神話は美青年[[エンデュミオーン]]との恋物語である。セレーネーは彼を愛し、ゼウスに願って(一説には彼女自身<ref>高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』76頁。</ref><ref>[[山室静]]『ギリシャ神話 付・北欧神話』82頁。</ref>)エンデュミオーンに[[不老不死]]の永遠の眠りを与えたと言われる<ref>アポロドーロス、1巻7・5。</ref>。一説によるとこの出来事は[[小アジア]]のラトモス山で起きたことになっている<ref>[[ロドスのアポローニオス]]、4巻57行。</ref>。セレーネーがエンデュミオーンの臥所を訪ねた際、夜空を行く月がラトモス山の陰に隠れてしまった。魔女[[メーデイア]]はこれを利用して、月のない闇夜を欲する時にはセレーネーに魔法をかけてエンデュミオーンへの恋心を掻き立て、それから月が夜空から消えた<ref>『[[変身物語]]』7巻207行。</ref>。あるいはセレーネーはエンデュミオーンと交わりを重ねて50人の娘<ref>パウサニアス、5巻1・4。</ref>・[[月 (暦)|暦月]]の女神メーネーたちを生んだ。セレーネーは、メーネーとも呼ばれる<ref>フェリックス・ギラン『ギリシア神話』172頁。</ref>。
 
他には、牧神[[パーン (ギリシア神話)|パーン]]もセレーネーの美貌に魅了され、恋い焦がれたことがあった。そこでパーンは純白の羊毛皮でセレーネーを誘惑したが、毛皮の美しさに魅了されたセレーネーは拒まなかったという<ref>ウェルギリウス『農耕詩』3巻391行-93行。</ref>。しかしこの恋物語にはいくつか異なるものがあり、パーン自ら純白の羊毛皮に変身し、毛皮に魅了されたセレーネーが地上に降りてきたところを[[アルカディア]]の森の奥に連れて関係を持ったとも、純白の羊をプレゼントして関係を持ったとも伝えられている<ref>河津千代による『農耕詩』訳注、p.309。</ref>。