「国鉄C61形蒸気機関車20号機」の版間の差分

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[[駆動輪|動輪]]のタイヤ、先輪、従輪、[[炭水車]]輪のすべてが新たに製造されている。当機の特徴である振替えられた第二先輪([[#当機の第二先輪|後述]])は、第一先輪と同じプレート輪心形に交換されることになり、見栄えの整備も行われた。外観は従前と同じプレート輪心であるが、その実は現在の[[鉄道車両]]と同様の[[一体圧延車輪]]であり、考証に沿った見栄えとするため、輪心には、先輪4箇所、従輪3箇所、炭水車輪2箇所の丸穴が開けられている。
 
ボイラーの最高使用圧力は、腐食の著しかったボイラーが新品に近い形で修繕され、所定の15[[工学気圧|kg/cm<sup>2</sup>]] (1470[[パスカル_(単位)|kpa]]) で使用されている(D51 498は14[[工学気圧|kg/cm<sup>2</sup>]] (1370kpa) )<ref group="注">但し、D51の登場時は14kg/cm<sup>2</sup>で運用された。戦後D51の標準とされた15kg/cm<sup>2</sup>は戦時体制の頃からである。</ref>。最高運転速度は、本機のブレーキ力(積車ブレーキ率)が、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」第69条で定められる50/100に満たなかったため<ref group="注">43/100(3/7)</ref>、本来の100km/hで運転することはできず、75km/hまでに制限した。試運転の結果では75km/hでの非常制動距離が500m以内であり、[[600m条項|規定の600m]]を十分にクリアしている<ref group="注">現役時代には現在ほどのブレーキ率の規定がなく、所定の走行条件に於いて600m以内で停止できれば足りた。</ref>。なお、東日本管内での運転限界最高速度は「SLばんえつ物語」の65km/hとしており、同列車を担当するC57 180が運行する際のダイヤを用いての運転が可能であるが、加速性が若干乏しい影響で1分から2分程度の誤差が生じる(理由は後述)。2011年8月2日に行われた信越本線(高崎 → 横川間)における試運転では、磯部 → 横川間における25[[パーミル|‰]]の急勾配区間で空転が多発し、停止寸前まで速度が落ちた。本来、横川 → 高崎間への回送を牽引する最後尾のDD51形はぶら下がりの無動力扱いのはずであったが、この事態によりディーゼル動力を使い当機の後補機となって勾配を登った。これにより、以後急勾配区間では必ず後補機を必要とすることとなった。この事態の背景には、ストーカー設置に伴って設計されていた従輪2軸配置による軸重軽減が、先述したとおりストーカー装置を撤去したため、車軸にかかる重量負担2.8t分緩和したことによって動輪粘着力低下を助長し、空転を起こしやすい状態になったものと考えられている<ref>[[交友社]]「[[鉄道ファン (雑誌)|鉄道ファン]]」2014年6月号P29</ref><ref group="注">「[[SLやまぐち号]]」の[[国鉄C57形蒸気機関車1号機|C57 1]]は5両まで単独で25‰勾配を登れるため、蒸気発生量や出力がそれより多い当機でも単独で登れると当初は見込まれていた。</ref>。ただし、上越線などのような10‰程度の緩勾配路線では単機運転が可能となっている。また、条件によっては最大15‰まで単機運転で対応も可能となっている<ref group="注">2014年(平成26年)12月5日から7日に運行された「SL奥久慈清流ライン号」で走行した水郡線には、一部区間でわずかながら最大16‰の上り勾配の区間が存在するが、12系4両を補機なしで運行している。その際、特に空転の多発化や速度の鈍化など問題となる状態は確認されておらず、当機がこの区間を走行するには障害となるものが少なかったものと考えられる。</ref>。その上で、空転を起こしやすいバランスになっていることから、加減弁の開放具合を控え目にしたり、逆転機を使って絞り率を綿密に調整するなどの技術が必要とされ、結果としてフルパワーでの運転は満足にできず勾配を登るためのトルクが足りなかったことも一因とされている。これらの条件により、発車時を含め本来のパワーを発揮しきれない状況でいる。2011年9月までは「群馬デスティネーションキャンペーン」の目玉を飾るべく、こうした状況の中DD51形の動力を補いながらも信越本線での牽引運転を予定通り行った。それ以降、信越本線でのSL列車はD51 498の牽引が基本運用となっているが、2012年秋から2013年春はD51 498が全般検査による運用離脱で運転ができず、当機が充当される機会が到来するものの、上り勾配となる高崎 → 横川間での牽引ではなくなり、復路の横川 → 高崎間での下り勾配を走る運用で設定されている(往路は牽引力のある電気機関車またはディーゼル機関車による運転となっている)。高崎 → 横川間での牽引は、D51 498が牽引する予定で直前で不具合等が生じ運転が不可能になり、かつ指定券を発売済みの時に限り行われることになっている<ref group="注">2012年1月21日、2013年夏季・秋季などにD51 498不具合による代走実績あり。</ref>。
 
== 当機の第二先輪 ==