「ノンコーディングRNA」の版間の差分

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Ncrna2002 (会話 | 投稿記録)
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環状RNAの追加
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=== mRNAの非翻訳領域 ===
原核生物・真核生物を問わず、いくつかのmRNAでは、タンパク質として翻訳されない領域([[英]]:untranslated region: UTR、[[非翻訳領域]])の中に、'''シスに'''(つまり連結した配列上で)機能する[[シスエレメント]]を含む場合がある。特に原核生物ではこのような制御配列が多く同定されており、RNAの分子機能を考える上でUTRに含まれる制御配列は非常に重要である。代表的なUTRの制御配列として、特定の代謝産物と直接結合することで転写終結や翻訳を制御する配列“[[リボスイッチ]]”や、翻訳終止の代わりに[[セレノシステイン]]挿入を指示する配列“[[SECIS]]”(セレノシステイン挿入配列)がある。
 
===環状RNA(ciecular RNA、circRNA)===
RNAの3'末端付近を5'スプライス部位、5'末端付近を3'スライシング部位としてRNAスプライシングが行われると、環状RNAが産生される。このような環状RNAの多くはタンパク質をコードしていないと考えられている。いくつかの環状RNAはmiRNAと相補的な配列を含んでおり、これらのmiRNAと結合することで、miRNAによる遺伝子発現抑制の効果を弱めている。
 
=== その他のncRNA ===
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20~30塩基の小分子ncRNAに関しては共通するエフェクター複合体であるRISC(RNA誘導サイレンシング複合体)を介してその機能が発揮される。以下では主にRISCの形成過程と機能について述べる。
 
===;小さなRNAは二本鎖RNAから生産される===
small RNAのうち、siRNAとmiRNAは由来や構造は異なるが、ともに生合成の中間体として二本鎖RNAの状態を経由するため、RISC形成過程には共通点が多い。siRNAは[[ウイルス]]感染など外因性の長い二本鎖RNAや両方向あるいは逆位反復配列の転写などによる内因性の長い二本鎖RNAを前駆体とし、Dicerとよばれる酵素による切断を受け、siRNA二本鎖として生合成される。一方でmiRNAはpol Ⅱまたはpol Ⅲによって合成された一時転写産物(pri-miRNA)が、核内でDroshaとよばれる酵素による切断を受けて、30塩基程度の二本鎖領域を含むヘアピン型の前駆体miRNA(pre-miRNA)が作られた後、細胞質に輸送され、さらにDicerにループ部分を切り落とされることによりmiRNA/miRNA*二本鎖として生合成される。siRNA二本鎖もmiRNA/miRNA*二本鎖も、ともに21~23塩基程度の二本鎖RNAであり、二本鎖の5’末端にはリン酸基を、3’末端には2塩基程度の突出構造(オーバーハング)をもつ。これに対して、small RNAのエフェクター複合体であるRISCにはArgonaute蛋白質と一本鎖RNAのみが含まれる。したがってsiRNA二本鎖やmiRNA/miRNA*二本鎖がRISCを形成するためには少なくとも「Argonaute蛋白質の小分子RNA二本鎖への積み込み」と「Argoneute中での二本鎖の引き剥がしと片鎖の排出」という2段階の反応が必要になる。このとき排出される方の鎖をパッセンジャー鎖、最終的にRISC中で標的mRNAにかかわる方をガイド鎖とよぶ。