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イエネコは、[[形態学]]的分析を主とする伝統的な[[生物学]]的知見によって、以前からヨーロッパヤマネコの亜種[[リビアヤマネコ]] {{snamei|Felis silvestris lybica}}が原種とされてきた。[[20世紀]]後半から発展した[[分子系統学]]等による新たな知見も、従来説を裏付ける形となった。米英独等の国際チームによる[[2007年]]6月29日の『[[サイエンス]]』誌(電子版)への発表では、世界のイエネコ計979匹をサンプルとした[[ミトコンドリア]][[DNA]]の解析結果により、イエネコの祖先は約13万1000年前([[更新世]]末期〈{{仮リンク|アレレード期|en|Allerød oscillation}}〉)に[[中東]]の[[砂漠]]などに生息していた亜種リビアヤマネコであることが判明した<ref>{{Cite web |title = イエネコの祖先は近東出身 // Tabby’s Ancestors Traced to the Near East(今週のハイライト) |url = http://www.sciencemag.jp/highlights/20070629.html |author = [[サイエンス|Science Magazine Japan]] |date = 2007-6-29 |accessdate = 2008-4-19 |deadlink = 2009-5 |archiveurl = https://web.archive.org/web/20070701180657/http://www.sciencemag.jp/highlights/20070629.html |archivedate = 2007-7-1 |deadurldate = 2017-9}}</ref>。
 
愛玩用家畜として同じく一般的な[[イヌ]] {{snamei|Canis lupus familiaris}}に比して、ネコは飼育開始の時期が遅いが、これは家畜化の経緯の相違による。イヌは[[狩猟採集社会|狩猟採集民]]に[[猟犬]]や[[番犬]]として必要とされ、早くから人の社会に組み込まれたが、ネコは、[[農耕]]の開始に伴い[[鼠害]](ネズミの害)が深刻にならない限り有用性がなく、むしろ狩猟者としては競合相手ですらあった。その競合的[[捕食]]動物が人のパートナーとなり得たのは、[[穀物]]という「一定期間の保管を要する食害を受けやすい財産」を人類が保有するようになり、財産の番人としてのネコの役割が登場したことによる。また、[[伝染病]]を媒介する鼠を駆除することは、結果的に疫病の予防にもなった。さらに、記録媒体として[[]]など食害されやすい材料が現れると、これを守ることも期待された。日本には[[平安時代]]に倉庫の穀物や経典類の番人として輸入されたことにより渡来してきたものと考えられてきた<ref>奈良文化財研究所 読売新聞(2008年06月22日)</ref><ref>『[[世界大百科事典]]』([[平凡社]])「ネコ」の項目。{{Full citation needed|date=2019-01-04|title=出版年や版が不明。}}</ref>が、近年の研究では移入期が紀元前2世紀の弥生時代までさかのぼる可能性が出てきた<ref>[https://webronza.asahi.com/science/articles/2019031600001.html 猫はいつから日本にいるのか] - 朝日新聞社 WEBRONZA、2019年3月25日</ref>。
[[ファイル:2016-06-14 Breast-feeding of Cats ネコの授乳 DSCF6490.jpg|thumb|240px|ネコは[[農耕]]の開始に伴い人に飼われるようになった。]]
農耕が開始され[[集落]]が出現した時期の中東周辺で、山野で[[ネズミ]]や[[ノウサギ]]を追っていたネコがネズミが数多く集まる穀物の貯蔵場所に現れ、棲みついたのが始まりと考えられている(リビアヤマネコの生息地と農耕文化圏が重なった地域で、複数回起こっていたと考えられる)。穀物には手を出さず、それを食害する[[害獣]]、[[害虫]]のみを捕食することから、双方の利益が一致。穀物を守るネコは[[益獣]]として大切にされるようになり、やがて家畜化に繋がった。
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ニュージーランドの[[スティーブンズ島]]における事例では、固有種である[[スチーフンイワサザイ]]の最後の1羽が、灯台守が飼育していた1匹のイエネコに捕食されたことにより絶滅した。ただし、元々スチーフンイワサザイは先史時代にはニュージーランド全域に生息していたが<ref name="worthy&holdaway1994">Worthy, T.H. & Holdaway, R.N. (1994) "Scraps from an owl's table---predator activity as a significant taphonomic process newly recognised from New Zealand Quaternary deposits." ''Alcheringa'' 18: 229–245.</ref><ref>Millener, P.R. (1984) New Zealand theses in Earth Sciences: The Ouaternarv avifauna of the North Island. New Zealand. PhD, 1981. Universitv of Auckland-2 vols.; kviii + 897 up. (abstract). NZ J. Geol. Geophys. 27: 99–100.</ref><ref>Millener, P.R. (1988) "Contributions to New Zealand's Late Quaternary avifauna I: Pachyplichas, a new genus of wren (Aves: Acanthisittidae), with two new species." ''J. Roy. Soc. NZ'' 18(4): 1x1–An6</ref>、[[マオリ]]とともニュージーランドに到達していた[[ナンヨウネズミ]]による捕食により、19世紀の時点ではスティーブンズ島においてイエネコが駆逐した15羽しか確認されていない<ref name="tyrberg&milberg1991">Tyrberg, T. & Milberg, P. (1991) ''Xenicus lyalli'' exterminated by Polynesias rats and lighthousekeepers cats. Var Fagelvarld, 505: 15-18.</ref>。
 
ネコによる捕食でアメリカでは毎年1億羽の小鳥が死亡しているという研究結果が出ている<ref>{{Cite book|author=スー・ドナルドソン/ウィル・キムリッカ |title=人と動物の政治共同体 |date=|year=|accessdate=2016 |publisher=尚学社 |page=344|author2=|author3=|author4=|author5=|author6=|author7=|author8=|author9= }}</ref>。
 
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