「Well-defined」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
取り消した編集の出典を明記する必要のない部分を修正。
新規作成 (会話 | 投稿記録)
m rvv
1行目:
数学における '''{{en|well-defined}}'''とは,{{efn|''容易く理解できる''」といった意味の[[英語]]の[[形容詞]]である{{sfn|oxf|2015|loc=well-defined}}。}}は、「[[定義]]によって一意の解釈又は値が割り当てられる」ことを言う{{sfn|Weisstein|2008}}。「'''良定義'''」などと[[日本語]]訳される場合がある{{sfn|鈴木|邑本|2009|p=106}}{{sfn|野口|1996|p=41}}。[[反意語]]は '''ill-defined''' であるが、これは{{sfn仮リンク|oxf未定義|2015en|loc=well-definedUndefined (mathematics)}} ({{en|undefined}}) であることとは異なる
「'''良定義'''」などと[[日本語]]訳される場合がある{{sfn|鈴木|邑本|2009|p=106}}{{sfn|野口|1996|p=41}}。
本稿では「[[定義]]によって一意の解釈又は値が割り当てられる」ことを言う数学用語{{sfn|Weisstein|2008}}について述べる。
 
== 定義 ==
ある定義が well-defined であるのは次の二命題が示されたときである{{sfn|雪江|2010|p=10}}。
; 実際に成立する
: (定義で)示された表式が成立しない場合{{efn|例えば[[極限値]]を用いた定義で,そもそも極限が存在しない場合など{{sfn|雪江|2010|p=10}}。}},well-definedであるとは言えない。
10 ⟶ 8行目:
: 往々にして,(数学上の)定義はいくつもの表式を経由する{{efn|例えば交わる二直線の狭角に関する定義で,その交点に(便宜的な理由から)新しい名前を付けるなど{{sfn|数セミ|1999|p=53}}。}}。このとき,最終的な結論が中途の表式に依存している場合{{efn|前注釈の例を引き継いで述べると,用意した交点の位置(や名前)が変わると最終的な(定義の)結論が変わってしまう場合。}},well-definedであるとは言えない。
 
写像と定義域上の同値関係に対して次のように数式を用いて記述することもできる。[[集合]] {{mvar|X}} 上の[[同値関係]] {{math|≡}} と[[写像]] {{math|''f'': {{mvar|X}} → {{mvar|Y}}}} に対して
: {{math|{{mvar|x}} ≡ {{mvar|x}}{{sup|′}}}} ならば {{math|''f''(''x'') {{=}} ''f''(''x''{{sup|′}})}}
が任意の {{math|{{mvar|x}}, {{mvar|x}}{{sup|′}} ∈ ''X''}} に対して成立するとき,写像 {{mvar|f}} は関係 {{math|≡}} に関して well-defined であると言う{{sfn|横田|1976|p=60}}(cf. {{仮リンク|同値関係のもとでのwell-defined性|en|Equivalence_relation#Well-definedness_under_an_equivalence_relation}}、{{仮リンク|準同型定理|fr|Théorème de factorisation|preserve=1}})。
 
== 例 ==
[[集合]]{{math|{{mvar|X}}}}上の[[同値関係]]{{math|≡}}と[[写像]]{{math|f: {{mvar|X}}→{{mvar|Y}}}}に対して
実数 {{math|''a'' > 0}} の [[冪関数|{{mvar|x}} 乗]]の定義を、{{mvar|x}} が有理数から実数に拡張したいとする。このとき {{mvar|x}} に収束する有理数列 {{math|{''x<sub>n</sub>''}{{subsup||''n'' {{=}} 1|&infin;}}}} を用いて
: {{math|{{mvar|x}}≡{{mvar|x}}{{sup|&prime;}}}}ならば{{math|f({{mvar|x}}){{=}}f({{mvar|x}}{{sup|&prime;}})}}{{efn|当然ながら,集合{{math|{{mvar|X}}}}上の同値関係{{math|≡}}で結ばれている{{mvar|x}}及び{{mvar|x}}{{sup|&prime;}}は集合{{math|{{mvar|X}}}}の元である。}}
:<math>a^x:=\lim_{n\to\infty}a^{x_n}</math>
が成立するとき,写像{{math|f}}は関係{{math|≡}}に関してwell-definedであると言う{{sfn|横田|1976|p=60}}。
と定義する場合、well-defined 性が問題になる{{sfn|雪江|2010|p=10}}。すなわち、右辺の極限について、きちんと収束することと、それが {{math|{{mset|''x<sub>n</sub>''}}}} の取り方によらずに一意的に定まることを確かめなくてはならないが、これら2つは実際に成り立つので、この定義は well-defined である。
 
== 脚注 ==
21 ⟶ 22行目:
 
=== 出典 ===
{{reflist|330em}}
 
== 参考文献 ==