「チリ・クーデター」の版間の差分

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[[ラテンアメリカ]]における脱米国依存のナショナリズムの拡大を懸念した<ref name=":0" />ITTやペプシコその他米国実業界はこの動きに危機感を抱き、アジェンデの大統領就任を阻止するようキッシンジャーおよびニクソンその他の米国政府高官たちに働きかけた<ref name=":0" />。そして決選投票の38日前に当たる9月15日、ニクソン大統領はCIAに対し、どのような手段を使ってでもアジェンデの就任を阻止するよう命じた<ref name=":0" />。当時のチリ軍部はアジェンデの大統領就任を静かに受け入れていた<ref name=":0" />ので、CIAは、議会での決選投票における票の買収と軍事クーデターという2本柱の作戦を立てた<ref name=":0" />。チリ駐在米国大使はチリの現職大統領に次のように言って脅しをかけた。「アジェンデ政権下では、ナットもボルトも一つとしてチリに入るのを許さない。あらゆる手段を使ってチリとチリ人を最低の貧困状態に陥れてやる」<ref name=":0" />。
 
CIAはアジェンデを鬼として描くプロパガンダを展開した。記者たちに金銭を渡してCIA製の記事を新聞や雑誌に掲載させた。ラジオ番組では迫真の演技も行われた。番組の途中で銃声に続いて女性の悲鳴、「息子がマルクス主義者にやられた」との叫び、など。
 
CIAのサンティアゴ支局長はチリの狂信的右翼の退役軍人ロベルト・ビオーと接触した。そして彼が決起した場合にどうなるかを予測し、その場合にはチリで「大虐殺が長引いて内戦になるだろう」とCIA本部に伝えていた。この点についてチリ国家警察隊の高官から問われた彼は、「米国政府は気にしない。結果としての混沌がアジェンデ題号量を阻むのなら」と告げた<ref name=":0" />。
 
しかし、陸軍総司令官の{{仮リンク|レネ・シュナイダー|es|René Schneider|en|René Schneider}}将軍は「軍は政治的に中立であるべき」という信念の持ち主であり、米国の陰謀にとって邪魔者以外の何者でもなかった。そんなシュナイダーは、決選投票直前の10月22日に襲撃されて重傷を負い、25日に死亡した<ref name=":0" />。すでに陸軍を退役させられていた{{仮リンク|ロベルト・ビオー|es|Roberto Viaux|en|Roberto Viaux}}将軍が関与したとして逮捕される。この件が逆に「チリの民主主義を守れ」と各党の結束を促す結果になり、決選投票でキリスト教民主党は人民連合を支持(同党の議員74名全員がアジェンデに投票した<ref name=":0" />)、アジェンデ大統領が誕生した。