「スキージャンプ (航空)」の版間の差分

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米海兵隊によるスキージャンプ台の検討について加筆。
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[[1976年]]にホーカー・シドレー社のフォザード技師長がこのアイディアを取り上げて、本格的な研究が開始された。この結果、兵装最大積載状態であれば滑走距離を50パーセント以上減少させ、また滑走距離を一定とした場合はミリタリーロードを30パーセント増加できると考えられた。例えば25ノットの向かい風がある時、スキージャンプ台を用いずにシーハリアーが発進する場合は、{{Convert|600|ft|m}}の滑走で発進するための燃料・兵装の搭載量は最大{{Convert|10000|lb|kg}}となるのに対し、勾配角15度のスキージャンプ台を用いた場合は、同じ滑走距離で搭載量を{{Convert|13000|lb|kg}}に増大させるか、同じ搭載量で滑走距離を{{Convert|240|ft|m}}に短縮させられると算出された{{Sfn|Calvert|2019}}。
 
[[ベッドフォード (イングランド)|ベッドフォード基地]]の使用されていない[[誘導路]]に実験用のスキージャンプ台が設置されて、1977年8月より試験飛行が開始された。試験には、空軍の[[ホーカー・シドレー_ハリアー#ハリアーGR.1|ハリアーGR.1]]と、BAeがデモンストレーション用に自費製作した複座のハリアーT.52が使用された。この結果、スキージャンプ台の恩恵が確認され、試験を担当したテストパイロットであるジョン・ファーレイは、「これまで経験したことのない、総合的に[[Win-Win]]の最善のアイデア」と評した。当初、勾配角は6度とされていたが、後に20度までの様々な角度で試験が行われ、12度が最善であると結論された{{Sfn|Calvert|2019}}。しかしインヴィンシブル級の[[インヴィンシブル (空母)|1番艦]][[イラストリアス (空母・2代)|2番艦]]では、艦首に設置された[[シーダート (ミサイル)|シーダート]]発射機との干渉を避けるため、勾配角は7度とされた。一方、まだ起工前の[[アーク・ロイヤル (空母・3代)|3番艦]]では設計を修正する余裕があったため、勾配角12度とされており、1・2番艦でも後に同様に改修された{{Sfn|Calvert|2019}}。
 
また[[1978年]]9月には、陸軍工兵隊によって[[ハンプシャー]]の[[ロイヤル・エアクラフト・エスタブリッシュメント|王立航空研究所]]にも勾配角15度のスキージャンプ台が設置されて、同年の[[ファーンボロー国際航空ショー]]でハリアーによる発進がデモンストレーションされた。翌年、[[アメリカ海兵隊]]はこのスキージャンプ台を購入して、勾配角を12度に変更して[[パタクセント・リバー海軍航空基地]]に移設したのち、[[1981年]]には[[チェリー・ポイント海兵隊航空基地]]に近い{{仮リンク|ボーグ海兵隊予備着陸場|en|Marine Corps Auxiliary Landing Field Bogue}}に移設して、海兵隊のハリアー操縦士の訓練に用いられた{{Sfn|松崎|2005}}。[[1984年]]度計画からの[[ワスプ級強襲揚陸艦]]の建造にあたり、設計段階ではスキージャンプの設置も検討されたものの、スキージャンプ部分で[[ヘリコプター]]が発着できなくなり発着スポット数が減少することが問題視され、艦型が大きく十分な滑走距離を確保できることも勘案して、結局は採用されなかった{{Sfn|Gardiner|1996|p=618}}。
 
{{navy|UK}}
*[[セントー級航空母艦]]「[[ハーミーズ (空母・2代)|ハーミーズ]]」
*[[インヴィンシブル級航空母艦]]
*[[クイーン・エリザベス級航空母艦]]
 
{{navy|ITA}}
*[[軽空母]]「[[ジュゼッペ・ガリバルディ (空母)|ジュゼッペ・ガリバルディ]]」
*軽空母「[[カヴール (空母)|カヴール]]」
 
{{navy|ESP}}
*軽空母「[[プリンシペ・デ・アストゥリアス (空母)|プリンシペ・デ・アストゥリアス]]」
*[[強襲揚陸艦]]「[[フアン・カルロス1世 (揚陸艦)|フアン・カルロス1世]]」
 
{{navy|THA}}
*軽空母「[[チャクリ・ナルエベト (空母)|チャクリ・ナルエベト]]」
 
== CTOL機での使用 (STOBAR方式) ==
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ただしSTOBAR方式では、発艦のためにCATOBAR方式よりも長い滑走レーンを必要とし、航空機の運用効率が低くなる{{Sfn|小原|2019}}。[[最大離陸重量]]も制約され、例えば[[Su-33 (航空機)|Su-33]]シリーズの場合、発艦可能な重量は26トンまでとされている<ref>{{Cite news|url=http://archive.defensenews.com/article/20130928/DEFREG/309280009/Chinese-Media-Takes-Aim-J-15-Fighter|title=Chinese Media Takes Aim at J-15 Fighter|archiveurl=http://webarchive.loc.gov/all/20150810120751/http://archive.defensenews.com/article/20130928/DEFREG/309280009/Chinese-Media-Takes-Aim-J-15-Fighter#|archivedate=2015-08-10|newspaper=[[:en:Defense News|Defense News]]|author=Wendell Minnick|date=28 September 2013}}</ref>。このため、STOBAR方式は、CATOBAR方式の導入を志向する海軍にとっての過渡的な存在とも評されている{{Sfn|井上|2019}}。
 
{{navy|SSR}}→{{navy|RUS}}
*重航空巡洋艦「[[アドミラル・クズネツォフ (空母)|アドミラル・クズネツォフ]]]」
 
{{navy|CHN}}
*「[[遼寧 (空母)|遼寧]]」(旧露「[[ヴァリャーグ (空母)|ヴァリャーグ]]」)
*[[001A型航空母艦]]
 
{{navy|IND}}
*「[[ヴィクラント (空母・初代)|ヴィクラント(初代)]]」(旧英「[[マジェスティック級航空母艦|ハーキュリーズ]]」)
*「[[ヴィラート (空母)|ヴィラート]]」(旧英「[[ハーミーズ (空母・2代)|ハーミーズ]]」)
*「[[ヴィクラマーディティヤ (空母)|ヴィクラマーディティヤ]]」(旧露「[[バクー (空母)|バクー]]」)
*「[[ヴィクラント (空母・2代)|ヴィクラント(2代)]]」
 
== 脚注 ==