「二大政党制」の版間の差分

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二大政党制は通常、国家制度や政党制度としては[[複数政党制]]だが、二大政党が大半の集票・議席・影響力・[[政権]]担当実績などを保持している点で、多党制と対比される。しかし、どこからを二大政党制または多党制と呼ぶかは学者や時期や観点によっても異なり、明確な定義は存在しない。
 
二大政党制では、[[政権交代]]が比較的容易であり、多党制で多く見られる[[連立政権]]はまれにしか発生せず、発生した場合は[[大連立]]や[[挙国一致内閣]]などと呼ばれる。なお多党制も政党間の[[イデオロギー]]の差異によって[[穏健な多党制]]と[[分極的多党制]]とに分けられる。
 
[[ジョヴァンニ・サルトーリ]]の指摘では、二大政党制は[[イギリス]]や、イギリスから独立した[[アメリカ合衆国]]、[[カナダ]]、[[オーストラリア]]、[[ニュージーランド]]などの[[アングロサクソン]]諸国で多く見られる。
 
二大政党制の背景には、主要な二大政党以外からは大量当選が困難な選挙制度である[[小選挙区制]]や、[[国民]]の[[イデオロギー]]や支持層が「[[保守]]と[[革新]](または[[自由主義|リベラル]])」など2種類または2方向に大別できること、更に両政党が比較的穏健かつ民主的であり現実的な政権交代を相互に許容できること、などが挙げられる。
 
二大政党制の利点には、二大政党による政策論争が国民にわかりやすく、二大政党への参加や支持が容易で、現実的な政権交代が容易なため国民に実質的な選択の余地があり、長期政権に発生しがちな腐敗防止や、政権獲得時に国民の支持を背景にした大胆な政策転換を行いやすいこと、などが挙げられる。また、中間層の有権者の支持を得る為に二つの政党の政策が似たものとなる傾向があり、少数派の意見をくみ取る政党がなくなるという問題があるが、[[ジョヴァンニ・サルトーリ]]の主張では[[イデオロギー]]の差異が小さいことは良い政治であり、この点を利点とする立場もある。
 
二大政党制の欠点には、二大政党の思想や政策が離れている場合にはイデオロギー的あるいは感情的な対立になりやすく、政権交代の発生時には大幅な政策変更により政治の不安定化を招く場合があること、逆に二大政党の思想や政策が接近している場合には国民に選択の余地が狭く多様な意見や思想を反映しにくいこと、同じ政党・政策・支持勢力などが長期間存続しがちなため政党内の新陳代謝や[[政策]]転換が進みにくいこと、特に二大政党間で[[談合]]や[[汚職]]などが常態化した場合には致命的な[[政治不信]]を引き起こしやすいこと、あるいは二大政党制へ誘導するための小選挙区制では大量の[[死票]]が発生すること、などが挙げられる。[[アーレンド・レイプハルト]]の合意形成型[[民主主義]]の考え方に立てば、二大政党制を基盤とする多数決型民主主義においては多党制を基盤とする合意形成型民主主義より、少数意見の代表性が相対的に低いとされる<ref>また、[[派閥]]ではなく第三党を作ろうとした場合には、かえって自らの考えに近い二大政党に不利になってしまうという現象も存在する([[2000年アメリカ合衆国大統領選挙]]の[[ラルフ・ネーダー]]など)。</ref>。
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二大政党制と呼ばれる国と時期には以下があるが、その定義や範囲は学者によっても異なる。
* [[ジョヴァンニ・サルトーリ]]の指摘する[[アングロサクソン]]諸国
** {{USA}} - [[共和党 (アメリカ)|共和党]]と[[民主党 (アメリカ)|民主党]]。他に[[アメリカ共産党]]や[[アメリカ緑の党]]などの少数政党や、[[ロス・ペロー]]の[[アメリカ合衆国大統領選挙|大統領選挙]]立候補などの動きはあるが、[[アメリカ合衆国議会|議会]]や大統領選での当選例はほとんど無い。「[[アメリカの政党]]」も参照。
** {{GBR}} - [[1800年代]]以降の[[トーリー党 (イギリス)|トーリー党]](後の[[保守党 (イギリス)|保守統一党]])と[[ホイッグ党 (イギリス)|ホイッグ党]](後の[[自由党 (イギリス)|自由党]])。[[1920年代]]以降は保守党と[[労働党 (イギリス)|労働党]]。[[第一次世界大戦]]、[[世界恐慌|大恐慌]]を挟む[[戦間期]]、[[第二次世界大戦]]の際には[[大連立]]が行われた。[[1980年代]]以降は第3勢力の[[自由民主党 (イギリス)|自由民主党]]や、[[スコットランド]]の[[地域政党]]である[[スコットランド国民党]]などの得票率が拡大しているが、議席数は二大政党と大差がある。労働党から保守党へ政権交代した[[2010年イギリス総選挙|2010年の総選挙]]で[[ハング・パーラメント]]状態となり[[戦後]]初の連立政権が誕生し、自由民主党が政権参加した。[[2015年イギリス総選挙|2015年の総選挙]]では保守党が過半数を制して単独政権に戻ったが、スコットランドの選挙区の殆どをスコットランド国民党が制したため同党が自由民主党に代わって第三党になっている。[[2017年イギリス総選挙|2017年の総選挙]]では保守党が再び過半数割れを生み出し[[北アイルランド]]の地域政党である[[民主統一党 (北アイルランド)|民主統一党]]が[[閣外協力]]することとなった。
** {{CAN}} - [[1993年]]までは[[カナダ進歩保守党]]と[[カナダ自由党]]の二大政党制。1993年の総選挙で進歩保守党が大敗したために二大政党制が崩れたが、その後[[カナダ保守党]]が政権に就いて自由党との二大政党制となった。[[2011年]]の総選挙ではそれまで第3党だった[[新民主党]]が第2党に浮上し、従来の保守・自由の二大政党制が崩れたが、[[2015年カナダ総選挙|2015年の総選挙]]では自由党が議会の第1党の座を奪回する一方、新民主党が第3党に後退したため再び自由・保守の二大政党制に回帰した。ほかに[[ブロック・ケベコワ]]などが存在する。