「とある飛空士への恋歌」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
139行目:
ようやく聖泉を通過したイスラは、途中寄港した「神聖レヴァーム皇国」での補給と護衛艦隊の合流を果たし、再び空の果てを目指して旅を続ける。途中で「空の一族」に遭遇しながらも通過権により戦闘を避け続け、ついに空の果てに到着する。明らかになった世界の姿は、[[天動説|平面世界の周りを星が回る]]という物。平面世界は「段差」である大瀑布によって隔てられ、空の果てで「石畳」と呼ばれる大地へと還った海水は、世界の中心にある聖泉から再び噴出している。そして、「空の果て」は水の落ちない工夫であり、物質が消滅し、石畳へと還る場所だった。イスラもまた、数々の思い出を乗せたまま空の果てで石畳へと還っていき、消失した。イスラからレヴァーム艦隊に避難し帰路についた艦隊は、レヴァームで新たな派遣艦隊に乗り換え、バレステロスに3年振りに帰還する。
 
バレステロス共和国では「島流し」の甲斐なく更に政情が悪化し、民衆から選ばれた政治家たちが私利私欲のまま政争に明け暮れる[[衆愚政治]]に陥っていた。民衆の間では、かつて自分たちで踏み躙った王政の復古を望む声が高まっており、イスラと共に帰還したというバレステロス皇子カール・ラ・イールの噂と、その仇敵であったニナ・ヴィエントへの復讐の顛末は注目の的になっていた。共和制の存続を望む政治家たちから民衆を諫めてくれるよう懇願されたカルエルは、イスラの指導者であったアメリア、ルイスの後押しを受け、カール・ラ・イールとして凱旋式典の演説の場に立つ。その目的は、自らの名と立場を利用してクレアを奪還すること。カルエルは壇上で、自分が復讐の念や憎悪を乗り越えてニナ・ヴィエントと愛し合う立場となったことを明かし、「空の一族」に連れ去られた彼女を奪還するため、人々の助力を必用としていることを情熱的に訴える。人々はこれに熱狂、同情し、「引き裂かれた悲劇の恋人」「革命の旗頭と革命により地位を奪われた皇子の禁断の恋」という歴史的ロマンスは国境を越えて周辺国家へも広まり、彼らの恋と奪還作戦は支持される。熱狂に乗じて政策の失敗を帳消しうやむやにしたい政治家や、「空の一族」との貿易で利益を得たい実家たちとの利害も一致し、ニナ・ヴィエント奪還のためにバレステロス、斎ノ国、帝政ベナレス、そして新しい同盟国となった神聖レヴァーム皇国が参加した多国間連合の超大規模艦隊「[[#第二次イスラ艦隊|第二次イスラ艦隊]]」が編成される。カルエル自身も単座戦空機に乗り込み、必勝の準備を整えてクレアの奪還に旅立つ。その傍らで、旅には同行せず、義兄に対する恋心を悟られないよう身を引いたアリエルは、自身の想い「歌えない恋の歌」として読者明かされ秘め続け決意を固めていた
 
奪還の旅がどのようなものであったのか、どのような結果であった第二次イスラ艦隊出航ら時、本作では語らない。最後にイスラの旅から28年後。イスラの旅を共に乗り越えたカルエルらかつて級友であっ飛空科学生ちの交流は途絶えることなく続いていた。その中の一人、[[#ナナコ・ハナサキ|ナナコ]]は作家としての道を歩んでいた。47歳になった彼女の手によって、イスラの旅の日々を振り返った回顧録、「空の果てのイスラが出版されたことや、その後も同級生の間で交流が続いていることなどが語られ、物語は締め括られる。
 
== 登場人物 ==