「峯雲 (駆逐艦)」の版間の差分

|計画||[[マル2計画]] <ref name="S11達182号">[[#達昭和11年12月(1)]] p.5『〔 達第百八十二號　艦艇製造費ヲ以テ昭和十一年度ニ於テ建造ニ着手ノ水上機母艦二隻及驅逐艦二隻ニ左ノ通命名ス｜昭和十一年十二月十四日　海軍大臣 永野修身｜呉海軍工廠ニ於テ建造　水上機母艦 千代田(チヨダ)|株式會社川崎造船所ニ於テ建造　水上機母艦 瑞穂(ミヅホ)|株式會社藤永田造船所ニ於テ建造　驅逐艦 峯雲(ミネグモ)|舞鶴海軍工廠ニ於テ建造　驅逐艦 霰(アラレ)』 〕</ref>

|除籍||1943年4月1日<ref name="S18内令582号">[[#内令昭和18年4月(1)]] pp.28-29『〔 内令第五百八十二號｜横須賀鎮守府在籍　驅逐艦 村雨、驅逐艦 朝潮、驅逐艦 大潮、驅逐艦 荒潮、驅逐艦 峯雲｜呉鎮守府在籍　驅逐艦 白雪、驅逐艦 時津風｜右帝國驅逐艦籍ヨリ除カル｜横須賀鎮守府在籍　伊號第一潜水艦、伊號第十八潜水艦　右帝國潜水艦籍ヨリ除カル｜昭和十八年四月一日　海軍大臣 嶋田繁太郎』 〕</ref>

[[朝潮型駆逐艦]]の8番艦である<ref>[[#艦艇類別等級表(昭和16年6月30日)]] p.4『〔 艦艇類別等級表|驅逐艦|一等|朝潮型|朝潮、大潮、満潮、荒潮、朝雲、山雲、夏雲、峯雲、霞、霰』 〕</ref>。『[[戦史叢書]]』等、一部資料では「'''峰雲'''」と表記する{{Sfn|戦史叢書96巻|1976|pp=74a-77|ps=三月五日の輸送(村雨、峰雲の沈没)}}。

戦線復帰後の[[1943年]]（昭和18年）3月上旬、峯雲と駆逐艦[[村雨 (白露型駆逐艦)|村雨]]{{Sfn|重本ほか、陽炎型|2014|p=293|ps=村雨(むらさめ)}}は[[コロンバンガラ島]]輸送作戦を実施する{{Sfn|戦史叢書96巻|1976|p=74a}}<ref>[[#S1712四水戦日誌(5)]] p.8『〔 9dg及2dg(春雨欠)ハNTBニ編入中ニシテ同方面作戰ニ従事 (司令)村雨及峯雲ハ上旬「コロンバンガラ」沖ニ於テ敵巡洋艦三隻駆逐艦二隻以上及大型爆撃機十機以上ト遭遇交戰不幸遂ニ峯雲二三一五(司令)村雨二三三〇撃沈セラル』 〕</ref>。[[クラ湾]]を航行中の3月5日夜、連合軍艦隊（巡洋艦3、駆逐艦3）の[[レーダー]]を活用した夜間奇襲攻撃により{{Sfn|海軍駆逐隊|2015|pp=163-165|ps=驚異の敵レーダー}}{{Sfn|駆逐艦物語|2016|pp=78-79|ps=▽ビラスタンモーア夜戦}}、村雨{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1988|p=90a|ps=村雨(むらさめ)}}と峯雲{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1988|p=91m|ps=峯雲(みねぐも)}}は一方的に撃沈された{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1988|p=148|ps=〔ビラ・スタンモーア夜戦〕}}（[[ビラ・スタンモーア夜戦]]）{{Sfn|駆逐艦入門|2006|pp=371-372|ヴィラ・スタンモア海戦}}{{Sfn|奥宮、ラバウル|2001|p=507|ps=付録、昭和18年3月6日}}。

[[1936年]]（昭和11年）12月14日、日本海軍は建造予定の朝潮型駆逐艦に峯雲の艦名を与えた<ref name="S11達182号" /><ref name="海軍8巻204">[[#海軍制度沿革(巻8、1940)]] p.204『 〔◎水上機母艦千代田瑞穂及驅逐艦峯雲霰命名ノ件　昭和十一年十二月十四日(達一八二)』 〕</ref>。[[1937年]]（昭和12年）3月22日、藤永田造船所で起工する<ref name="艦船要目峯雲">[[#艦船要目公表範囲(昭和16年6月30日)]] p.20『〔 峯雲|一等駆逐艦|(艦要目略)|藤永田造船所|12-3-22|12-11-4|13-4-30|(艦装備略)』 〕</ref>、同年[[11月4日]]に進水<ref name="艦船要目峯雲" /><ref name="S12公報3190">{{アジア歴史資料センター|C12070364000|昭和12年11月6日 海軍公報第3190号 p.14}}『〔 ○進水 驅逐艦峯雲本月四日株式會社藤永田造船所ニ於テ進水セリ/驅逐艦朝雲本月五日株式會社川崎造船所ニ於テ進水セリ』 〕</ref>。
[[1938年]]（昭和13年）4月30日に竣工し<ref name="艦船要目峯雲" />、第41駆逐隊に編入された<ref name="ハンディ17p85峯雲">[[#ハンディ判艦艇写真集17]]pp.85-86</ref>。12月15日に[[予備役#予備艦船|第三予備艦]]となり[[横須賀海軍工廠]]で[[蒸気タービン]]機関の改造工事を実施した（[[朝潮型駆逐艦#臨機調事件|臨機調事件]]）。[[1939年]]（昭和14年）11月15日、第41駆逐隊は'''第9駆逐隊'''と改称された<ref name="ハンディ17p85峯雲" />。[[1940年]]（昭和15年）10月15日、鈴木保厚中佐が艦長に就任した<ref name="jirei543"/>。11月15日、第9駆逐隊は[[第二艦隊 (日本海軍)|第二艦隊]]・第四水雷戦隊（旗艦「[[那珂 (軽巡洋艦)|那珂]]」）<ref name="那珂行動">[[#写真9軽巡2|写真日本の軍艦第9巻、軽巡II]]、 37-38頁「〔 軽巡洋艦『川内、神通、那珂』行動年表　◆那珂◆」 〕</ref>に編入された。

[[1941年]]（昭和16年）4月10日、[[佐藤康夫]]大佐（海兵44期。当時、第5駆逐隊司令）{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1998|pp=184-185}}が第9駆逐隊司令に就任した<ref>{{アジア歴史資料センター|C13072080700|昭和16年4月10日(発令4月10日付)海軍辞令公報(部内限)第615号 p.44}}</ref>。6月23日、峯雲（四水戦、第9駆逐隊）は[[日向灘]]で陽炎型駆逐艦[[夏潮 (駆逐艦)|夏潮]]（二水戦、第15駆逐隊）の右舷中央部に衝突した<ref name="日本駆逐艦物語156" /><ref>[[#ハンディ判艦艇写真集17]]p.91(峯雲艦首・艦尾損傷写真)</ref>。艦首を損傷した峯雲は後進をかけたところ、後続の陽炎型駆逐艦[[黒潮 (駆逐艦)|黒潮]]（二水戦、第15駆逐隊）に追突され<ref>[[#福井著作5巻|日本駆逐艦物語]]、 158頁「〔 第12図　昭和16年6月23日の二重衝突」 〕</ref>、左舷艦尾も損傷した<ref>[[#ハンディ判艦艇写真集17]]p.101</ref>{{Sfn|重本ほか、陽炎型|2014|p=180|ps=黒潮艦首損傷写真解説より}}。[[呉海軍工廠]]で約5ヶ月間におよぶ修理をおこなったが、[[太平洋戦争]]の開戦には間に合った。

同年12月8日の開戦時、第9駆逐隊（司令[[佐藤康夫]]大佐）は朝潮型5-8番艦4隻（[[朝雲 (駆逐艦)|朝雲]]{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1988|p=91i|ps=朝雲(あさぐも)}}、[[山雲 (駆逐艦)|山雲]]{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1988|p=91j|ps=山雲(やまぐも)}}、[[夏雲 (駆逐艦)|夏雲]]{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1988|p=91k|ps=夏雲(なつぐも)}}、峯雲{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1988|p=91m|ps=峯雲(みねぐも)}}）で編制され、第四水雷戦隊<ref group="注釈">{{#tag:Ref|四水戦隷下の第4駆逐隊（駆逐隊司令[[有賀幸作]]大佐：[[嵐 (駆逐艦)|嵐]]、[[野分 (陽炎型駆逐艦)|野分]]、[[萩風 (駆逐艦)|萩風]]、[[舞風 (駆逐艦)|舞風]]）は近藤長官の南方部隊本隊に所属し、別行動。</ref>|group="注"}}（司令官[[西村祥治]]少将、旗艦「[[那珂 (軽巡洋艦)|那珂]]」）{{Sfn|歴群32、球磨型・長良型・川内型|2001|p=172a|ps=表1〈5500トン型〉の配置　昭和16年12月10日}}、第2駆逐隊（[[村雨 (白露型駆逐艦)|村雨]]{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1988|p=90a|ps=村雨(むらさめ)}}、[[五月雨 (駆逐艦)|五月雨]]{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1988|p=90d|ps=五月雨(さみだれ)}}、[[春雨 (白露型駆逐艦)|春雨]]{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1988|p=90c|ps=春雨(はるさめ)}}、[[夕立 (白露型駆逐艦)|夕立]]{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1988|p=90b|ps=村雨(ゆうだち)}}）、第24駆逐隊（[[海風 (白露型駆逐艦)|海風]]{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1988|p=91a|ps=海風(うみかぜ)}}、[[江風 (白露型駆逐艦)|江風]]{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1988|p=91c|ps=江風(かわかぜ)}}、[[山風 (白露型駆逐艦)|山風]]{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1988|p=91b|ps=山風(やまかぜ)}}、[[涼風 (駆逐艦)|涼風]]{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1988|p=91d|ps=村雨(すずかぜ)}}）と共に比島部隊（指揮官[[高橋伊望]]第三艦隊司令長官）に所属していた{{Sfn|戦史叢書26巻|1969|p=00|ps=付図第一}}{{Sfn|戦史叢書27巻|1969|pp=120-125|ps=作戦計画}}{{Sfn|歴群32、球磨型・長良型・川内型|2001|pp=172b-173|ps=〈五五〇〇トン型〉開戦後三週間}}。

[[南方作戦]]において、[[ビガン]]上陸作戦{{Sfn|戦史叢書27巻|1969|pp=208-210|ps=ビガン急襲／作戦準備}}{{Sfn|海軍駆逐隊|2015|pp=156-157}}（12{{#tag:Ref|12月10日、空襲で四水戦旗艦の那珂が小破）した{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=47-50|ps=〈ビガン上陸部隊〉}}{{Sfn|歴群32、球磨型・長良型・川内型|2001|pp=153-154|ps=「那珂」変遷}}。|group="注"}}、[[リンガエン湾]]上陸作戦を支援した{{Sfn|戦史叢書27巻|1969|pp=254-258|ps=リンガエン湾揚陸／護衛部隊の計画}}{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=50-51|ps=リンガエン湾の上陸}}。

12月31日、別行動中の山雲が機雷で大破し、戦線を離脱した{{Sfn|重本ほか、陽炎型|2014|p=301|ps=山雲(やまぐも)}}{{Sfn|海軍駆逐隊|2015|p=158}}（翌年5月15日、第9駆逐隊より除籍）<ref name="S17内令850">[[#内令昭和17年5月(2)]] p.26『〔 内令第八百五十號　驅逐隊編制中左ノ通改定セラル｜昭和十七年五月十五日　海軍大臣嶋田繁太郎｜第八驅逐隊ノ項中「大潮、満潮、」ヲ削ル｜第九驅逐隊ノ項中「山雲、」ヲ削ル』 〕</ref>。

山雲をのぞく第9駆逐隊3隻（朝雲、峯雲、夏雲）はひきつづき第四水雷戦隊各隊と共に行動し、[[1942年]]（昭和17年）1月より[[タラカン]]{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=65-66|ps=オランダ敷設艦撃沈}}や[[バリクパパン]]等（[[バリクパパン沖海戦]]）{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=67-68|ps=米に名をなさしめたバリクパパン海戦}}の攻略作戦に加わり、2月以降は[[マカッサル]]（攻略作戦{{#tag:Ref|同作戦中、潜水艦の雷撃により駆逐艦[[夏潮 (駆逐艦)|夏潮]]が沈没、駆逐艦[[涼風 (駆逐艦)|涼風]]が大破）した{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=71-72|ps=マカッサル占領}}。|group="注"}}や[[ジャワ島]]攻略作戦に協力、[[蘭印作戦]]に従事した{{Sfn|重本ほか、陽炎型|2014|p=299a|ps=峯雲(みねぐも)}}。

[[1942年]]（昭和17年）2月下旬、[[ジャワ島]]攻略を目指す日本軍輸送船団（護衛/第四水雷戦隊護衛、支援/第五戦隊と第二水雷戦隊）{{Sfn|戦史叢書26巻|1969|pp=441-444|ps=東部ジャワ攻略船団の進攻}}を英米蘭豪の[[ABDA司令部|ABDA艦隊]]が迎撃し、スラバヤ沖海戦が勃発した{{Sfn|駆逐艦物語|2016|pp=69-71|ps=▽スラバヤ沖海戦}}{{Sfn|勇躍インド洋作戦|1994|pp=52-53|ps=スラバヤ沖海戦}}。第9駆逐隊のうち朝雲（司令駆逐艦）と峯雲は第五戦隊・第二水雷戦隊・第四水雷戦隊各部隊各艦と共に海戦に参加したが{{Sfn|日本水雷戦史|1986|p=88|ps=〈スラバヤ海戦の日本兵力〉}}、夏雲は駆逐艦[[海風 (白露型駆逐艦)|海風]]（第24駆逐隊）{{Sfn|日本水雷戦史|1986|p=87}}や敷設艦[[若鷹 (急設網艦)|若鷹]]等と共に輸送船団を護衛し、砲雷撃戦は行わなかった{{Sfn|戦史叢書26巻|1969|pp=449-450}}<ref>[[#S1702四水戦日誌(1)]] p.78『〔 二十七(天候略)一一.1616海風夏雲解列輸送船団ノ護衛ニ向フ』 〕</ref>。

会敵したABDA艦隊に対し、第四水雷戦隊（司令官[[西村祥治]]少将、軽巡〈那珂〉{{Sfn|歴群32、球磨型・長良型・川内型|2001|p=174}}、第2駆逐隊〈村雨、五月雨、春雨、夕立〉、第9駆逐隊〈朝雲、峯雲〉）{{Sfn|艦長たち(続篇)|1984|p=175}}は日本艦隊のなかで最も接近し{{Sfn|海軍駆逐隊|2015|pp=157-160|ps=スラバヤ沖のチャンス}}、中でも[[佐藤康夫]]大佐（第9駆逐隊司令）の朝潮型2隻（朝雲〈司令駆逐艦〉、峯雲）はABDA艦隊に向けて突撃を続けた{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1998|pp=184-185}}{{Sfn|戦史叢書26巻|1969|pp=454a-456|ps=第二次昼戦(自1850至1950)}}。重巡[[羽黒 (重巡洋艦)|羽黒]]の砲撃を受けた英重巡[[エクセター (重巡洋艦)|エクセター]]の離脱を援護するため{{Sfn|連合軍艦隊撃沈す|2013|pp=95-96|ps=スラバヤ沖海戦}}、英駆逐艦が応戦する{{Sfn|戦史叢書26巻|1969|p=454b}}{{Sfn|海軍駆逐隊|2015|pp=160-161|ps=四分五烈の連合軍}}。峯雲と朝雲は煙幕から出てきた英駆逐艦2隻（[[:en:HMS Electra (H27)|エレクトラ]]、[[エンカウンター (駆逐艦)|エンカウンター]]）と距離3000mで砲撃戦になった{{Sfn|勇躍インド洋作戦|1994|p=54|ps=全軍突撃を開始}}{{Sfn|戦史叢書26巻|1969|pp=478-479|ps=連合軍の状況}}。朝雲が損傷したが{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1998|p=184}}、峯雲は朝雲を掩護しながら砲戦を続行した{{Sfn|戦史叢書26巻|1969|p=454b}}{{Sfn|艦長たち(続篇)|1984|pp=243-245}}。その結果、エレクトラを撃沈し、エンカウンターと駆逐艦[[ジュピター (駆逐艦)|ジュピター]]を撃退した{{Sfn|戦史叢書26巻|1969|p=|ps=付図第五}}<ref>[[#S1612四水戦作戦記録(4)]] pp.37-38『〔(ロ)新型一等驅逐艦ノ給弾薬　「スラバヤ」沖海戦晝戰ニ於テ峯雲ハ朝雲ト共ニ巡洋艦三隻駆逐艦三隻ノ有力ナル敵ト砲戰シ敵巡洋艦及駆逐艦二隻ハ逃走駆逐艦一隻ヲ撃沈セシモ此ノ戰闘ニ於テ峯雲ハ三〇乃至四〇齋射頃ヨリ先ヅ装薬間ニ合ハズ次イデ弾薬間ニ合ハズ遂ニ射撃速度ヲ著シク減ジ(齋射間隔八乃至九秒幸射撃速度ヲ著シク減ジタル時ハ敵ノ大部ハ逃走シ残ル一艦モ沈没ニ瀕シ砲火沈黙シアリタリ)甚シキ不安ノ念ヲ起サシメタリ…』 〕</ref>。朝雲は修理のため戦線を離脱、第9駆逐隊の司令駆逐艦は夏雲になった{{Sfn|戦史叢書26巻|1969|pp=460-461|ps=輸送船団クラガン入泊}}。

3月1日未明、東部ジャワ上陸船団は入泊を開始する{{Sfn|日本軽巡戦史|1989|pp=136-137|ps=東部ジャワ上陸の長良、鬼怒}}。第9駆逐隊をふくめ四水戦各部隊・各艦は、軽巡[[鬼怒 (軽巡洋艦)|鬼怒]]や第8駆逐隊（[[朝潮 (朝潮型駆逐艦)|朝潮]]、[[荒潮 (駆逐艦)|荒潮]]）<ref group="注釈">{{#tag:Ref|第8駆逐隊の[[大潮 (駆逐艦)|大潮]]と[[満潮 (駆逐艦)|満潮]]は[[バリ島沖海戦]]で損傷し、戦線離脱。</ref>|group="注"}}等と共同で哨戒を行った{{Sfn|戦史叢書26巻|1969|pp=460-461|ps=輸送船団クラガン入泊}}。連合軍の空襲を受け輸送船1隻擱座・1隻大破{{Sfn|戦史叢書26巻|1969|p=461}}、ほかに鬼怒が小破した{{Sfn|日本軽巡戦史|1989|p=137}}。また泊地や周辺海域では連合軍の[[魚雷艇]]や[[潜水艦]]が活動しており、峯雲は二水戦や四水戦の僚艦と共に哨戒・迎撃・掃蕩に従事した{{Sfn|戦史叢書26巻|1969|pp=519-526|ps=東部ジャワ方面部隊、敵を掃蕩}}。3月9日、オランダ軍は降伏した{{Sfn|戦史叢書26巻|1969|p=524}}{{Sfn|日本軽巡戦史|1989|p=137}}。

4月1日18時、同島周辺を哨戒中の軽巡[[那珂 (軽巡洋艦)|那珂]]（第四水雷戦隊旗艦）と第9駆逐隊（夏雲、峯雲）{{Sfn|日本水雷戦史|1986|p=119|ps=第9駆逐隊(朝雲、山雲)とするが、夏雲・峯雲の誤記。}}を米アメリカ潜水艦[[シーウルフ (サーゴ級潜水艦)|シーウルフ]]が襲撃し、那珂はシーウルフの雷撃で大破した{{Sfn|日本軽巡戦史|1989|p=222a}}{{Sfn|潜水艦攻撃|2016|pp=191-192|ps=○米潜水艦シーウルフ(1942年3月31日)}}。那珂は軽巡[[名取 (軽巡洋艦)|名取]]（攻略部隊旗艦）に曳航され<ref name="那珂行動" /><ref name="名取行動">[[#写真8軽巡1|写真日本の軍艦第8巻、軽巡I]]、 176-177頁「〔 軽巡洋艦『長良・五十鈴・名取』行動年表　◆名取◆」 〕</ref>、第9駆逐隊（夏雲、峯雲）ふくめ攻略部隊各部隊・各艦に護衛されてクリスマス島を離れ、ジャワ島バンダム湾へ帰投した{{Sfn|歴群32、球磨型・長良型・川内型|2001|pp=153-154|ps=「那珂」変遷}}{{Sfn|戦史叢書26巻|1969|pp=618-620}}。

12日、夏雲（第四水雷戦隊旗艦）と峯雲は横須賀に向けてシンガポールを出発する<ref name="S1704四水戦(1)09">[[#S1704四水戦日誌(1)]] p.9『〔 本日附艦隊編制替ニ依リ二十四駆ハ一水戦ニ八駆ハ當隊ニ編入セラレタリ 昭南港ニ於テ[[朝日 (工作艦)|朝日]]及101工作部ト協議シ那珂應急修理ニ関スル要務處浬ヲ終リ十二日1000将旗ヲ夏雲ニ移揚ノ上九駆一小隊ヲ率ヰ高雄ヲ経テ横須賀ニ向ヒタリ　途上十八日敵機動部隊ノ来襲ヲ聞キ我亦之ニ應ズル如ク増速セルモ荒天ノ為意ノ如クナラズ二十一日横須賀ニ歸着尓後整備作業ニ従事セリ』 〕</ref>。途中で[[ドーリットル空襲]]を実行した米機動部隊を追ったが会敵できず、20日夜に横須賀に到着した<ref name="S1704四水戦(1)09" /><ref>[[#S1704四水戦日誌(1)]] p.56、p.66『〔 二〇(天候略)一九二〇9dg1D横須賀着』 〕</ref>。

5月2日、本州南岸において水上機母艦[[瑞穂 (水上機母艦)|瑞穂]]が米アメリカ潜水艦[[ドラム (潜水艦)|ドラム]]に撃沈される{{Sfn|補助艦艇奮戦記|2016|pp=166-167|ps=瑞穂(みずほ)}}。重巡[[高雄 (重巡洋艦)|高雄]]と[[摩耶 (重巡洋艦)|摩耶]]が救助をおこない{{Sfn|重巡摩耶|2002|p=127}}、第9駆逐隊（朝雲、峯雲、夏雲）は基地航空隊や防備部隊と協同で対潜掃討を行った{{Sfn|戦史叢書85巻|1975|p=106|ps=本州南岸の護衛、対潜作戦/五月の状況}}。

5月15日、山雲は第9駆逐隊からのぞかれ、朝潮型3隻（朝雲、峯雲、夏雲）に減少する<ref name="S17内令850" />。まもなく第四水雷戦隊旗艦も長良型軽巡洋艦[[由良 (軽巡洋艦)|由良]]（5月9日、四水戦に編入）{{Sfn|日本軽巡戦史|1989|p=227|ps=由良、第四水雷戦隊旗艦となる(五月)}}になった<ref>{{アジア歴史資料センター|C12070412400|昭和17年6月4日(木)海軍公報(部内限)第4107号 p.19}}『〔 ○旗艦變更　第四水雷戰隊司令官ハ五月二十日旗艦ヲ由良ニ變更セリ』 〕</ref><ref name="由良行動">[[#写真8軽巡1|写真日本の軍艦第8巻、軽巡I]]、 234-235頁「〔 軽巡洋艦『由良・鬼怒・阿武隈』行動年表　◆由良◆」 〕</ref>。

5月19日、第9駆逐隊は[[高雄型重巡洋艦]]と[[金剛型戦艦]]を護衛して瀬戸内海へ移動した{{Sfn|戦史叢書43巻|1971|pp=175-176|ps=本隊の出撃準備}}。[[ミッドウェー島]]攻略を目指す[[ミッドウェー海戦|ミッドウェー作戦]]において、第四水雷戦隊は攻略部隊主隊（指揮官[[近藤信竹]]海軍中将、第二艦隊司令長官）に配属された{{Sfn|日本水雷戦史|1986|p=144|ps=〈ミッドウェー攻略部隊〉}}{{Sfn|戦史叢書43巻|1971|pp=171a-175|ps=作戦計画(攻略部隊)}}。近藤長官直率の攻略部隊本隊は、第四戦隊第1小隊（愛宕〈第二艦隊旗艦〉、鳥海）<ref group="注釈">{{#tag:Ref|『戦史叢書43、ミッドウェー海戦』171頁の兵力部署では愛宕・高雄とするが、高雄と摩耶は北方部隊に配備され[[アリューシャン方面の戦い|アリューシャン作戦]]従事。</ref>|group="注"}}、第五戦隊（妙高、羽黒）、第三戦隊第1小隊（比叡、金剛）、第四水雷戦隊<ref group="注釈">{{#tag:Ref|第四水雷戦隊隷下の第4駆逐隊（嵐、野分、萩風、舞風）は南雲機動部隊に編入され、別空母4隻と共に行動する。</ref><ref |group="注釈">}}{{#tag:Ref|第四水雷戦隊隷下の第8駆逐隊（朝潮、荒潮）は攻略部隊支援隊（指揮官[[栗田健男]]第七戦隊司令官、[[最上型重巡洋艦|最上型重巡]]4隻）に所属し、別行動。</ref>|group="注"}}（旗艦〈由良〉、第2駆逐隊〈村雨、春雨、五月雨、夕立〉、第9駆逐隊〈朝雲、峯雲、夏雲〉）{{Sfn|五月雨出撃す|2010|p=87|ps=五月三十日(航海中)}}、空母[[瑞鳳 (空母)|瑞鳳]]と駆逐艦[[三日月 (睦月型駆逐艦)|三日月]]{{Sfn|日本空母戦史|1977|pp=303-304|ps=ミッドウェー海戦の瑞鳳}}、タンカー4隻、途中合流の特殊水上機母艦[[千代田 (水上機母艦)|千代田]]と[[日進 (水上機母艦)|日進]]（2隻とも、[[甲標的]]と[[魚雷艇]]を運搬）{{Sfn|戦史叢書43巻|1971|pp=118-120|ps=最後の作戦打ち合わせ}}{{Sfn|戦史叢書62巻|1973|pp=20-21}}であった{{Sfn|戦史叢書43巻|1971|pp=171b、173-176}}（ミッドウェー作戦における攻略部隊の行動と戦闘経過は当該記事を参照）。

6月5-7日のミッドウェー海戦で、日本は空母4隻と重巡[[三隈 (重巡洋艦)|三隈]]を失うなどして敗れた{{Sfn|戦史叢書62巻|1973|pp=21-22|ps=ミッドウェー作戦の経過}}。[[山本五十六]]連合艦隊司令長官は一部兵力で牽制部隊を編成し、またアリューシャン方面の北方部隊を増強することを下令した{{Sfn|戦史叢書43巻|1971|pp=528-530|ps=牽制作戦/作戦指導と経過概要}}{{Sfn|戦史叢書62巻|1973|p=25|ps=聯合艦隊司令長官当面の作戦方針下令}}。第五戦隊司令官[[高木武雄]]中将（海兵39期）を指揮官とする牽制部隊（第五戦隊〈[[妙高 (重巡洋艦)|妙高]]、[[羽黒 (重巡洋艦)|羽黒]]〉、第9駆逐隊〈朝雲、夏雲、峯雲〉<ref group="注釈">{{#tag:Ref|『戦史叢書62、中部太平洋方面海軍作戦(2)』26頁では第9駆逐隊に駆逐艦[[山雲 (駆逐艦)|山雲]]を加えるが、同艦は5月15日に9駆から削除されている。</ref name="S17内令850" />。|group="注"}}、給油艦〈タンカー玄洋丸〉 ）は米機動部隊の追撃を引き付けるため{{Sfn|艦長たち(続篇)|1984|pp=179-180|ps=ミッドウェーで牽制行動}}、[[ウェーク島]]近海で行動した{{Sfn|戦史叢書43巻|1971|pp=530a-531|ps=牽制部隊の牽制行動}}{{Sfn|戦史叢書62巻|1973|p=26a|ps=MI作戦の牽制部隊の作戦}}。基地航空部隊（第十一航空艦隊司令長官[[塚原二四三]]中将、ウェーク島に陸攻50機を配備）{{Sfn|戦史叢書43巻|1971|pp=531-533|ps=一航空部隊の作戦}}と連携し偽電を交信したが、めぼしい成果はなかった{{Sfn|戦史叢書43巻|1971|p=530b}}{{Sfn|戦史叢書62巻|1973|pp=26b-28|ps=牽制部隊の前程哨戒}}。14日、同部隊は北方部隊に編入された{{Sfn|戦史叢書29巻|1969|pp=260-262}}{{Sfn|戦史叢書62巻|1973|p=30}}。

峯雲は玄洋丸と共に行動していたが、15日に牽制部隊と合流して[[アリューシャン列島]]方面に転戦した{{Sfn|戦史叢書43巻|1971|p=530b}}。その後、第五戦隊司令官指揮下の第二支援隊（第五戦隊〈妙高、羽黒〉、戦艦〈[[金剛 (戦艦)|金剛]]〉、第一水雷戦隊〔軽巡〈[[阿武隈 (軽巡洋艦)|阿武隈]]〉、第21駆逐隊〈初春、子日、若葉、初霜〉）、第9駆逐隊〈朝雲、夏雲、峯雲〉、第二十一戦隊〈軽巡[[木曾 (軽巡洋艦)|木曾]]、軽巡[[多摩 (軽巡洋艦)|多摩]]〉、油槽船〈タンカー玄洋丸〉 ）として行動し、米機動部隊の出現に備えた{{Sfn|戦史叢書29巻|1969|pp=260-262}}。米機動部隊は出現せず各艦は撤収し、7月上旬には内地に帰投した{{Sfn|戦史叢書29巻|1969|p=263}}。

第9駆逐隊が北方で行動中の[[1942年]]（昭和17年）6月15日、那珂は予備艦となって第四水雷戦隊からのぞかれた<ref name="那珂行動" />（その後、舞鶴海軍工廠で昭和18年3月31日まで修理）{{Sfn|歴群32、球磨型・長良型・川内型|2001|pp=153-154|ps=「那珂」変遷}}{{Sfn|日本軽巡戦史|1989|p=222b|ps=那珂のその後}}。6月20日、第四水雷戦隊司令官は[[西村祥治]]少将から[[高間完]]少将（に交代した{{#tag:Ref|当時、高間少々は戦艦[[榛名 (戦艦)|榛名]]艦長）に交代であった。西村少将は[[最上型重巡洋艦]]で編制された第七戦隊司令官へ転任した。|group="注"}}<ref>{{アジア歴史資料センター|C13072085900|昭和17年6月22日(発令6月20日付)海軍辞令公報(部内限)第886号 p.7}}</ref>。

8月7日、米軍は[[ガダルカナル島]]と[[フロリダ諸島]]に上陸を開始、[[ガダルカナル島の戦い]]が始まる{{Sfn|戦史叢書49巻|1971|pp=438-439|ps=ガダルカナル島及びツラギ上陸}}。第四水雷戦隊（由良、第9駆逐隊、第27駆逐隊））<ref group="注釈">{{#tag:Ref|第四水雷戦隊隷下の第2駆逐隊（村雨、五月雨、春雨、夕立）はB作戦参加中、マレー半島所在。</ref>|group="注"}}は前進部隊（指揮官[[近藤信竹]]第二艦隊司令長官、旗艦「愛宕」）に所属{{Sfn|戦史叢書49巻|1971|p=543|ps=前進部隊兵力部署}}{{Sfn|戦史叢書62巻|1973|pp=97-98|ps=その他の各隊の進出}}、高雄型と妙高型の重巡洋艦戦隊、長門型戦艦[[陸奥 (戦艦)|陸奥]]{{Sfn|愛宕奮戦記|pp=114-115|ps=○8月11日(火曜日)}}や水上機母艦[[千歳 (水上機母艦)|千歳]]{{Sfn|愛宕奮戦記|pp=115-116|ps=○8月12日(水曜日)}}等とともに[[チューク諸島|トラック泊地]]に集結した{{Sfn|戦史叢書62巻|1973|p=91|ps=前進部隊(2F基幹)のトラック進出}}。

20日（21日とも）、トラックを出港する際に、峯雲は冬島で座礁した{{Sfn|重本ほか、陽炎型|2014|p=299a|ps=峯雲(みねぐも)}}{{Sfn|愛宕奮戦記|pp=123-124|ps=○8月21日(金曜日)}}。峯雲は応急修理をおこなったあと、油槽船を護衛して前進部隊を追いかけた{{Sfn|愛宕奮戦記|pp=132-134|ps=○8月26日(水曜日)}}。第二次ソロモン海戦{{Sfn|奥宮、ラバウル|2001|p=476|ps=付録、昭和17年8月24日、第二次ソロモン海戦}}{{Sfn|戦史叢書83巻|1975|pp=5-6|ps=船団によるガ島輸送の挫折}}における前進部隊は、空母[[エンタープライズ (CV-6)|エンタープライズ]]艦載機{{Sfn|戦史叢書49巻|1971|p=581}}の急降下爆撃により水上機母艦[[千歳 (空母)|千歳]]が損傷、人力操舵となった{{Sfn|戦史叢書49巻|1971|p=575-577|ps=前進部隊の作戦}}。峯雲は千歳を護衛して、トラック泊地に後退した{{Sfn|愛宕奮戦記|pp=134-135|ps=○8月27日(木曜日)}}。同艦はトラック泊地で9月20日まで修理をおこなった{{Sfn|補助艦艇奮戦記|2016|pp=165-166|ps=千歳(ちとせ)}}。

午後3時過ぎ、[[SBD (航空機)|急降下爆撃機SBDドーントレス]]9機{{Sfn|戦史叢書83巻|1975|p=181c|ps=米軍資料による。}}の空襲により、峯雲は至近弾で浸水する{{Sfn|高松宮日記5巻|1996|p=20|ps=○第九駆逐隊(五-一六一五)}}。発揮可能速力12ノットとなった{{Sfn|戦史叢書83巻|1975|p=181b}}。この作戦では村雨も至近弾により浸水被害を受け、途中で引き返している{{Sfn|戦史叢書83巻|1975|p=181b}}{{Sfn|高松宮日記5巻|1996|p=21|ps=○第二駆逐隊(五-一六三〇)}}。夏雲は峯雲を護衛してショートランド泊地に帰投した{{Sfn|戦史叢書83巻|1975|p=181b}}。{{#tag:Ref|健在の3隻（朝雲、春雨、夕立）により、ガ島輸送は成功した{{Sfn|戦史叢書83巻|1975|p=181b}}。|group="注"}}。

村雨と峯雲は、修理のためラバウルに移った<ref>[[#S1710四水戦日誌(1)]] p.43『〔 六日1157(司令官)3sd(宛略)3sd機密第061157番電　村雨及峯雲修理ノ爲「ラボール」ニ回航セシム村雨(使用可能速力二十一節)代艦トシテ有明派遣ヲ得バ好都合ナリ』 〕</ref>。10月12日、[[サボ島沖海戦]]で姉妹艦夏雲が沈没{{Sfn|重本ほか、陽炎型|2014|p=299b|夏雲(なつぐも)}}{{Sfn|戦史叢書83巻|1975|pp=200-202|ps=「叢雲、夏雲」の喪失}}、第9駆逐隊は朝雲と峯雲の2隻になった<ref>[[#内令昭和17年11月(3)]] p.44『〔 内令第二千百十七號　驅逐隊編制中左ノ通改定セラル　昭和十七年十一月十五日　海軍大臣 嶋田繁太郎　　第九驅逐隊ノ項中「夏雲、」ヲ削ル／第十一驅逐隊ノ項中「吹雪、」及「、叢雲」ヲ削ル』 〕</ref>。

11月16日、峯雲はトラック泊地を出発し、23日に横須賀に到着した<ref>[[#S1711四水戦日誌(4)]] p.58『〔 一六(天候略)一.峯雲修理ノタメ1330横須賀ニ向ケトラック発(以下略)』p.61『二三(天候略)一峯雲1117横須賀着/二.春雨白露2100ラボール発(ラエ輸送)|一.峯雲横須賀着修理整備入渠準備ニ着手ス』 〕</ref>。

12月3日、横須賀から横浜に回航され、修理を行った<ref>[[#S1712四水戦日誌(1)]] p.14『〔 峯雲及五月雨ハ前月下旬以降横須賀ニ於テ修理ニ従事中峯雲ハ三日横濱ニ回航入渠 五月雨ハ十九日修理完成同日1530横須賀發二十四日0830「トラック」着爾後同地ニ在リテ警戒護衛任務等ニ従事ス』 〕</ref><ref>[[#S1712四水戦日誌(2)]] p.52『〔 四.参考(イ)麾下艦船部隊ノ行動』〕、p.57『〔 三.(天候略)一.峯雲1100横須賀発即日横濱着/二.夕暮0530有明0945ショートランド着/三.夕暮1100ショートランド出撃(ガ島輸送)/四.有明1327ショートランド出撃(SNB支援隊)|一.峯雲横濱ニ於テ入渠/二.春雨準備出来次第横須賀ニ回航修理ニ従事スベキ件発令(Adb電令作第八五号)』 〕</ref>。

[[1943年]]（昭和18年）2月1日、峯雲駆逐艦長として上杉義男中佐が就任した<ref name="jirei1046">{{アジア歴史資料センター|C13072089600|昭和18年2月1日(発令2月1日付)海軍辞令公報(部内限)第1046号 p.22}}</ref>。12日に修理が完了し、輸送船武庫丸を護衛して横須賀を出発、22日にトラック泊地に到着した<ref>[[#S1712四水戦日誌(4)]] p.26『〔 十二日1300峯雲(宛略)峯雲機密第12130番電　武庫丸ヲ護衛シ「トラック」ニ向ケ横須賀発』 〕、p.69『〔 二二(天候略)一.峯雲1130トラック着(以下略)』 〕</ref>。峯雲が航海中の2月15日附で、第9駆逐隊司令は[[佐藤康夫]]大佐から[[小西要人]]大佐に交代した{{Sfn|歴群19、水雷戦隊II|1998|p=185}}<ref name="jirei1054">{{アジア歴史資料センター|C13072089700|昭和18年2月15日(発令2月15日付)海軍辞令公報(部内限)第1054号 p.31佐藤・小西補職・山代免職}}</ref>。

2月27日、第2駆逐隊司令[[橘正雄]]大佐（村雨座乗）{{Sfn|日本水雷戦史|1986|p=305}}が指揮する2隻（村雨、峯雲）は[[南東方面艦隊|南東方面部隊]]に編入される<ref>[[#S1712四水戦日誌(4)]] p.10『〔 峯雲ハ横浜及横須賀ニ於テ修理ニ任ジ十二日修理完成横須賀發途中武庫丸護衛ニ任ジ二十二日「トラック」着　(司令)村雨峯雲二十七日NTBニ編入二十八日「トラック」出撃「ラボール」ニ回航ス』 〕</ref>。28日トラックを出撃し、3月2日朝にラバウルに到着した<ref>[[#S1712四水戦日誌(5)]] p.32『〔 二(天候略)一.村雨峯雲0800ラボール着/二.白露115佐世保着/三.夕暮1300トラック着/四.朝雲2340ラエ着|一.有明1100ヨリ1900迄トラック礁内出動訓練/二.白露佐世保ニ於テ修理ニ従事ス/三.夕暮(トラック)着[[瑞鳳 (空母)|瑞鳳]]基地物件依載』 〕</ref>。3月4日夕、ドラム缶200本ずつと弾薬糧食を上甲板に満載し、ラバウルを出発した{{Sfn|戦史叢書96巻|1976|p=74a}}。同日、[[ビスマルク海海戦]]沈没艦の生存者を乗せた[[浦波 (吹雪型駆逐艦)|浦波]]と[[初雪 (吹雪型駆逐艦)|初雪]]がラバウルに帰投した{{Sfn|戦史叢書96巻|1976|p=74a}}。

輸送隊（村雨、峯雲）はブーゲンビル島ブイン（ショートランド泊地）を経由して{{Sfn|下士官たちの太平洋戦争|1986|p=56}}{{Sfn|セ号作戦|2003|pp=51-52}}、3月5日午後9時30分から10時30分まで[[コロンバンガラ島]]クラ湾で揚陸をおこなう{{Sfn|戦史叢書96巻|1976|p=74a}}{{Sfn|日本水雷戦史|1986|p=305}}。中部ソロモン諸島の防備を担当する第八連合特別陸戦隊司令官[[大田実]]海軍少将（ニューギニア方面防備部隊指揮官）には、同部隊副官として、前年12月1日まで峯雲砲術長であった岡野勇三大尉が赴任していた<ref name="jirei1003">{{アジア歴史資料センター|C13072088500|昭和17年12月2日(発令12月1日付)海軍辞令公報(部内限)第1003号 p.3}}</ref>。村雨と峯雲が揚陸した物資は、隣の[[ニュージョージア島]]の部隊に届けられた{{Sfn|戦史叢書40巻|1970|p=206}}。帰路は北上してショートランド泊地へ向かった{{Sfn|戦史叢書96巻|1976|p=75}}{{Sfn|高松宮日記6巻|1997|p=103a|ps=○第二駆逐隊司令(七-〇九五八)}}。しかし2隻の行動は[[PBY (航空機)|PBYカタリナ飛行艇]]などで米軍側に掌握されており、潜水艦グレイバックとグランパスがクラ湾出口に配備された{{Sfn|日本水雷戦史|1986|p=305}}{{Sfn|セ号作戦|2003|pp=54a-60|ps=「村雨」ついに被弾、沈没}}。

22時57分にレーダーで峯雲と村雨を探知し、23時01分に砲撃を始めた{{Sfn|戦史叢書96巻|1976|pp=76-77}}（ビラ・スタンモーア夜戦）{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=306-307}}。レーダーのない峯雲と村雨は米艦隊の存在に気付かず、当初は空襲と誤認した{{Sfn|戦史叢書96巻|1976|p=75}}{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=306-307}}。まず峯雲が被弾炎上し{{Sfn|戦史叢書96巻|1976|p=75}}、村雨も主砲や機関部を破壊され航行不能に陥った{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=306-307}}{{Sfn|高松宮日記6巻|1997|p=103b|ps=○「峯雲」砲術長(七-〇八三〇)}}。峯雲は被弾からまもなく艦中央部に魚雷が命中し{{Sfn|下士官たちの太平洋戦争|1986|pp=59-63|ps=帰路の悪夢〈敵魚雷命中沈没*「峯雲」乗組員}}、艦尾から沈没していった{{Sfn|下士官たちの太平洋戦争|1986|p=64}}。
コロンバンガラ島の日本軍守備隊は、北東沖で1隻が爆発するのを目撃した{{Sfn|高松宮日記6巻|1997|p=100|ps=○第八艦隊(六-一九三二)}}。米軍の記録では、峯雲は駆逐艦ウォーラーの魚雷で、村雨は巡洋艦3隻の砲撃で沈没した{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=306-307}}{{Sfn|戦史叢書96巻|1976|pp=76-77}}。日本側の記録では、峯雲の沈没時刻は23時15分、村雨の沈没時刻は23時30分{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=306-307}}{{Sfn|高松宮日記6巻|1997|p=103a|ps=○第二駆逐隊司令(七-〇九五八)}}。峯雲乗組員255名のうち、生存者は45名（{{#tag:Ref|峯雲砲術長、航海長、予備士官2名）、下士官兵42名とも{{Sfn|下士官たちの太平洋戦争|1986|p=79}}。|group="注"}}、戦死者は210名であった{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=308a-309}}。沈没時は2隻とも多数の乗員が生存していたが、敵艦より機銃掃射をうけたり{{Sfn|下士官たちの太平洋戦争|1986|pp=65-67|ps=暗夜の漂流〈無差別銃撃*機銃員・飯嶋一水ほか〉}}、長時間におよぶ漂流によって多数が行方不明となった{{Sfn|下士官たちの太平洋戦争|1986|p=72}}。また同日にのコロンバンガラ島守備隊はメリル隊の艦砲射撃を受けて甚大な被害を出しており、[[大発動艇]]による救助が遅れためて死者が増えてしまったという{{Sfn|セ号作戦|2003|pp=72-73}}{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=308a-309}}。なおコロンバンガラ島警備隊から派遣された救援隊の隊長は、元峯雲砲術長<ref name="jirei1003" />の岡野大尉であった{{Sfn|下士官たちの太平洋戦争|1986|p=78}}。

その後、コロンバンガラ島の日本軍守備隊にたどり着い救助された峯雲と村雨の生存者計179人は{{Sfn|セ号作戦|2003|pp=72-73}}、8日に鼠輸送でコ島に到着した各艦（朝雲〈第9駆逐隊司令駆逐艦〉、[[雪風 (駆逐艦)|雪風]]、[[浦波 (吹雪型駆逐艦)|浦波]]、[[敷波 (吹雪型駆逐艦)|敷波]]、[[長月 (睦月型駆逐艦)|長月]]）{{Sfn|戦史叢書96巻|1976|pp=77-78|ps=その他の三月中の中部ソロモン方面輸送}}{{Sfn|高松宮日記6巻|1997|p=101|ps=○第九駆逐隊(七-一一五五)外南洋部隊作66号}}などに収容され{{Sfn|セ号作戦|2003|pp=72-73}}、ラバウル経由で横須賀に戻った<ref>[[#S1712四水戦日誌(5)]] pp.16-17『〔 八日1420(司令)2dg(宛略)2dg機密第081420番電　六日早朝ヨリ八聯特協力ヲ得テ「コロンバンガラ」基地ニ収容セラレタル生存者左ノ通リニシテ引續キ行方不明者ノ捜索ヲNGBニ依頼生存者ハ今夜入港予定ノ駆逐艦ニ便乗「ラボール」皈投ノ予定 生存者村雨准士官以上本職艦長砲術長水雷長通信士小西候補生掌砲長掌水雷長缶長計9名下士官兵41(内重傷4名軽傷6名)兵84名(内重傷5名軽傷6名)合計134名 峯雲巡士官以上砲術長航海長計2名下士官14名兵29名(内重傷1名)合計45名』 〕、同部隊戦時日誌 pp.22-23『〔 十四日0735(司令)2dg(宛略)　八通機密第140735番電　村雨峯雲生存者ハ十五日「ラバウル」発予定ノ[[初島型電纜敷設艇|立石 初鳥]]ニ便乗「トラック」経由横須賀ニ送還セシム 司令ハ「ラバウル」ニ待機近日「ラボール」着ノ五月雨ニ乗艦ノ予定』 〕</ref>。村雨が所属していた第2駆逐隊司令の橘大佐は、峯雲と村雨の沈没原因について「敵巡洋艦3隻の砲撃とB-17十数機の空襲」と報告し、レーダーに厳重に警戒するよう注意を喚起した{{Sfn|戦史叢書96巻|1976|p=75}}。

なお峯雲と村雨は米アメリカ潜水艦[[グランパス (SS-207)|グランパス]] (''USS Grampus, SS-207'') の撃沈に関与した可能性があるが、[[種子島洋二]]（当時、村雨艦長）の回想には特に潜水艦攻撃をおこなった記述はなく{{Sfn|日本水雷戦史|1986|pp=308b-309|ps=潜水艦グラムパス撃沈は誤報}}、現時点でグランパスの喪失原因は謎である{{Sfn|潜水艦攻撃|2016|pp=59-60|ps=(16)グラムパス(米)/1943年3月5日〈駆逐艦「村雨」「峯雲」、または水偵による〉}}。

4月1日、峯雲は駆逐艦籍と朝潮型駆逐艦から除籍された<ref name="S18内令582号" /><ref name="S18内令568号">[[#内令昭和18年4月(1)]] p.20『〔 内令第五百六十八號　艦艇類別等級表中左ノ通改正ス　昭和十八年四月一日 海軍大臣 嶋田繁太郎｜驅逐艦、一等ノ部中「白雪型」ヲ「初雪型」ニ改メ同項中「白雪、」ヲ、同白露型ノ項中「、村雨」ヲ削リ同「潮潮型」ヲ「満潮型」ニ改メ同項中「、朝潮、大潮」「、荒潮」「、峯雲」ヲ、同陽炎型ノ項中「時津風、」ヲ削ル』 〕</ref>。

まだ第9駆逐隊は峯雲の沈没により朝雲1隻となり、初雪型駆逐艦<ref name="S18内令568号" />の[[薄雲 (吹雪型駆逐艦)|薄雲]]<ref>[[#写真10駆逐艦|写真日本の軍艦、駆逐艦I]]、 251-252頁「〔『特型駆逐艦』(吹雪、白雪、初雪、深雪、叢雲、東雲、薄雲、白雲)行動年表　◇薄雲◇」 〕</ref>と[[白雲 (吹雪型駆逐艦)|白雲]]<ref>[[#写真10駆逐艦|写真日本の軍艦、駆逐艦I]]、 252頁「〔『特型駆逐艦』(吹雪、白雪、初雪、深雪、叢雲、東雲、薄雲、白雲)行動年表　◇白雲◇」 〕</ref>を編入して3隻編制となった<ref>[[#内令昭和18年4月(1)]] p.26『〔 内令第五百七十九號　驅逐隊編制中左ノ通改定セラル　昭和十八年四月一日 海軍大臣 嶋田繁太郎｜第二驅逐隊ノ項中「村雨、」ヲ削ル｜第九驅逐隊ノ項中「朝雲、峯雲」ヲ「朝雲、薄雲、白雲」ニ改ム｜第十一驅逐隊ノ項中「白雪、」ヲ削ル｜第十六驅逐隊ノ項中「、時津風」ヲ削ル|第八驅逐隊、第二十九驅逐隊及第三十四驅逐隊ノ各項ヲ削ル』 〕</ref>。

*<!--コイタバシ20081986 -->{{Cite book|和書|author=小板橋孝策|authorlink=小板橋孝策|date=20081986-02|origyear=2007|chapter=第三章　ソロモンの海へ|title=「愛宕」奮下士官たちの太平洋戦記争　{{small|旗艦乗組員中堅戦力は何を思い、どう行動したの見たソロモン海戦か}}=|publisher=光人社|series=光人社NF文庫|isbn=978-4-7698-25600294-93|ref={{SfnRef|愛宕奮下士官たちの太平洋戦記争|20081986}}}}

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