「カレリア (シベリウス)」の版間の差分

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劇音楽としての『カレリア』を追加。組曲の紹介・編成・演奏時間に一部追記。
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{{Portal クラシック音楽}}
『'''カレリア '''』(''Karelia'', [[フィンランド語]]:''Karjala'')は[[フィンランド]]の作曲家[[ジャン・シベリウス]]の管弦楽作品。当初は[[付随音楽|劇音楽]]として作曲された。その後、1曲の[[序曲]]と8曲からなる[[組曲]]とし、組曲はさらに3曲に絞られ、現在にいたる。
 
== 作曲の経緯 ==
=== 新婚旅行にカレリアへ ===
[[1892年]]に[[アイノ・シベリウス|アイノ・ヤルネフェルト]]と結婚したシベリウスは、[[新婚旅行]]に[[カレリア]]地方を訪れた。カレリアは、[[フィン人]]の発祥の地であった。シベリウスはカレリア地方の民謡や伝説に、作曲のインスピレーションを得た。翌1893年、シベリウスは[[ヘルシンキ大学]]の[[ヴィープリ]]出身の学生の団体から、その年の秋に行う野外歴史劇のための音楽を依頼された。この歴史劇は、カレリア地方の13世紀から19世紀までの歴史を7つの場面で、描くものであった。
 
=== 改編 ===
野外劇は[[1893年]][[11月13日]]に[[ヘルシンキ]]で上演され、音楽はシベリウス自身の指揮で演奏された。{{要出典範囲|発表後の評判は悪く、シベリウスはこれを失敗作として廃棄した。|date=2013年11月}}しかし、「たいそう優れたものだった」という評価もある<ref>シベリウス生涯と作品209頁</ref>。この劇音楽のうち1曲を序曲として残し、他に8曲を選びそれを組曲とした。これらは劇の上演から6日後の演奏会で演奏された。組曲はさらに3曲に絞ることにした。
 
このため『カレリア』は最終的に「序曲」[[作品番号|op.作品]]10と「組曲」op.作品11の2つの作品として1906年に[[ブライトコプフ・ウント・ヘルテル]]社から出版され、今に残ることになった。
 
== 『カレリア』序曲op. 作品10 ==
組曲と比較して演奏の機会は少ない。中間部に組曲の第1曲「間奏曲」の主題が現れる。
 
== 『カレリア』組曲op. 作品11 ==
3曲から構成される。シベリウスの管弦楽曲のうち比較的よく演奏される作品で、第3曲「行進曲風に」は単独で演奏されることも多い。
;第1曲:間奏曲
:劇の第3景、[[リトアニア]]の王女ナリモンドがカレリアの住民から税を取り立てていた時代の場面の音楽。ほぼ1つの主題の繰り返しからなる。
;第2曲:バラード
:劇の第4景、ヴィープリの場内で[[吟遊詩人]]が歌う場面の音楽。コーラングレのソロが有名だが、この旋律は原曲では[[バリトン]]独唱とホルンが担当した
;第3曲:行進曲風に(アラ・マルチャ)
:劇の第5景、16世紀の場面の音楽。2つの主題からなる行進曲。
 
== 劇音楽としての『カレリア』 ==
1893年の初演後まもなく、シベリウス自身はこの曲の譜面を廃却したが、初演を担当したヘルシンキ交響楽団の首席指揮者であったRobert Kajanus[[ロベルト・カヤヌス]]が、自筆譜の一部などを保存していた。後年、フィンランドの作曲家[[カレヴィ・アホ]]によって不足分の譜面が補筆され、1997年に[[BISレコード]]によって全曲が世界初録音された(BIS(CD:BIS-CD-915)915)。それによると、作品全体は序曲および8幕(第7幕と8幕は続けて上演)10)10曲で構成され、途中2曲で声楽が導入されている(第1幕で男性民謡歌手による重唱、第4幕でバリトン独唱=組曲版の第2曲に相当)。なお、この序曲は『カレリア』序曲op.作品10とほぼ同一であるが、劇音楽の方が概してテンポ指定が速いなど、若干の違いがある。
 
== 編成 ==
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*組曲 ― 序曲の編成に[[コーラングレ]](ホルンで代用してもよいとされているが、実際に代用されることはほとんどない)と[[シンバル]]が加わる。
 
※原曲の劇音楽版では男性民謡歌手重唱と[[バリトン]]独唱が入る。(バリトン独唱の代わりに組曲版で用いられてい)組曲版のコーラングレは使いられない。
 
== 演奏時間 ==
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== 参考文献 ==
*作曲家別解説ライブラリー18 北欧の巨匠([[音楽之友社]])
*シベリウス生涯と作品(1967』(1967) 菅野浩和
*BIS-CD-915 ライナーノーツ(劇音楽版)
 
== 関連項目 ==