「貿易摩擦」の版間の差分

貿易不均衡とは基本的に一国全体の貯蓄と投資の不均衡に過ぎない<ref name="global24">野口旭 『グローバル経済を学ぶ』 筑摩書房〈ちくま新書〉、2007年、24頁。</ref>。貿易赤字は「悪い」ことであり、その原因は自国の国際競争力の弱さや、貿易相手国の市場の閉鎖性にあるという考えは[[経済学]]的には完全な誤りである<ref name="global24" />。こうした考えは常に有害で危険な対外経済政策に結びつき、貿易摩擦・貿易戦争をもたらしてきた<ref name="global24" />。
 
もっとも、貿易赤字が発生すれば、貿易黒字国との間で必ず貿易摩擦が起きるというものではない。例えば、日本と[[サウジアラビア]]など産油国との貿易では、日本が赤字で産油国は黒字である。だからといって、黒字国である産油国に対して「内需拡大や市場開放を促進して、もっと日本製品を買うべきだ」といった要求が日本から出てはいない。日本は国内ではほぼ採れない原油を産油国から輸入しているのであり、それによって誰も困らないからである。もっとも、かつてはエネルギー資源として[[石油]]と代替性を持つ[[石炭]]国内日本で採掘していた経緯があり、[[原]]が輸入されることによって競争にさらされ合理化(人員削減)に晒された炭鉱労働者の中から過激な労働争議が発生した([[日本炭鉱労働組合|炭鉱騒動]])。近年では坑内掘り炭鉱として日本で稼行しているのは[[釧路コールマイン]]のみであり、目立った反対運動は見られない。
 
アメリカと日欧(とくに[[ドイツ]])では産業構造が似ており、[[鋼|鉄鋼]]、[[造船]]、[[半導体]]、[[自動車]]のあらゆる局面でしばしば貿易摩擦が発生した。ここでは[[加工貿易]]国と資源国との間の交易とは別の要素(産業内競争)が働いており、特に企業間での競争を有利に導くための安値販売攻勢([[ダンピング]])に対しては不公正貿易として関税を課すことができる国際合意されている。ここで問題とされるのは国際収支の不均衡ではなく独占禁止法理における不当廉売である。
 
== 帝国主義と貿易摩擦 ==