「タケミカヅチ」の版間の差分

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元々は[[常陸]]の[[多氏|多氏(おおうじ)]]が信仰していた鹿島の[[土着神]]([[国津神]])で<ref name=gakken/>、海上交通の神として信仰されていたとする説がある<ref name=gakken/> 。[[大和岩雄]]の考察によれば、もともと「大忌」つまり神事のうえで上位であるはずの多氏の祭神であったのだが、もとは「小忌」であった中臣氏にとってかわられ、氏神ごと乗っ取られてしまったのだという(『神社と古代王権祭祀』)<ref name=gakken>{{cite book|和書|ref=harv|last=小向|first=正司|publisher=学研|year=1992|title=神道の本|series=Books Esoterica|volume=2|isbn=|pages=76-7}}(雑誌コード 66951-07; 共通雑誌コード T10-66951-07-1000)</ref>。
 
一方で[[宝賀寿男]]は系図、習俗・祭祀、活動地域、他氏族との関わりから、多氏を[[天孫族]]、中臣氏を[[縄文人|山祇族]]に位置づけ、建御雷神を最初から中臣氏が祖神として奉斎した氏神([[天児屋命]]の父神)と推定した。この説によると、山祇族([[紀国造]]、[[大伴氏]]、[[久米氏]]、[[隼人]]等{{efn|隼人に犬舞いや狗吠などの独特な文化があり、朱の使用や[[犬]]・[[狼]]の[[トーテム]]も持っているが、これは[[苗族]]が犬頭頭・槃瓠の後裔と称し、犬トーテムを持つことや、『[[旧唐書]]』、『[[新唐書]]』の[[吐蕃]]([[チベット]]系)伝に、吐蕃の習俗として「犬吠之声」や朱丹・顔面塗布、自発的[[殉死]]があることと共通し、[[太陽信仰]]・[[鳥]]トーテムを持つ[[東夷]]系の[[天孫族]]や、[[稲作]]、断髪、黥面の文化を持ち、[[龍]]・[[蛇]]・[[鰐]]のトーテムと信仰を持つ[[百越]]系の[[海神族]]とは民族系統が明らかに異なることから、隼人を「[[縄文人]]の末裔」とする見方もある<ref>[[宝賀寿男]]「天孫族の列島内移遷」『古代氏族の研究⑬ 天皇氏族 天孫族の来た道』青垣出版、2018年、112、113頁。</ref>。実際にチベット系の遺伝子と縄文人の遺伝子には[[ハプログループD (Y染色体)|Y遺伝子D系統]]が共通し、百越の遺伝子と日本人の遺伝子には[[ハプログループO-MSY2.2 (Y染色体)|Y染色体O系統]]が共通する。}}は月神、火神、雷神、蛇神と縁が深く、これらを祖神としてきたため、祖系には火神・雷神が複数おり、そこから建御雷神の位置づけを推定したとする<ref>宝賀寿男「中臣氏族の遠祖と武甕槌神」『古樹紀之房間』、2007年。</ref>。
 
さらには[[ヤマト王権]]の[[東国]]進出の際、鹿島が重要な拠点となったが、東方制覇の成就祈願の対象も鹿島・香取の神であることは[[葦原中国平定]]で既に述べた。こうしたことで、タケミカヅチがヤマト王権にとって重要な神とされることになった。