「高荷義之」の版間の差分

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精密さと共に、鋼鉄の質感を伝える写実的なタッチが特徴に挙げられる。また、背景をなす硝煙、波しぶき、雲海などの荒々しい筆遣いや、兵器の残骸や歩兵などのレイアウトで、戦場の臨場感を伝える手法も巧みである。なお画材は初期は水彩絵具、1980年頃以降はアクリル絵具を使用している。
 
しかし、[[1974年]]にアメリカとヨーロッパの消費者運動により「製品(キット)以外のものをボックスアートに描くと誇大広告とみなされる」という問題が生じる([[小松崎茂]]の項も参照)<ref>根本『図説 小松崎茂ワールド』、146頁</ref>。タミヤの自主規制により荷は原画の修正を強いられ、改訂版パッケージでは背景の歩兵やオートバイが丸ごと削除され、事情を知らないモデラーを驚かせることになった。この修正作業では、問題となる箇所を水で濡らした筆でなぞって消したという。更に削除だけではなく初稿完成以降に集めた資料による細部の修正が無数に入っており、荷の職人気質を感じさせる。
 
以降、パッケージに絵よりも写真が使われる例が増え、スケールモデル分野での需要が減ったことがロボットアニメに進出するきっかけになった。当初、アニメや巨大ロボットという非現実の題材に戸惑いがあったが、「この世界こそ、かつて自分が憧れた冒険活劇の世界ではないか!」と達観した。荷風にアレンジされたメカニックイラストは力強い生命感を放ち、後に主流となる[[コンピュータグラフィックス|CG]]制作のボックスアートと比べても、独特のリアリティーを有している。
 
[[架空戦記]]、[[SF小説]]等の表紙も描いている。近年ではこれらの絵は印象画のように細部をぼかして雰囲気優先で描かれる事もある。特に[[横山信義]]と[[佐藤大輔]]、および[[林譲治 (作家)|林譲治]]の一部の作品で顕著であるが、作品のイメージを代表する兵器や人物をトリミングして<!--戦術的必然性とかは無視して。勿論こうした方法を非難する物ではない。上田信はこの手法を応用して上手に描いている。-->並べるような手法ではなく、小説内の一場面を再現するようなものが多く、写実性の高さを生かして艦船や飛行機が奇抜な機動を行っている(ように見える)アングル<!--新潮の軍事スリラーや学研、ワニの仮想にあるようなのですな-->は少ない。シリーズ物では内容に合わせたのか色合いや海、雲の具合などが調節されていることもある。<!--細部のぼかしは『海の牙城』と『征途』の大和を比較するとその違いがよくわかる。海の牙城シリーズでは3巻は巨大な敵の襲来を予感させ、作中の夜戦の暗色と炎上する炎、4巻は砲煙にまみれ本土近海での激戦を感じさせる艦上からのアングル、5巻は爽快感を狙ってかとりわけ明るい。-->