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{{Otheruses|有料道路のETC|その他|ETC (曖昧さ回避)}}
[[ファイル:御殿場インターチェンジ001.jpg|thumb|right|ETCレーンの設置事例。中央のレーンがETC対応。 - [[東名高速道路]][[御殿場インターチェンジ|御殿場IC]]第一入口]]
[[ファイル:Sign showing lanes with ETC system.jpg|thumb|right|ETCレーンを知らせる標識(通称「手形標識」)]]
'''電子料金収受システム'''({{lang-en|'''E'''lectronic '''T'''oll '''C'''ollection System}} :エレクトロニック・トール・コレクション・システム, 略称{{en|'''ETC'''}})とは、[[高度道路交通システム]]のひとつ。[[有料道路]]を利用する際に[[料金所]]で停止することなく通過できるノンストップ自動料金収受システムである。
 
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日本のETCシステムは、インターチェンジにETC専用ゲートを整備しなければならず、さらに料金割引制度を受けたい高速道路利用者が、ETC車載器・ETCカード・セットアップ費用を用意しなければいけないなど、金銭的な負担、ハード依存が大きい。そのため、世界で最も高価かつ複雑なシステムと言われることがある。その原因は、旧[[建設省]]、旧[[運輸省]]、[[警察庁]]などの省益がぶつかりあった結果で、より安価にすることも出来たはずだと指摘する論評もある<ref>{{cite news | author = [[清水草一]] | url = http://trafficnews.jp/post/42042/3/ | title = ETC2.0はスマホに勝てるのか? その将来は | newspaper = [[乗り物ニュース]] | date = 2015-08-02 | accessdate = 2016-09-24 }}</ref>。そのため一部の出版社や識者からは、ETC機器を製造販売する組織の既得権益ではないかという声が挙がっている<ref>{{Cite web|url=http://www.fsight.jp/4300|title=あなたもETC“利権ゲート”を通っている|author=杉谷剛|date=2008-07|publisher=[[新潮社]]|work=Foresight(フォーサイト)|accessdate=2017-08-27}}</ref>。これに対しては、行政やクレジットカード会社が主体となって、ETC機器やセットアップ料金が無料になるというキャンペーンも頻繁に行なわれていた。
 
[[1997年]]([[平成]]9年)に[[小田原厚木道路]][[小田原本線料金所|小田原料金所]]で業務用車輛を対象に試験が開始され、2001年(平成13年)[[11月30日]]には、[[日本の高速道路]]において一般利用が開始された。日本では[[国土交通省]]が推進している。
 
2015年(平成27年)11月末現在、日本では累計6975万台の車両にETC車載器が取り付けられた(ただし、このうち再セットアップ件数が1788万台あるので、実台数は5187万台程度であると推定される)<ref>{{PDF|[https://web.archive.org/web/20151222121605/https://www.its-tea.or.jp/wp-content/uploads/2014/02/wnews_151130.pdf 車載器セットアップ件数(2015年11末)]}}(2015年12月22日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]])</ref>。2015年12月時点におけるETC利用率は全国平均で90.3%であり、[[首都高速道路]]では週平均で93%を超えている<ref>{{PDFlink|[http://www.mlit.go.jp/road/yuryo/riyou151119.pdf ETC利用状況の推移]}} - 国土交通省</ref>。
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[[ファイル:ETC車戴機.jpg|thumb|right|180px|ETC車載器 本体部]]
[[ファイル:フリーフローETC.JPG|thumb|right|首都高速出口に設置されているフリーフローETC]]
'''ETC車載器'''(以下、車載器)を導入した[[自動車]]が料金所のETCレーンに進入すると、無線通信により車載器と料金所の間で料金精算に必要な情報(車両の情報、[[#ETCカード|ETCカード]]の番号、入口料金所、出口料金所、通行料金など)が交換される。通信が正しく行われ、情報に問題がなければ、ETCレーンに設置された発進制御棒(以下、[[遮断機|開閉バー]])が開き、車両は停止せずにそのままレーンを通過できる<ref>[https://web.archive.org/web/20080924175918/http://www.mhi.co.jp/etc/whats/index.html ETCとは](2008年9月24日時点の[[インターネットアーカイブ|アーカイブ]]) - 三菱重工</ref>。ETCレーンを通過する際はETCカードをあらかじめ車載器に挿入し、車載器によるカードの認証を終えている必要がある。車載器がカードの認証を終えていない場合、または通信中に何らかの異常があった場合や情報が正しくない場合などには開閉バーが開かず、料金所を通過できない。なお、無線通行をしない場合は「一般」または「ETC/一般」の表示があるレーンを利用する。この場合、対応している有料道路であればETCカードを料金精算に利用できる([[#ETCレーンがない場合|ETCレーンがない場合]]を参照)。
 
車載器には、あらかじめ設置する車両の情報を登録しなければならない([[#セットアップ|セットアップ。後述]])。
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ただし、ETCカードの挿し忘れや通信エラーなどで、開閉バーが開かなくても、衝突せずに確実に停止可能な速度で、料金所のレーンを通過しなければ危険である。各事業者は、ETCシステム利用規程などで定め、20&nbsp;km/h以下の低速で料金所を通過するよう、周知活動を行った。しかし、速度超過でのレーン進入に起因する、ETCのブースや開閉バーを破壊する事例が相次いだため、[[中日本高速道路|NEXCO中日本]]を皮切りに、[[西日本高速道路|NEXCO西日本]]・[[東日本高速道路|東日本]]を始め、[[首都高速道路]]や[[阪神高速道路]]など多くの高速道路会社で、開閉バーの開くタイミングを遅らせることで、過剰な速度での料金所通行を防ぐ対策を実施している。
 
一旦停止を必要とする「[[スマートインターチェンジ]]」も実用化に向けて各地で実験が進められ、その一部は2006年10月1日から恒久化されている。<!--現在、スマートインターチェンジより入りそのまま出てしまうと、エラーとなってゲートが開かない不具合が報告されている。要出典-->
 
:フリーフローETCシステムとは、車両を停止もしくは速度を落とさなくても料金収受が可能なETCシステムで、画像処理装置と車載器位置検出装置により通信を行い、ETCゲートが不要となり、渋滞緩和やコスト削減が期待できる次世代ETCのこと。[[首都高速道路]]や[[阪神高速道路|阪神高速]]、[[名古屋第二環状自動車道|名二環]]などの一部で使用されている。また府中スマートインターの出口でも使用されている。
 
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=== 日本での歴史 ===
日本では、[[1997年]][[3月]]に[[小田原厚木道路]][[小田原本線料金所|小田原料金所]]で業務用車輛を対象に試験が開始された<ref name="ETCMem">{{cite web |author=財団法人道路システム高速化推進機構 |url=http://www.orse.or.jp/news/h25_etc_binran_simple.pdf |title=ETC便覧 簡略版(平成25年版) |format=PDF |date=2013年 |accessdate=2014-03-07 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20140307135445/http://www.orse.or.jp/news/h25_etc_binran_simple.pdf |archivedate=2014-03-07}}</ref>。同年12月には[[東京湾アクアライン]]で[[路線バス]]を対象に試験を実施<ref name="ETCMem" />、[[1999年]][[10月]]にはORSEが車載器と路上アンテナの相互接続試験を開始し、また[[デンソー]]製車載器が初合格した。[[2000年]][[4月24日]]には、[[東関東自動車道]]での試験が実施され、2000年[[7月1日]]には[[福岡高速道路]][[榎田出入口]]に試験的に先行導入。[[2001年]][[3月30日]]に千葉、沖縄地区において一般利用が開始された。同年[[7月23日]]、三大都市圏の一部区間において、同年[[11月30日]]には全国の高速道路において一般利用が開始された。
 
==== 現況 ====
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ETCカードには以下の種類がある。
*説明文中、[[東日本高速道路|NEXCO東日本]]は東日本高速道路株式会社を、[[中日本高速道路|NEXCO中日本]]は中日本高速道路株式会社を、[[西日本高速道路|NEXCO西日本]]は西日本高速道路株式会社を示す。また'''[[ネクスコ|NEXCO]]各社'''はこれら三社を示す。<!--上記表記は、2006年4月以降各社は本格的に利用することが3月20日に発表されました。まだなじみのない表現なので注釈を記載しましたが、呼称が定着したら削除しても構わないと考えています。2006/03/21@Cosnf -->本項目で'''六会社'''とした場合、NEXCO各社に加えて、[[首都高速道路|首都高速]]・[[阪神高速道路|阪神高速]]・[[本州四国連絡高速道路|本四高速]]の各高速道路会社を含め指す。
 
==== ETCクレジットカード ====
クレジットカードの発行会社が、ETC利用者に貸与するETCカード。次項のETCパーソナルカードが登場するまで、個人の利用者はETCクレジットカードを利用するしかなかった。
 
* ETCクレジットカードの申し込みは、クレジットカードと同時に新規に申し込む場合を除いて、あらかじめETCカードの発行に対応するクレジットカードを所持する必要がある。提携先の意向により非対応にされているカードもあるので注意を要する。通常のクレジットカードと同様、契約には審査が必要であったが、カードショッピング機能がないカード「JAF ETC会員証」もあるが、通常のクレジットカードと同様、契約には審査が必要である。存在した(2011年3月末日で発行終了)<ref>{{Cite web |url=http://www.jaf.or.jp/proceed/member/info_etc.htm |title=JAF ETC会員証をお持ちの会員様へ |publisher=JAF |accessdate=2013-4-22 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20130507084810/http://www.jaf.or.jp/proceed/member/info_etc.htm |archivedate=2013-05-07}}</ref>。
* ETCクレジットカードは通常、主契約のクレジットカードとは別にETC専用のものが発行され、クレジットカードが親、ETCカードが子の関係となる。後述の通り、ETCカード支払いも親カードの利用残高に合算される。
** カード会社によっては、通常のクレジットカード上にETC専用またはICクレジットと共用の接触[[ICカード|ICチップ]]を搭載した一体型を発行している。一体型のカードについては、カード、または車両とカードが同時に盗難に遭った場合の危険性や再発行までの不便さが親子分離型と比べて増大する。
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[[ファイル:Personal.jpg|thumb|right|パーソナルカード]]
クレジットカードの契約ができない、あるいは契約を望まない高速道路利用者からの、ETCを利用したいと言う要望に応えて企画された、ETC利用者識別情報カードである。ETCシステムの全国一般運用開始からほぼ4年後の[[2005年]][[11月29日]]、発行が開始された。高速道路6社<ref group="注釈">東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社、首都高速道路株式会社、阪神高速道路株式会社、本州四国連絡高速道路株式会社の以上6社。</ref> が共同で発行し、ETC利用者に貸与する。通常クレジットカードの発行に必要な「審査」に代わり、'''[[デポジット]]'''(預託金)を預託することで発行されることが、一般のETCカードとの違いである。
 
* カードのサイズは一般のETCカードと同一であり、当然、車載器も同じものである。
* 通常のETCカードと同様、[[ETC割引制度#ETCマイレージサービス|ETCマイレージサービス]]が利用でき、各種割引サービスが受けられる。
* ETCパーソナルカードの契約には6社を代表する、ETCカード事務局に利用申込書を提出する。このとき、月平均利用の見込み額、年間の最高利用月見込み額を申告する。ETCカード事務局は、内容を審査の上、申込者にデポジットの金額を通知する<ref group="注釈">月平均利用見込み額の4倍の額、年間の最高利用月見込み額を2万円単位で切り上げた額のいずれか高い額となる。ただし、最低額は4万円。</ref>。申込者は通知された金額を[[郵便振替]]又は[[コンビニエンスストア]]で払い込み、これをETCカード事務局が確認した後、申込者にETCパーソナルカードが貸与される。
* デポジットは前払金ではなく、支払いには充当されない。解約の場合には、未払金の支払いの後、デポジットが返還される。
* 通行料金は毎月末日を締め日として1か月ごとに集計され、翌月27日に、申し込み時に指定した[[銀行]]の預金口座、または[[郵便貯金]]の通常貯金口座から引き落とされる。特に指定する場合を除いて[[中日本高速道路|NEXCO中日本]]が6社を代表して収納事務を行う。
* 年会費1,234257円が必要となる。これも通行料には充当されない。なお、[[2009年]][[3月1日]]から[[2011年]][[3月31日]]までの新規入会者は、初年度の年会費が無料であった<ref>{{cite web| url=http://www.c-nexco.co.jp/info/service/pdf/090213145853_1.pdf | title=ETCパーソナルカード初年度年会費無料キャンペーン | format=PDF | publisher=[[首都高速道路株式会社]] | accessdate=2009年4月29日 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20090806223329/http://www.c-nexco.co.jp/info/service/pdf/090213145853_1.pdf |archivedate=2009-08-06}}</ref><ref>{{cite web| url=http://www.shutoko.jp/etc/service/card/pasoca.html | publisher=首都高速道路株式会社 | title=ETCパーソナルカード初年度年会費無料キャンペーンの実施について | accessdate=2009年4月29日 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20090221183923/http://www.shutoko.jp/etc/service/card/pasoca.html |archivedate=2009-02-21}}</ref>。このキャンペーンの背景には、要望に応えてETCパーソナルカードを企画したものの、思ったより普及が進まず、アンケート調査の結果、デポジット制の面倒くささや理解のしにくさもさることながら、年会費の高さが普及を阻害していることが、はっきりしたためである。
* 利用額の実績が申告より多い場合、デポジットの追加払込を要求されることがある。追加払込を拒否したり、月初からの累計がデポジット額の80%を超えた時点でサービスは停止する。したがって、デポジット額を少なく抑えるために過少申告すると、月の途中でETCを使えなくなって利用者自身が不便をこうむることになる。ただし短期的、例えば1ヶ月だけ申告より利用額の実績が多くなった場合には、その旨を事務局に説明すればデポジット額の80%を超えない限り、即サービスを停止されることはない。
* 上述の通り、ETCパーソナルカードの申し込み先は、クレジットカード会社ではなく、高速道路6社である。発行にクレジットカードの契約は不要で、加入審査をパスするための担保は[[クレジット|信用供与]]ではなく、預託金による物的保証である。よって、[[信用情報]]機関の利用や登録も行われない。
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以下にETCが利用できない主な道路、料金所を挙げるが、これらは例示であり、すべてを尽くしているわけではない。特に道路公社管理の有料道路の多くでは利用できないと考えたほうがよい。
 
外見はNEXCO管理の高速道路や有料道路のように見えても、実際の管理は各府県の道路公社が行っている場合もあり、ETCの利用可否を事前に確認する必要がある(ETCが使えない道路では起点や料金所手前予告標識に「ETCは利用できません。」と書いてあるところもあれば、料金所で初めてその旨の標識を置いている所もある)。<!--NEXCO外の一般有料については逆に利用できる方の一覧を上げた方がよいかと-->
 
==== ETCカードが利用できない主な道路・料金所 ====
料金所にETCレーン及びカードリーダー機器が未整備のため、ETCの利用ができない。
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** なお、若戸トンネルの供用と同時期にETC整備の計画があったが、結局開通時点では整備されなかった。
* [[一ツ葉道路]](宮崎県道路公社)
* [[あぶくま高原自動車道|あぶくま高原道路]] ([[福島県道路公社]])
 
==== ETCカード手渡し処理のみの主な道路・料金所 ====
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なお、リース制度という名称となっているが、実質は割賦・分割販売がほとんどであり、助成金給付の条件としては「2年以上、2回以上の支払い」となっている。
 
同様の制度は二輪車でも行われていた。2006年11月1日 - 2007年1月31日の期間限定で、限定数はなく、ETC車載器1台あたり1万5,750円の助成金を給付された。「二輪車ETCらくらく導入キャンペーン」と銘打って行われており、2008年度は2009年1月30日まで、先着2万台限定でETC車載器1台あたり1万5,750円の助成金を給付する。当初は1万台限定だったものが、好評だったために、六会高速道路6社からの協力を得て1万台を追加したもの。この二輪車対象の助成制度も、2008年10月14日に終了した<ref>{{cite web| url=http://www.orse.or.jp/monitor2/index.html | title=平成20年度「二輪車ETCらくらく導入キャンペーン」の終了について | publisher=財団法人道路システム高度化推進機構 | accessdate=2009年4月29日 |archiveurl=https://web.archive.org/web/20111223044509/http://www.orse.or.jp/monitor2/index.html |archivedate=2011-12-23}}</ref>。
 
また、2009年3月12日より高速道路交流推進財団による助成制度が施行された<ref>{{cite web | url=http://www.mlit.go.jp/common/000030980.pdf | title=ETC普及促進策の概要について | format=PDF | publisher=国土交通省 | accessdate=2009年4月29日}}</ref>。助成額は2008年までの助成制度と同額の四輪車5,250円、二輪車1万5,750円。四輪車に対する助成は115万台に達したので、2009年4月28日に終了した。二輪車に対する助成も5万台に達したため、同年7月9日に終了した。