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そのため、「[[司法警察員]]による捜索には裁判官の令状が必要であるが、徴収職員による捜索には裁判官の令状が必要ないので、強い権限を行使できる」という誤った認識があるが、国税徴収法の捜索よりも刑事訴訟法の捜索の方が権限は強く<ref>[https://www.bengo4.com/c_1009/b_807924/ 家宅捜索について教えてください‼国税徴収法に基づく家宅捜索と刑事訴訟法に基づく家宅捜索とではどちらがより強い強制力を行使出来ますか?やっぱし、裁判所の令状なしで出来る国税徴収法なのでしょうか? - 弁護士ドットコム]</ref><ref>[[川崎民商事件|川崎民商事件最高裁大法廷判決]]において、[[税務調査]]に[[日本国憲法第35条|憲法35条]]が適用されない要件として、「たしかに、(中略)検査拒否に対する罰則は、(中略)収税官吏による当該帳簿等の検査の受忍をその相手方に対して強制する作用を伴なうものであるが、(中略)収税官吏の検査は、もつぱら、所得税の公平確実な賦課徴収のために必要な資料を収集することを目的とする手続であつて、その性質上、刑事責任の追及を目的とする手続ではない。 また、右検査の結果過少申告の事実が明らかとなり、ひいて所得税逋脱の事実の発覚にもつながるという可能性が考えられないわけではないが、そうであるからといつて、右検査が、実質上、刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結びつく作用を一般的に有するものと認めるべきことにはならない。さらに、強制の態様は、収税官吏の検査を正当な理由がなく拒む者に対し、刑罰を加えることによつて、間接的心理的に右検査の受忍を強制しようとするものであるが、強制の度合いは、それが検査の相手方の自由な意思をいちじるしく拘束して、実質上、直接的物理的な強制と同視すべき程度にまで達しているものとは、いまだ認めがたい。(中略)収税官吏の検査は、あらかじめ裁判官の発する令状によることをその一般的要件としないからといつて、憲法35条に違反しているとはいえない。」と判示している。上記判例に照らせば、相手方の自由意思を著しく拘束しない国税徴収法142条の捜索よりも、相手方の自由意思を著しく拘束する[[犯罪]][[捜査]]のための捜索の方が、強制力が強いということになる。よって、原則として[[令状]]が必要である[[捜査機関]]([[司法警察職員]]・[[検察官]]・[[検察事務官]])による捜索の方が強制力が強いため、無令状による捜索を認める[[国税徴収法]]142条は、憲法35条違反に当たらないと解されている。</ref>、閉鎖してある戸・扉・金庫等の開扉(142条3項)については、徴収職員が自ら開くのは、滞納者等が徴収職員の開扉の求めに応じないとき、不在のとき等やむを得ないときに限るとされ([https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/chosyu/05/06/02/142/01.htm 基本通達7])、器物の損壊等は、必要最小限度にとどめるよう配慮するとされている([https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/chosyu/05/06/02/142/01.htm 基本通達8])。これに対して、犯罪捜査を目的とする刑事訴訟法の捜索については、そのような配慮がなされることはなく、被疑者が開扉しない場合、[[エンジンカッター]]などを用いて開扉することも可能である<ref>[https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/chosyu/05/06/02/142/01.htm 国税徴収法に関する基本通達8]で解錠に際し、器物の損壊等は、必要最小限度にするとあるため、実務においても、[https://blog.goo.ne.jp/dxo186556_001/e/034763bf6174a7929f22a00fe84ca397 専門業者に依頼して玄関ドアを解錠したり、ドアチェーンのみを電動ノコギリで切断するなどの手法が用いられる。]よって、[[エンジンカッター]]でドアごと切断する事は解錠に際しての必要最小限度の器物の損壊の範疇を超えるため、許可されていないと解釈されている。</ref><ref>[https://mainichi.jp/graphs/20191002/mpj/00m/040/001000f/1 家宅捜索に入るため、中核派の拠点「前進社」の扉をエンジンカッターで切断する機動隊員=東京都江戸川区で2019年10月2日午前8時26分、毎日新聞社撮影]</ref><ref>[https://r.nikkei.com/article/DGXNASHC06020_W0A001C1AC8000 2010年10月6日に大阪府警捜査4課が、闇賭博場「福助」=大阪市西成区萩之茶屋3=をモーターボート競走法違反容疑で家宅捜索した際、解錠要求に応じなかったため、警告の上、鉄製ドアを爆破している。]</ref>。
 
捜索中に[[wikt:禁制品|禁制物]]([[麻薬]]・[[覚醒剤]]・[[拳銃]]等)が発見された場合、国税徴収法による捜索の場合、動産として差し押さえることできないが<ref>「差押えの対象となる財産は、譲渡又は取立てができるものでなければならない。」とされており([https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/chosyu/05/01/01/047/01.htm 基本通達第47条関係8])、動産は、公売による譲渡で現金化するが、禁制物は、[[公売]]に付すことができないから、差押の客体としての適格性を欠くことになる。</ref>、刑事訴訟法による捜索の場合、禁制物の差押も被疑者の逮捕も可能である。
 
捜索に際して、徴収職員には拳銃の携行が認められていないが、司法警察員には拳銃の携行が認められている。