「板門店」の版間の差分
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'''板門店'''(パンムンジョム/はんもんてん、{{lang-ko|판문점}})は、[[朝鮮半島]]中間部に位置する[[朝鮮戦争]][[停戦]]のための[[軍事境界線 (朝鮮半島)|軍事境界線]]上にある地区である。北側の[[朝鮮人民軍]]、[[中国人民志願軍]]と南側の[[国連軍 (朝鮮半島)|国連軍]]で[[朝鮮戦争休戦協定|停戦協定]]が[[1953年]]に調印され、同年10月以降は停戦を監視する「中立国監督委員会」と「軍事停戦委員会」が設置され、停戦協定遵守の監視を行っており、60年以上に渡る[[朝鮮半島]]の[[分断国家|南北分断]]を象徴する場所となっている。
== 概説 ==
[[大韓民国国軍|韓国軍]]を中心とした「国連軍」と[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]の朝鮮人民軍が境界線を隔てて顔を合わせている。
板門店内は、1953年10月の設置以降、国連軍と朝鮮人民軍の停戦協定に基づく「中立国監督委員会」と「軍事停戦委員会」の本会議場が設置され、[[朝鮮戦争休戦協定|休戦協定]]遵守の監視を行っている。「軍事停戦委員会」本会議場は南側、「中立国監督委員会」は北側の施設となっており、緊急度を4段階(第一級 - 第四級)に分けた会議を開いている。
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南北朝鮮両国が過去何度も会談を開いてきた他、[[2003年]]に希望路([[都羅山駅]]近郊)経由で[[京義線・東海線鉄道および道路の連結事業|南北直通道路が連結]]されるまでは支援物資を含めた北朝鮮との物資、人の往来も板門店を抜けて渡っていたように、対戦状態(休戦中)にある南北朝鮮両国の唯一の接点である。
== 南北首脳会談・米朝(韓)首脳会談の開催地として ==
[[2018年]]4月27日、韓国側施設「平和の家」で、韓国の[[文在寅]][[大統領 (大韓民国)|大統領]]と北朝鮮の[[金正恩]][[朝鮮労働党委員長]]が会談した。史上初めて、[[南北首脳会談]]が韓国側で開催され、北朝鮮の最高指導者が韓国入りした。
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{{main|2019年6月米朝首脳会談}}
== 名称の由来 ==
[[ファイル:Hanmonten map circa 1938.PNG|thumb|220px|right|<center>1938年頃の板門店周辺地図<BR><SUB>(地図のほぼ中央を南北に流れる川が沙川江、板門店の前を東西に通る道路が[[国道1号線 (韓国)|新作路]]、「板門店」表記の右下付近で沙川江に架かっている橋が後に[[共同警備区域|JSA]]西端の[[帰らざる橋]]となる沙川橋である。)</SUB></center>]]
「板門店(パンムンジョム)」の名は、[[朝鮮戦争休戦協定]]の協議が行われていた[[1951年]]に、[[中華人民共和国|中国]]の代表者が会場を見つけやすくする目的で会場近くの店に設置した看板に由来している<ref>{{Cite web |url=http://www.recordchina.co.jp/b595678-s0-c10.html |title=南北首脳会談もここで!よく耳にする「板門店」とは?名前の由来は中国に関係―中国コラム |work=[[Record China]] |date=2018-04-27|accessdate=2018-05-01}}</ref>。
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その為、[[中国人民志願軍]]の関係者は会談場所に目印の看板を設置するに当たり、「'''ノル'''」が[[中国語]]で「'''板'''」を意味すると知って先ず「ノル門」を「板門」と[[漢字]]表記し、会談場所の前に店があることから「店」の字を加えて「'''板門店'''」という名称を生み出した。この名称が他の休戦協議参加国にも伝播したことから、会談場所の名称として「板門店」の漢字表記とそれを[[朝鮮漢字音|朝鮮語読み]]にした「パンムンジョム」が世界的に定着した。ただし、中国の[[ニュースサイト]]によると、中国の関係者は地元の人が言う「neolmuni」を店の名前だと認識していたようである<ref name=hankyoreh20180507 /><ref name=jinmin />。
一方、中国や韓国の報道とは別に、[[大日本帝国陸軍]][[参謀本部 (日本)|参謀本部]]の[[陸地測量部]]が作成した[[1938年]]頃の[[地図]]には「ノルムンニ」に「板門店」の漢字を当てた表記が既に掲載されている。そのため、「板門店」という漢字名称が実際はいつから使われていたかは不明である。
== 施設 ==
===「軍事停戦委員会」===
[[ファイル:Panmunjeom3.jpg|right|220px|thumb|軍事停戦委員会本会議場と「板門閣」(2009年8月、南側から)]]
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委員会は毎週[[火曜日]]、最新情勢について北朝鮮と韓国に送付する報告書を作成している。しかし、北朝鮮は[[1995年]]以降受け取りを拒否しており、北朝鮮側のレターボックスは報告書が溜まった状態になっている。満杯になる都度に中立国停戦監視委員会が回収する<ref name="読売20190820"/>。
=== 周辺施設 ===
==== 帰らざる橋 ====
板門店の西側に[[沙川江]](サチョンガン)という河川が流れ、そこに架かる[[橋]]では朝鮮戦争停戦後に[[捕虜]]交換が行われた。北朝鮮から逃れた[[自由主義]]者、北朝鮮の捕虜となった
==== 72時間橋 ====
「帰らざる橋」の北側数百メートルに所在する沙川江の橋。主に北朝鮮側から板門店にアクセスする為の車道として使われている。ポプラ事件の後に「帰らざる橋」が境界線を跨ぐ形となり往来不能となったため、北朝鮮側が代替として架橋した。「72時間で完成した」と主張され、この名称が用いられる。
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北朝鮮側の軍事境界線周辺は「[[機井洞]]」([[プロパガンダ|宣伝]]村)と呼ばれる、韓国側に北朝鮮側の「繁栄」を誇示するために設けられた高層[[アパート]]などの[[住居]]や[[工場]]が立ち並んでおり、「自由の家」からも見ることができる。しかし、これらの住居や工場はあくまで韓国側に対する宣伝のためのものであり、実際に住人はいないとされている。
軍事境界線近くに韓国と北朝鮮の大型の
== 警備 ==
[[ファイル:ObservationPostOuellette.jpg|right|220px|thumb|共同警備区域を警備中の国連軍兵士]]
[[ファイル:South Korean guard protecting door to North Korea.jpg|right|220px|thumb|軍事停戦委員会本会議場内を警備中の韓国軍兵士。鉄帽及び腕章に헌병([[憲兵]])と書いてある。]]
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板門店内および共同警備区域においては、韓国軍を中心とした国連軍と、北朝鮮軍の両軍が境界線を隔てて顔を合わせ[[警備]]についている。
かつては国連軍側に、朝鮮戦争において国連軍として北朝鮮(と中国人民志願軍)と対峙した[[フィリピン軍]]、[[イギリス軍]]や[[ベルギー軍]]なども配備されていたが、現在国連軍の8割以上は韓国軍、そして残りのほとんどを韓国の同盟国である[[アメリカ軍]]が占めている。
原則として南北両兵士は軍事境界線を越えてはならず、「境界線を越えた者、相手兵士と会話を交わした者は死刑に処せられる」と定められている。
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== 事件 ==
==
[[1976年]]8月18日、共同警備区域内に植えられていた[[ポプラ]]並木の剪定作業を発端に、韓国軍・アメリカ軍と
{{main|ポプラ事件}}
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=== ソ連大学生越境事件 ===
[[1984年]]11月23日、北朝鮮の板門店観光ツアーに訪れていたソ連人大学生が軍事境界線を越えて南(韓国)に侵入した。この大学生を追った
=== 亡命事件 ===
上記のソ連大学生越境事件をはじめとして、板門店では過去数回に渡り北朝鮮や旧東側諸国の国民の韓国側への亡命が行われている。[[1998年]]2月に板門店の警備に当たっていた
[[2017年]]11月13日に、1名の
== 見学訪問 ==
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</ref>。
==== 見学事情 ====
板門店内では引率する国連軍兵士のあとに2列で並んでの移動となり自由に歩くことはできない。「北側から『挑発を受けた』と受け取られ攻撃する口実をつくることを防ぐため」であるとし、指を差す、手を振る、大声で笑うなどの行為は禁止されている。軍事停戦委員会本会議場内の設備に触れるなどの行為、国連軍・朝鮮人民軍問わず警備兵に話しかけたり、挑発的態度を取ったりする行為は禁止である。
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=== 北側から ===
[[File:Ladies from North Korea wearing traditional hanbok leave Panmungak to present gifts to South Korean business tycoon Chung Ju-yung 981027-F-XT789-526.jpg|thumb|right|220px|北側からの見学者(南側から撮影)]]
==== 基本事情 ====
北側(朝鮮人民軍側、朝鮮民主主義人民共和国政府支配地域)から外国人が訪問する場合は、現地旅行社が受け入れる一般観光ツアーの中に組み込むよう手配をすれば可能である。朝鮮民主主義人民共和国籍者も各種許可などを取得すれば可能である。在日朝鮮人団体の「祖国訪問」においても訪問の実績がある。
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外国人観光客の板門店訪問自体への参加制限はない。もっとも上記の「観光」の枠組みは、軍人、[[警察官]]、[[治安]]当局関係者、[[報道]]関係者などに制限がある。例えば記者が取材目的で「観光」の枠組みを使うことはできない。在平壌の外国大使館員も訪問できないという。
==== 見学事情 ====
撮影や服装などの制限はないほか、誓約書への署名義務もなく<ref name="Katoh" />、南側と比較して「緩い」とよく言われる。パスポートの持参義務はないが、そもそも前述の「観光」の枠組みでは、北朝鮮入国直後から出国直前まで案内員にパスポートを預けるシステムになっている<ref name="Katoh" />。
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</gallery>
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
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