「キウイフルーツ」の版間の差分
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'''キウイフルーツ'''({{lang-en-short|kiwifruit}})は、[[マタタビ科]][[マタタビ属]]の雌雄異株の[[落葉性|落葉]][[つる植物|蔓性植物]]の[[果実]]である。また、マタタビ属の''[[w:Actinidia deliciosa|Actinidia deliciosa]]''を指して特にキウイフルーツとも呼ぶ。
[[1906年]]に[[ニュージーランド]]が新しい[[果樹]]のキウイフルーツとして、[[中国]]原産の''Actinidia deliciosa''や''[[オニマタタビ|Actinidia chinensis]]''の[[品種改良]]に成功、[[1934年]]頃から商業栽培を開始し<ref name="shidai2924">{{cite journal|url=https://soar-ir.shinshu-u.ac.jp/dspace/handle/10091/2924|title= 長野県中南部に自生するサルナシ(Actinidia arguta (Sieb.et Zucc.) Planch. Ex Miq.) の果実形態と収量の系統間差異|journal= [[信州大学]]農学部AFC報告 |volume=7|pages= 11-19 |year=2009|author=荒瀬輝夫、内田泰三}}</ref><ref>『[[世界大百科事典
「キウイフルーツ」という名称は、ニュージーランドから[[アメリカ合衆国]]へ輸出されるようになった際、ニュージーランドのシンボルである鳥の「[[キーウィ (鳥)|キーウィ]] ('''kiwi''')」に因んで1959年に命名された(果実と鳥の見た目の類似性から命名された訳ではない)<ref>{{cite journal|journal=New Zealand Journal of Crop and Horticultural Science|volume= 32|issue= 1|year= 2004|title=1904—the year that kiwifruit (Actinidia deliciosa) came to New Zealand|doi= 10.1080/01140671.2004.9514276|author=A. R. Ferguson|pages= 3-27}}</ref>。カタカナでは「'''キーウィーフルーツ'''」「'''キーウィフルーツ'''」「'''キウィフルーツ'''」などの表記も使用される。
[[日本
''Actinidia deliciosa'' の最も一般的な[[栽培品種]]であるヘイワード種の果実は、[[鶏卵]]程度の大きさを
その他の[[マタタビ属]]の近縁種も「キウイ」という名称を利用して流通している。例: [[オニマタタビ]](''A. chinensis''、'''ゴールドキウイ'''、'''ゴールデンキウイ''')、[[サルナシ]](''A. arguta''、'''ベビーキウイ'''、'''ミニキウイ''')、[[シマサルナシ]](''A. rufa''、'''ミニキウイ''')など。
== 分類 ==
種としてのキウイフルーツは、以前は''Actinidia chinensis''という単一の種の下に[[変種]]がいくつか
''A. deliciosa''の果実は表面が粗毛に覆われており、緑色果肉品種である。最も一般的に市販されているヘイワード種は''A. deliciosa''種である。一方、''A. chinensis''の果実表面は軟かい疎毛で覆われ(果肉は黄色いことが多いが、黄緑色や赤色が混じるものもある)、2000年より販売の始まったゴールド・キウイ(ゼスプリ ゴールド、ホート16A種)は''A. chinensis''種である。
== 栽培品種 ==
キウイフルーツ果実の[[食品科学]]的な特徴としては、[[ビタミンC]]([[アスコルビン酸]])含量が多いことや、果実としては珍しく[[クロロフィル]]を含むことなどが挙げられる。これらの果実成分の含量は、キウイフルーツの品種によって大きく異なっている。
;グリーンキウイ(ヘイワード種)
:普通のキウイフルーツ(ヘイワード種)の果肉は緑色を呈し、白色の果心の周囲に[[ゴマ|胡麻]]粒ほどの黒い
;ゴールドキウイ(ホート16A種)
:ニュージーランド産を中心に、'''ゴールド・キウイ'''という、果肉が黄色いものも出回っている。普通の(果肉が緑色の)キウイよりも酸味が弱く、甘みが強い。
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:ニューエメラルドという品種は両性種であるが、それ以外の多くの品種は雌雄異株である。2009年に''A. chinensis'' (2n=58) の[[遺伝子地図]]の作成を通して、''A. chinensis''がXY型の[[性染色体]]を持つ[[性決定]]様式であることが示された<ref>{{cite journal |author=Fraser LG, Tsang GK, Datson PM, De Silva HN, Harvey CF, Gill GP, Crowhurst RN, McNeilage MA |year=2009 |title=A gene-rich linkage map in the dioecious species ''Actinidia chinensis'' (kiwifruit) reveals putative X/Y sex-determining chromosomes|url=http://www.biomedcentral.com/content/pdf/1471-2164-10-102.pdf |format=pdf |journal=BMC Genomics |volume=10 |pages=102 (15pages) |id=PMID 19284545 |doi=10.1186/1471-2164-10-102 |accessdate=2009-04-28}}</ref>。
;レインボーレッドキウイ
:果肉は黄色・緑色があり、中心部が白く種子の部分が赤い。果皮は無毛。[[糖度]]が高く、[[酸味]]は抑えられている。主な産地は、[[福岡県
== 栽培 ==
日本での商業栽培は[[温州ミカン]]など[[柑橘類]]の余剰対策の[[転作]]作物として始まった<ref name="shidai2924"/>。
専門知識がなくても比較的簡単に栽培ができ、[[苗]]は一般向けに[[ホームセンター]]などの園芸コーナーで容易に
== 利用 ==
*生食 - 熟した果実の皮を剥くか、半分に切り[[スプーン]]などで
*[[ゼリー]] - キウイフルーツには[[タンパク質分解酵素]]「[[アクチニジン (酵素)|アクチニジン]]」が含んであり、[[ゼラチン]]使用の場合は生のままの使用は、固まらず不向きである。アクチニジンは熱・酸・[[アルカリ]]に弱く、[[ジャム]]や[[シロップ]]煮など加熱処理したものには、分解する働きは無い。また、アクチニジンの含有量が少ない品種もあり、それらは生のまま使用可能である。また、[[寒天]]でも代用できる。
*
*乾燥品 - スライスして凍結乾燥させた食品もある。
*[[酒]] - 醸造原料として利用し[[ワイン]]などが作られている。
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=== イタリア ===
[[イタリア]]は年産50万トン弱で、世界最大の産地。
=== 中華人民共和国 ===
[[中華人民共和国]](中国)は年産30数万トンで、世界第二位の産地。
*[[陝西省]][[周至県]] - 陝西省の生産量は20万トン以上で、中国一多く、南部の[[秦嶺山脈]]に産地が多い。[[西安]]に近い周至県では「中華{{Lang|zh|獼猴桃}}」の名で、他の産地と比べてかなり大振りのものも作られ、名産品となっている。
*[[河南省]][[南陽市 (河南省)|南陽市]][[西峡県]] - 原産地に近く、30数種と多様な栽培種があるといわれる。
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=== ニュージーランド ===
年産30万トン程度で世界第3位。[[ニュージーランド]]にとっては[[外貨]]が獲得できる貴重な農産物であり、首相が自ら店頭でPRするなど国を挙げた販売戦略を行っている<ref>[https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191211/k10012210891000.html?utm_int=all_side_business-ranking_001 ビジネス特集 きのうフルーツ何食べた?] - [[NHK]](2019年12月11日)2019年12月15日閲覧</ref>。▼
▲[[ニュージーランド]]にとっては外貨が獲得できる貴重な農産物であり、首相が自ら店頭でPRするなど国を挙げた販売戦略を行っている<ref>[https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191211/k10012210891000.html?utm_int=all_side_business-ranking_001 ビジネス特集 きのうフルーツ何食べた?] - [[NHK]]</ref>。
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=== チリ ===
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=== 日本 ===
2015年の全国収穫量は2万7800トン<ref>[[農林水産省]] 平成27年産キウイフルーツの結果樹面積、収穫量及び出荷量</ref>。農林水産省の調査品目(果樹)の一つであり、日本では1970年代、[[ミカン
==== 日本国内の主な産地 ====
*[[栃木県]] - 小山では桑畑からの転作で、キウイ栽培が始められた。<ref>[http://e157.dgblog.dreamgate.gr.jp/d2015-08-06.html 田舎のITコンサル社長ブログ みんなのラジオ 公開放送](2015年08月06日)2019年12月15日閲覧</ref>
**[[小山市]]
*群馬県 - [[甘楽町]]が一大産地。<ref>[http://aic.pref.gunma.jp/farmproducts/season/sb/11_a.html ぐんまアグリネット ぐんまの農畜産物 ぐんま旬の味覚 キウイフルーツ]群馬県農政部ぐんまブランド推進課(2019年12月15日閲覧)</ref><!-- 稲作やこんにゃく芋栽培からの転作で広まった。-->
**
*[[神奈川県]] - 国内4 - 5位。[[足柄平野]]一帯に産地が分布し、[[山北町]]からミカン栽培の転作作物として始められた
**[[小田原市]]、[[南足柄市]]、山北町、[[秦野市]]など
*山梨県 - レインボーレッドなどを特産。産地はブドウ栽培からの転作となっている。
**[[山梨市]]、[[市川三郷町]](旧[[三珠町]])、[[南アルプス市]](旧[[櫛形町]])など
*[[静岡県]] - 国内4-5位。種の周りが赤い「レインボーレッド」は[[富士市]]南松野の農家、小林利夫によって育成された品種<ref>{{Cite web |date=2014-01-21 |url=http://www.pref.shizuoka.jp/sangyou/sa-730/wadai/wadai2601.html |title=キウイ‘レインボーレッド®’の原木を訪ねました |publisher=静岡県 |accessdate=2019-11-18}}</ref><ref>{{Cite web |date=2005-05-01 |url=https://agri-biz.jp/item/detail/8438 |title=キウイ生産者グループ(静岡県)、「レインボーレッド」産地化目指す |website=農業ビジネス |publisher=農業技術通信社 |accessdate=2019-11-18}}</ref>。
**[[富士市]](旧[[富士川町 (静岡県)|富士川町]])、[[静岡市]][[清水区]]、[[浜松市]]など
*[[和歌山県]] - 国内3位。ミカン栽培からの転作により、旧[[那賀町 (和歌山県)|那賀町]]、旧[[粉河町]]を中心に栽培が勧められ広まった。特にキウイ栽培に適した[[紀ノ川]]南岸の[[龍門山脈]]北嶺などに大規模な産地が展開する
**[[紀の川市]](旧
*[[徳島県]] - 徳島県の場合は、1981年の寒害によってミカン産地が壊滅的被害を受けた後に、代替作物として始められたものである。
**[[佐那河内村]]、[[小松島市]]
*香川県 - 「香緑」「さぬきゴールド」「さぬきエンジェルスイート」「讃緑」など品種開発を盛んに推し進める。また県と[[香川大学]]により開発された「さぬきキウイっこ」は、農地所有適格法人及び[[農業協同組合|JA]]などを通じて流通されている
**[[善通寺市]]、[[高松市]]、[[三豊市]]
*愛媛県 - 栽培面積、生産、出荷量、販売額とも国内1位で、1970年代からミカン栽培からの転作によって産地が発展した。その経験を活かし、産地間で連携し、安定供給を図っている。ゼスプリによる契約産地の一つにもなっている。<ref>[http://www.aifood.jp/ehimesyokuzai/?p=1996 えひめの食財ファイル 果実 菊地農園 キウイフルーツ]愛媛県農林水産部管理局ブランド戦略課(2019年12月15日閲覧)</ref>
**[[松山市]](旧松山市、旧[[北条市]])、[[西条市]][[丹原町|(旧丹原町]]・旧[[東予市]])、[[大洲市]](旧[[長浜町 (愛媛県)|長浜町]])、[[砥部町]]、[[伊予市]](旧伊予市、旧[[双海町]]、旧[[中山町_(愛媛県)|中山町]])、[[今治市]](旧[[菊間町]])など
*[[福岡県]] - 国内2位。[[八女市]][[立花町]]がその殆どを占める。八女市は自治体単位で生産量日本一であり、「甘熟娘」「キラキラ・キウイ」「甘うぃ」などのブランド品を開発しているほか、キウイ[[ワイン]]などの加工品生産も盛ん
**
*佐賀県 - [[唐津市]]([[浜玉町]])からミカンによる転作で広まる。ゼスプリによる契約産地の一つにもなっている
**[[唐津市]](旧浜玉町)、[[嬉野市]](旧[[塩田町 (佐賀県)|塩田町]])など
*大分県 - ミカンに代わる転作作物として[[国東半島]]を中心に栽培が広まった
**[[国東市]](旧[[国東町]])、[[杵築市]](旧[[山香町]])など
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=== 英語での表記・呼称 ===
ニュージーランドで栽培が開始された当初、この果物は原産地の名をとって[[チャイニーズグースベリー]]([[w:Chinese gooseberry|Chinese gooseberry]])と呼ばれた。販売促進を狙い、現地の輸出[[商社]]によって[[キーウィフルーツ]](kiwifruit)の愛称を与えられたのは、1959年のことであったとされる。古い名称は、ニュージーランド産と[[オーストラリア]]産のものを区別したいときにわずかに使用されることがある。
[[北アメリカ]]では単に'''kiwi'''と呼ぶことが多い。ニュージーランドではkiwiはあくまでも鳥の名および[[ニュージーランド人]]、または「ニュージーランドの」という[[形容詞]]のことであり、kiwifruitをkiwiと呼ぶことはしないため、注意が必要である。
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「キウイフルーツ」「キーウィーフルーツ」「キーウィフルーツ」「キウィフルーツ」などと表記され、それらを略した「キウイ」などという表現も使用される。
[[食物アレルギー]]の原因となることがあるので、この
=== 中国語での表記・呼称 ===
原産地の[[中国]]では、古くから自生のシナサルナシ(支那猿梨)を指す語としては「{{Lang|zh|獼猴桃}}」(びこうとう。{{ピン音|míhóutáo|ミーホウタオ}})が一般的であり、[[李時珍]]の『[[本草綱目]]』に収載されるなど、[[生薬]]の名としても使われた。現在でも[[中華人民共和国|中国本土]]では、栽培品のキウイフルーツもこの語で指すのが一般的である。「{{Lang|zh|獼猴}}」は[[アカゲザル]]を意味し、サルが好んで食べる果実という命名である。
一方、[[香港]]や[[台湾]]で栽培品のキウイフルーツを指す語は、kiwifruit の音訳である「奇異果」([[広東語]]: ケイイークオ、[[台湾語]]: キーイーコー。[[中国語]]: チーイーグオ {{ピン音|qíyìguǒ}})が一般的であり、台湾では「幾維果」({{ピン音|jǐwéiguǒ|ジーウエイグオ}})の名もある。ほかに「陽桃」(「羊桃
== 参考画像 ==
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ファイル:Actinidia chinensis A.jpg|雄花
ファイル:Kiwi_Female_flower02.jpg|雌花
ファイル:Kiwi_Male_flower.jpg|キウイフルーツの雌花
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*[[キーウィ (鳥)]]
*[[9月1日]] - 日本では9と1の語呂合わせから、ゼスプリインターナショナルジャパン株式会社によってこの日は「キウイの日」とされている<ref>[http://www.kinenbi.gr.jp 日本記念日協会]</ref>。
*[[マタタビ]] - キウイフルーツはマタタビの仲間のため、(
== 外部リンク ==
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