'''タイムプレイ'''とは、[[野球]]または[[ソフトボール]]において、[[フォースプレイ]]によらない[[走者]]の第3[[アウト (野球)|アウト]]と、別の走者の得点とのどちらが早かったかを[[審判員 (野球)|審判員]]が判定しなくてはならないプレイをいう。
== 概要 ==
ルール野球規則では、当該イニングにおける第3アウトが成立しても、それよりも先に[[走者]]が[[本塁]]に到達していれば走者の得点が認められ、イニング終了と同時に得点が記録される<ref name="5.08a">公認野球規則5.08(a)【注1】</ref>。そのため審判員は、第3アウト成立に至るプレイ中に本塁到達を目指す走者がいた場合、その走者に[[アピールプレイ]]が残っているか否かに関係なく、走者の本塁到達と第3アウトの成立とのどちらが早かったかを明示しなければならない。
タイムプレイが発生することが予想される状況では、少なくとも一人の審判員は2ヶ所で起こるプレイを同時に見ることができる場所に位置し、どちらが先であったかを判定する必要がある。[[公認野球規則]]内では「タイムプレイ」という語句は用いられていないが、主として審判員の間で、第3アウトと得点が同時期に発生する際のプレイを指す用語・俗語としてしばしば用いられる。
ただし、第3アウトが以下の場合には例外として得点が記録されない<ref>公認野球規則5.08(a)【例外】</ref>。
* 打者走者が1一塁に触れる前にアウトにされたとき。
* 他の走者がフォースアウトされたとき。
* 前位の走者が、塁を空過していたこと、あるいは飛球またはライナーの打球が捕らえられた後によ[[リタッチ]]を果たさなかったことをアピールされてアウトにされたとき。
== 具体例 ==
; その1
#* 二死一塁で、打者は右中間を抜ける長打性の安打を放った。一塁走者は、二塁・三塁とまわり回って本塁を目指した。外野からの返球をカットした一塁手は、打者走者が二塁へ向かっていることを確認し本塁ではなく二塁をカバーしていた遊撃手に送球。打者走者は二塁の寸前で触球されアウトとなった。
** この場合、打者走者がアウトになるより先に一塁走者が本塁に触れていれば、得点は認められる。 ▼
# 外野からの返球をカットした一塁手は、打者走者が二塁へ向かっていることを確認し本塁ではなく二塁をカバーしていた遊撃手に送球。打者走者は二塁上で触球されアウトとなった。
▲* この場合、打者走者がアウトになるより先に一塁走者が本塁に触れていれば、得点は認められる。
; その2
#* 一死一・三塁で、打者は一塁前方向へゴロを打った。一塁手はこれを捕るとそのまま一塁を踏んで打者走者をアウトにし、二塁に向かっている一塁走者もアウトにしようと二塁に送球した。この間に三塁走者は本塁へ向かった。一・二塁間に挟まれた一塁走者は遊撃手に触球されアウトになった。
** この場合、打者走者が先にアウトになったことで一塁走者はフォースの状態を解除されているため、一塁走者のアウトより先に三塁走者が本塁に触れていれば、得点は認められる。 ▼
# この間に三塁走者は本塁へ向かった。一・二塁間に挟まれた一塁走者は遊撃手に触球されアウトになった。
▲* この場合、打者走者が先にアウトになったことで一塁走者はフォースの状態を解除されているため、一塁走者のアウトより先に三塁走者が本塁に触れていれば、得点は認められる。
; その3
#* 一死二・三塁で、打者は左翼への大飛球を打った。三塁走者が[[タッグアップ]]に備え帰塁([[リタッチ]])した一方で、二塁走者は左翼手が捕球できないと判断してスタートを切った。左翼手は捕球に成功し、三塁走者はタッグアップして本塁に向かった。大きく離塁していた二塁走者はリタッチのため二塁へ逆走したが、左翼手の本塁への送球をカットした遊撃手は、二塁走者が帰塁できていないことを確認して二塁をカバーしていた二塁手に送球。二塁手が二塁に触球したため審判員はアウトを宣告した。
** この場合、二塁走者は塁に触球されるだけでアウトとなるのでフォースアウトと混同されやすいが、このアウトはリタッチが不十分であることに対する[[アピールプレイ|アピールアウト]]であるため<ref>公認野球規則5.09(b)(5)</ref><ref>公認野球規則5.09(c)(1)</ref>、二塁走者のアウトより先に三塁走者が本塁に触れていれば、得点は認められる。 ▼
# 左翼手は捕球に成功し、三塁走者はタッグアップして本塁に向かった。大きく離塁していた二塁走者はリタッチのため二塁へ逆走。
** なお、先述の通りタイムプレイの判定に際して、審判は走者に[[アピールプレイ]]が残っているか否かに関係なくその得点の有効無効を判定するため、仮に三塁走者がリタッチしなかった、離塁が早かったなどの反則を犯して進塁していたとしてもその本塁到達が第3アウトより早ければ得点は認められる。守備側がこの三塁走者の反則を確認 出来できていた場合は、第3アウト の成立後 に改めて三塁上でアピールプレイを行うことで 、第3アウトを取り消してそのアウトをイニングの第3アウトとし(いわゆる「'''第3アウトの置き換え'''」 により)、得点を無効とすることができる(「[[第4アウト]]」の項も参照)<ref name="5.09c">公認野球規則5.09(c)</ref><ref>公認野球規則5.09(c)【問3】【問4】</ref>。 ▼
# 左翼手のバックホームをカットした遊撃手は、二塁走者が帰塁出来ていないことを確認し二塁をカバーしていた二塁手に送球。二塁手が二塁に触球したため審判員はアウトを宣告した。
▲* この場合、二塁走者は塁に触球されるだけでアウトとなるのでフォースアウトと混同されやすいが、このアウトはリタッチが不十分であることに対する[[アピールプレイ|アピールアウト]]であるため<ref>公認野球規則5.09(b)(5)</ref><ref>公認野球規則5.09(c)(1)</ref>、二塁走者のアウトより先に三塁走者が本塁に触れていれば、得点は認められる。
▲** なお、先述の通りタイムプレイの判定に際して、審判は走者に[[アピールプレイ]]が残っているか否かに関係なくその得点の有効無効を判定するため、仮に三塁走者がリタッチしなかった、離塁が早かったなどの反則を犯して進塁していたとしてもその本塁到達が第3アウトより早ければ得点は認められる。守備側がこの三塁走者の反則を確認出来ていた場合は、第3アウト成立後改めて三塁上でアピールプレイを行うことで「'''第3アウトの置き換え'''」により得点を無効とすることができる(「[[第4アウト]]」の項も参照)<ref name="5.09c">公認野球規則5.09(c)</ref><ref>公認野球規則5.09(c)【問3】【問4】</ref>。
== 脚注 ==
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