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起源
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|科 = [[ネコ科]] {{sname||Felidae}}
|属 = [[ネコ属]] {{snamei||Felis}}
|亜属 = [[ネコ亜属]] {{snamei||Felis}}
|種 = [[ヨーロッパヤマネコ]] {{sname|[[w:Wildcat|''F''. ''silvestris'']]}}<br />または {{sname|(''F.''.) ''catussilvestris'']]}}
|亜種 = '''イエネコ''' {{sname|''F''. ''s''. ''catus''}}<br />
|学名 = {{snamei|Felis silvestris catus}}<br />({{AUY|Linnaeus|1758}})
|シノニム =
*'''{{snamei|Felis catus}}''' <small>{{AUY|Linnaeus|1758}}</small>
*{{snamei|Felis silvestris domesticus}}
*{{snamei|Felis catus domestica}}
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[[ファイル:Cat_with_goldfish.jpg|thumb|270px|水槽の金魚を狙うネコ]]
[[ファイル:Hannibal Poenaru - Nasty cat ! (by-sa).jpg|thumb|270px|威嚇をするネコ]]
'''ネコ'''('''猫''')は、狭義には[[食肉目]][[ネコ科]][[ネコ属]]に分類される[[リビアヤマネコ]]([[ヨーロッパヤマネコ]]が家畜化された'''イエネコ'''(家猫、{{snamei|Felis silvestris catus}})に対する[[通称]]である{{要出典|date=2019年1月}}
。[[イヌ]](犬)と並ぶ代表的な[[ペット]]として日本を含め世界中で広く飼われている。
 
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== 定義 ==
イエネコの起源は、[[ネズミ]]を捕獲させる目的で飼われ始めたヨーロッパ[[リビアヤマネコ]]の[[家畜化]]であり、ヨーロッパヤマネコの[[亜種]]とされることもある<ref name=Driscoll>{{Cite journal |author=Driscoll CA, Macdonald DW, O'Brien SJ |title=In the Light of Evolution III: Two Centuries of Darwin Sackler Colloquium: From wild animals to domestic pets, an evolutionary view of domestication |journal=Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. |volume=106 |issue=S1 |pages=9971–9978 |year=2009 |month=June |pmid=19528637 |doi=10.1073/pnas.0901586106 |first1=CA |first2=DW |first3=SJ |issn=0027-8424 |pmc=2702791
}}</ref>。リビアヤマネコは独立種 {{snamei||Felis lybica}} {{AUY|[[ゲオルク・フォルスター|Forster]]|1780}}とされることもあるが、[[ヨーロッパヤマネコ]]の[[亜種]] {{snamei||Felis silvestris lybica}} {{AUY|[[ゲオルク・フォルスター|Forster]]|1780}}ともされる<ref>[[#Wildcat|今泉 2004, p.105]]</ref>。その場合イエネコを含むヨーロッパヤマネコの学名は、記載が古い{{snamei|Felis catus}} {{AUY|Linnaeus|1758}}となるのが命名法上の原則である。しかしこれを原則通りに運用すると様々な支障が出ることから、2003年に[[動物命名法国際審議会|ICZN]]の強権により{{snamei|Felis silvestris}} {{AUY|[[ヨハン・クリスチアン・フォン・シュレーバー|Schreber]]|1777}}をイエネコを含むヨーロッパヤマネコの学名として使用できることが認められた([[Opinion 2027]])<ref name="iczn">Bulletin of Zoological Nomenclature. "International Commission on Zoological Nomenclature, [[Opinion 2027]] (Case 3010). Usage of 17 specific names based on wild species which are predated or contemporary with those based on domestic animals (Lepidoptera, Osteichthyes, Mammalia): conserved". ''Bulletin of Zoological Nomenclature'', Volume. 60, 2003, pp. 81-84.</ref>。つまりヨーロッパヤマネコの亜種としてのイエネコの学名は、{{snamei|Felis silvestris catus}} {{AUY|Linnaeus|1758}}とすることができる。なおイエネコをヨーロッパヤマネコと別種として扱う場合には、イエネコの学名は{{snamei|Felis catus}}が正しい。
 
一方、広義の「ネコ」は、ネコ類([[ネコ科]]動物)の一部、あるいはその全ての包括的分類を指し、[[家畜]]種のイエネコに加えて[[ヤマネコ|広義のヤマネコ]]類を含む。特に学術用語としては、[[英語]]の「[[wikt:cat|cat]]」と同様、[[トラ]]や[[ライオン]]などといった大型種を含む全てのネコ科動物を指すことがある。
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{{出典の明記|section=1|date=2009年11月}}
[[ファイル:AfricanWildCat.jpg|thumb|300px|イエネコの原種とされるリビアヤマネコ<br />家畜化以前の特徴を維持している。<br />南アフリカ共和国[[ハウテン州]]、[[ヨハネスブルグ動物園]]。]]
イエネコは、[[形態学]]的分析を主とする伝統的な[[生物学]]的知見によって、以前からヨーロッパヤマネコの亜種[[リビアヤマネコ]] {{snamei|Felis silvestris lybica}}が原種とされてきた<ref name="Wildcat">[[#Wildcat|今泉 2004, p.172]]</ref>。[[20世紀]]後半から発展した[[分子系統学]]等による新たな知見も、従来説を裏付ける形となった。米英独等の国際チームによる[[2007年]]6月29日の『[[サイエンス]]』誌(電子版)への発表では、世界のイエネコ計979匹をサンプルとした[[ミトコンドリア]][[DNA]]の解析結果により、イエネコの祖先は約13万1000年前([[更新世]]末期〈{{仮リンク|アレレード期|en|Allerød oscillation}}〉)に[[中東]]の[[砂漠]]などに生息していた亜種リビアヤマネコであることが判明した<ref>{{Cite web |title = イエネコの祖先は近東出身 // Tabby’s Ancestors Traced to the Near East(今週のハイライト) |url = http://www.sciencemag.jp/highlights/20070629.html |author = [[サイエンス|Science Magazine Japan]] |date = 2007-6-29 |accessdate = 2008-4-19 |deadlink = 2009-5 |archiveurl = https://web.archive.org/web/20070701180657/http://www.sciencemag.jp/highlights/20070629.html |archivedate = 2007-7-1 |deadurldate = 2017-9}}</ref>。
 
愛玩用家畜として同じく一般的な[[イヌ]] {{snamei|Canis lupus familiaris}}に比して、ネコは飼育開始の時期が遅いが、これは家畜化の経緯の相違による。イヌは[[狩猟採集社会|狩猟採集民]]に[[猟犬]]や[[番犬]]として必要とされ、早くから人の社会に組み込まれたが、ネコは、[[農耕]]の開始に伴い[[鼠害]](ネズミの害)が深刻にならない限り有用性がなく、むしろ狩猟者としては競合相手ですらあった。その競合的[[捕食]]動物が人のパートナーとなり得たのは、[[穀物]]という「一定期間の保管を要する食害を受けやすい財産」を人類が保有するようになり、財産の番人としてのネコの役割が登場したことによる。また、[[伝染病]]を媒介する鼠を駆除することは、結果的に疫病の予防にもなった。さらに、記録媒体として紙など食害されやすい材料が現れると、これを守ることも期待された。日本には[[平安時代]]に倉庫の穀物や経典類の番人として輸入されたことにより渡来してきたものと考えられてきた<ref>奈良文化財研究所 読売新聞(2008年06月22日)</ref><ref>『[[世界大百科事典]]』([[平凡社]])「ネコ」の項目。{{Full citation needed|date=2019-01-04|title=出版年や版が不明。}}</ref>が、近年の研究では移入期が紀元前2世紀の弥生時代までさかのぼる可能性が出てきた<ref>[https://webronza.asahi.com/science/articles/2019031600001.html 猫はいつから日本にいるのか] - 朝日新聞社 WEBRONZA、2019年3月25日</ref>。
[[ファイル:2016-06-14 Breast-feeding of Cats ネコの授乳 DSCF6490.jpg|thumb|240px|ネコは[[農耕]]の開始に伴い人に飼われるようになった。]]
農耕が開始され[[集落]]が出現した時期の中東周辺で、山野で[[ネズミ]]や[[ノウサギ]]を追っていたネコがネズミが数多く集まる穀物の貯蔵場所に現れ、棲みついたのが始まりと考えられている(リビアヤマネコの生息地と農耕文化圏が重なった地域で、複数回起こっていたと考えられる)。穀物には手を出さず、それを食害する[[害獣]]、[[害虫]]のみを捕食することから、双方の利益が一致。穀物を守るネコは[[益獣]]として大切にされるようになり、やがて家畜化に繋がった。
 
初めて人に飼われたネコから現在のイエネコに直接血統が連続しているかは不明確。最古の飼育例は、2004年4月に報告された[[キプロス島]]の約9,500年前の遺跡のものである<ref name="Wildcat"/>。墓は約30歳の高貴な人物のもので、人骨から見出約40 cm離れて埋葬されていた<ref name="Wildcat"/>。キプロス島には野生のネコ科動物は分布せず、人が持ち込んだものと考えられてい<ref name="Wildcat"/>。また、今日のイエネコの直接的・系統的起源は明らかではないが、[[紀元前3千年紀|紀元前3000年ごろ]]の[[古代エジプト]]で固定化されたものといわれている。紀元前1600年ごろの古代エジプトの王墓に描かれたネコの壁画が確実な証拠である<ref name="Wildcat"/>
 
なお、さらに遡るとネコの祖先は[[ミアキス]]という約6000万年前の中型肉食獣に遡る。ミアキスの特性に近いまま[[プロアイルルス]]を経て進化した種がネコであり、平原に出て集団狩猟を行う種を経て現在の姿に進化した種がイヌである。
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* {{cite book |和書 |title=日本猫の飼い方 |editor=愛犬の友編集部 |series=キャット・ガイド・シリーズ |publisher=誠文堂新光社 |date=1990-06 |isbn=4416590059 |ref={{SfnRef|愛犬の友編集部|1990}} }}
* {{Cite book |和書 |editor=Quark編集部 |date=1998-07 |title=科学・178の大疑問 |publisher=講談社 |series=ブルーバックス |isbn=4062572214 |ref={{SfnRef|Quark編集部|1998}} }}
* {{cite book|和書|author=[[今泉忠明]]|title=動物百科 野生ネコの百科|publisher=[[データハウス]]|date=2004-7-20|edition=最新版(第3版)|pages=105, 172|isbn=9784887187726}} {{Anchors|Wildcat}}
 
== 関連項目 ==