「エクスカリバー」の版間の差分

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アーサー王を題材にした中世ロマンスでは、アーサーがエクスカリバーを手に入れる経緯として様々な説明がされてきた。[[ロベール・ド・ボロン]]の詩『メルラン』では、アーサーは石に刺さった剣を引きぬいて王になることになっている。石に刺さった剣を引き抜くことは、「本当の王」、すなわち神により王に任命された、[[ユーサー・ペンドラゴン]]の正当な跡継ぎにしか出来ない行為だったという。ボロンの詩にはこの剣の名前は明記されていないが、多くの人がこれを有名なエクスカリバーのことだと考え、その後書かれた[[ランスロ=聖杯サイクル]]の一部『メルラン続伝』でそのことが明記された<ref>''Merlin: roman du XIIIe siècle'' ed. M. Alexandre (Geneva: Droz, 1979)</ref>。ところが、さらにその後に書かれた[[後期流布本サイクル]]の『メルラン続伝』では、エクスカリバーはアーサーが王になったあとに[[湖の乙女]]によって与えられるものとされた<ref>''Lancelot-Grail: The Old French Arthurian Vulgate and Post-Vulgate in Translation'' trans. N. J. Lacy (New York: Garland, 1992-6), 5 vols</ref>。
 
マロリーは、『[[アーサー王の死]]』にこの二つのエピソード(石に刺さった剣を抜いて王になる、湖の乙女から魔法の剣を受け取る)を両方取り入れており、その結果生まれた二本の剣を'''ともにエクスカリバーとした'''<ref>トマス・マロリー『アーサー王の死(キャクストン版)』第1巻9章、第2巻3章</ref>ため、混乱を招いている{{efn2|『アーサー王の死』を抄訳した[[厨川文夫]]は、注で石に刺さった剣をエクスカリバーとしたのはマロリーの誤りだとしている<ref>厨川文夫・圭子編訳 『中世文学集1 アーサー王の死』 [[ちくま文庫]]</ref>。}}。なお、「一本目の石に刺さった剣はカリブルヌスといい、二本目の湖の乙女によって鍛え直された剣がエクスカリバーである」という説明がされることがあるが<ref>[http://www.4gamer.net/weekly/sandm/001/sandm_001.shtml 剣と魔法の博物館](2010年11月閲覧)等</ref>、マロリーにそのような記述は見られない{{efn2|石から剣を引き抜く件は冶金術の暗喩ではないかとする説もある<ref>デイヴィッド・デイ著/[[山本史郎]]訳:『アーサー王の世界』[[原書房]] 46頁</ref>。}}{{efn2|[[2011年]]に[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[Starz|Starz局]]で放送が開始された『[[:en:Camelot (TV series)|Camelot]]』では、滝の最上部の石に刺さった剣をアーサーが抜くが、それはエクスカリバーとは別物という設定になっている。後日、魔術師[[マーリン]]がエクスカリバーを入手してアーサーに届ける際、「湖の乙女に授かった」と報告するが、その乙女とは実は、マーリン自身が魔法を制御できずに溺死させてしまった、鍛冶屋の娘のことである。}}。
 
== エクスカリバーの返還 ==