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{{Infobox 芸術家
'''モード・ルイス'''('''Maud Lewis、'''[[1903年]]3月7日-[[1970年]]7月30日)は[[カナダ]]の[[フォークアート]]の画家である。田舎の風景、動物、草花をモチーフに、明るい色彩とシンプルなタッチで温かみと幸福感のある絵を描いた。カナダで愛された画家の一人である。
| 称号 =
| 名前 = モード・ルイス
| イニシャル =
| 画像 = Maud Lewis.jpg
| 画像サイズ = <!-- 画像サイズ指定 -->
| 画像テキスト = <!-- 視力障害者のための代替テキスト -->
| 画像説明文 = 自作の絵を持って立つルイス
| 現地語名 = {{plainlist|* Maud Kathleen Dowley
* →Maud Lewis<ref name="thoughtco181114">{{cite web|url=https://www.thoughtco.com/maud-lewis-biography-4172425|title=The Life and Work of Maud Lewis, Canadian Folk Artist |first=Amanda|last=Prahl|accessdate=2020-01-18|date=2018-11-14|work=ThoughtCo.}}</ref>}}
| 現地言語 = en
| 本名 = <!-- 名前 と異なる場合にのみ記入して下さい -->
| 誕生日 = [[1903年]][[3月7日]]
| 出生地 = [[ノバスコシア州]]{{仮リンク|ヤーマス郡|en|Yarmouth County}}<!--{{仮リンク|サウス・オハイオ (ノバスコシア州)|label=サウス・オハイオ|en|South Ohio, Nova Scotia}}:{{r|AGofNS}}によると出生地については議論がある様子-->{{r|thoughtco181114}}<ref name="AGofNS">{{cite web|url=https://www.artgalleryofnovascotia.ca/maud-lewis|title=Maud Lewis|accessdate=2020-01-18|work=Art Gallery of Nova Scotia}}</ref>
| 死没年月日 = {{死亡年月日と没年齢|1903|03|07|1970|07|30}}
| 死没地 = ノバスコシア州{{仮リンク|ディグビー郡 (ノバスコシア州)|label=ディグビー郡|en|Digby County, Nova Scotia}}{{仮リンク|ディグビー (ノバスコシア州)|label=ディグビー|en|Digby, Nova Scotia}}{{r|thoughtco181114}}
| 墓地 = <!-- 墓碑の位置 -->
| 墓地座標 = <!-- {{Coord|LAT|LONG|type:landmark|display=inline}} -->
| 国籍 = {{CAN}}
| 教育 = <!-- 芸術家が美術を修学した場所 -->
| 出身校 = <!-- 芸術家が在籍した高等教育機関の名前(リンク付き) -->
| 芸術分野 =
| 代表作 = <!-- 最大5つまで -->
| 流派 = [[フォークアート]]
| 運動・動向 = <!-- 芸術家が関連している芸術運動や流派 -->
| 配偶者 = エヴェレット・ルイス (Everett Lewis)
| 受賞 = <!-- {{awd|賞名|受賞年度(年の漢字は省略)|タイトル|役名|賞名に付加する名前(オプション)}} -->
| 会員選出組織 = <!-- 芸術家が会員に選出された組織 -->
| patrons = <!-- 芸術家を支援した人物 -->
| メモリアル = <!-- 記念碑、銘板、主題にちなんで名づけられたエンティティなど -->
<!-- 以下の引数は英語版に存在しない日本語版のみの引数 -->
| 民族 = <!-- 特記すべき芸術家の出身民族 -->
| 活動期間 = <!-- YYYY年 - yyyy年 -->
| 被影響芸術家 = <!-- 芸術家に影響を与えた芸術家。最大5人まで -->
| 与影響芸術家 = <!-- 芸術家に影響を受けた芸術家。最大5人まで -->
<!-- 以上の引数は英語版に存在しない日本語版のみの引数 -->
| ウェブサイト = <!-- {{URL|hogehoge.com}} -->
}}
'''モード・ルイス'''(Maud Lewis、[[1903年]][[3月7日]]-[[1970年]][[7月30日]])は[[カナダ]]の[[フォークアート]]の画家である。田舎の風景、動物、草花をモチーフに、明るい色彩とシンプルなタッチで温かみと幸福感のある絵を描いた。カナダで愛された画家の一人である。
 
== 生涯 ==
ルイスの人のほとんどが貧しい生活であり、生涯を通して[[ノバスコシア州]]の{{仮リンク|ヤーマス郡|en|Yarmouth County}}{{仮リンク|ディグビーだけが人生郡 (ノバスコシア州)|label=ディグビー郡|en|Digby County, Nova Scotia}}のみ経験暮らした世界のすべてである彼女は正式な美術教育を受けた事も、絵画の描き方を学んだ事もことはい(おそらく家族らのものを除いて)った
 
=== 家族との少女時代 ===
彼女は1903年3月7日に、ノバスコシア州{{仮リンク|ヤーマス郡|en|Yarmouth County}}でモード・キャスリーン・ダウリー (Maud Kathleen Dowley) として生まれた{{r|thoughtco181114|AGofNS}}。彼女は{{仮リンク|若年性特発性関節炎|label=若年性関節リウマチ|en|Juvenile idiopathic arthritis}}を患い、生涯に亘って手足が不自由で体も小さかった。[[身体障害|身体障害者]]に対する[[差別]]もあり、途中で学校教育を中退して[[ホームスクール]]に切り換えたほか{{r|美術手帖180205}}、同世代の子供と遊ぶよりも一人で過ごす時間が多かった。家族の前でピアノを演奏するなど、家族と家で過ごすのが最も楽しい時間であった。毎年、母親と共に[[クリスマス・カード]]を作り、友人や近所の人達に売っていた。
*[[1903年]] カナダ[[ノバスコシア州]]ヤーマス郡(Yarmouth County)南オハイオに生まれる。
:若年性[[関節リウマチ]]を患い、生涯に亘って手足が不自由で体も小さかった。
:[[身体障害|身体障害者]]に対する[[差別]]から同世代の子供と遊ぶよりも一人で過ごす時間が多かった。家族の前でピアノを演奏するなど、家族と家で過ごすのが最も楽しい時間であった。
:毎年、母親と共に[[クリスマス・カード]]を作り、友人や近所の人達に売っていた。
*[[1935年]] 父親が亡くなる。
*[[1937年]] 母親が亡くなる。
:当時の慣習により住居は兄が継ぐが、兄夫婦は離婚し兄が家を出る。モードは叔母と暮らすためにノバスコシア州ディグビー郡へ移る。
 
1935年には父ジョンが、1937年には母アグネスが亡くなる{{r|AGofNS}}。当時の慣習により住居は兄が継ぐが{{r|AGofNS}}、兄夫婦は離婚し兄が家を出る。モードは叔母と暮らすために、同じくノバスコシア州の{{仮リンク|ディグビー郡 (ノバスコシア州)|label=ディグビー郡|en|Digby County, Nova Scotia}}へと転居した{{r|AGofNS}}。
『結婚』
*[[1938年]] 魚の小売り業を営むエヴェレット・ルイスと出会い結婚する。
:ディグビー郡マーシャルタウンの小さな住居に暮らし始める。体の不自由なモードに代わりエヴェレットが家事を行った。世間でのエヴェレットの評判に拘らず夫婦の絆は強く、モードは誇りに思っていた。
:エヴェレットはモードが描く事を奨励する。魚を一軒一軒に売るのと同時にモードのポストカードを25セントで売り、やがて彼の顧客から評判が上がる。そしてモードのために油絵のセットを購入する。
:壁・ドア・キッチン用品・インテリアなど、小さな家の中の描く事が可能なあらゆる表面に絵を描き始める。
 
=== 結婚 ===
『Paintings for Sale』
ディグビーへ移ってすぐ、彼女は魚の小売業を営むエヴェレット・ルイスと出会い、1938年に結婚した{{r|AGofNS}}。夫婦はディグビー郡{{仮リンク|マーシャルタウン (ノバスコシア州)|label=マーシャルタウン|en|Marshalltown, Nova Scotia}}の小さな住居で暮らし始め、体の不自由なモードに代わりエヴェレットが家事を行った{{r|AGofNS}}。世間でのエヴェレットの評判に拘らず夫婦の絆は強く、モードは誇りに思っていた。エヴェレットはモードが描く事を奨励する。魚を一軒一軒に売るのと同時にモードのポストカードを25セントで売り、やがて彼の顧客から評判が上がる。そしてモードのために油絵のセットを購入する。モードはやがて、壁・ドア・キッチン用品・インテリアなど、小さな家の中の描く事が可能なあらゆる表面に絵を描き始めるようになった。
:“Paintings for Sale"(絵画販売中)と書かれたボードが家の前に掲げられる。
*[[1945年]]-[[1950年]] 家を訪れた人々は2ドルまたは3ドルで絵を買う。やがて7〜10ドルで売れるようになる。
*[[1964年]] カナダの雑誌「Star Weekly」で紹介され、カナダ国中の注目を浴びる。
*[[1965年]] [[カナダ放送協会|CBC]]のテレビ番組「Telescope」で紹介される。
:新聞、雑誌などにも頻繁に取り上げられ、遠方の人々やいろいろな人々から絵画の注文が来るようになる。
:テレビ番組の中で[[アトリエ]]が欲しいことを語ると、それを視聴した隣人により[[トレーラーハウス]]を寄贈される。トレーラーハウス内はモードによって彩色された物品であふれかえるが、なぜかトレーラーハウス自体には何も描かれなかった。
:2つの絵が16,000ドル以上で売られる。
:多くの人々の関心を集める中、関節リウマチの病状は徐々に悪化する。トレーラーハウスも使われなくなる。
*[[1970年]] 病院で亡くなる。
:頻繁に病院に通う生活の合い間を見つけては、家の隅で絵を描き続けていた。
:墓石には、エヴェレットの両親の名と共に、少女時代の名前「モード・ドゥーリー(Maud Douley)」と刻まれている(ドゥーリーは婚姻前の旧姓)。
 
=== 「絵画販売中」 ===
*[[1979年]] 家に強盗が入り、その際エヴェレットは亡くなる。
ルイス家の前には、"Paintings for Sale"(絵画販売中)と書かれたボードが掲げられた。[[1945年]]から[[1950年]]にかけて、ルイス家を訪れた人々が2ドルまたは3ドルで絵を買うようになる。彼女の絵はやがて7〜10ドルで売れるようになる。
:晩年エヴェレットも、絵を描いていた。
 
[[1964年]]にはカナダの雑誌「Star Weekly」で紹介され、カナダ国中の注目を浴びる。翌[[1965年]] [[カナダ放送協会|CBC]]のテレビ番組「Telescope」で紹介される。
 
新聞、雑誌などにも頻繁に取り上げられ、遠方の人々やいろいろな人々から絵画の注文が来るようになる。注文者の中にはアメリカ大統領の[[リチャード・ニクソン]]も含まれていた<ref name="DRESS180221">{{cite web|url=https://p-dress.jp/articles/6213|title=映画『しあわせの絵の具 愛を描く人モード・ルイス』感想。人生は美しい色であふれている|date=2018-02-21|accessdate=2020-01-18|author=諸戸佑美|work=DRESS}}</ref>。テレビ番組の中で[[アトリエ]]が欲しいことを語ると、それを視聴した隣人により[[トレーラーハウス]]を寄贈される。トレーラーハウス内はモードによって彩色された物品であふれかえるが、なぜかトレーラーハウス自体には何も描かれなかった。2つの絵が16,000ドル以上で売られるなど、彼女の絵は多くの人々の関心を集めるが、関節リウマチの病状は徐々に悪化する。トレーラーハウスも使われなくなる。
 
モードは[[1970年]]に病院で亡くなった。彼女は頻繁に病院に通う生活の合い間を見つけては、家の隅で絵を描き続けていた。彼女は夫エヴェレット、そしてその両親と共に葬られており、墓石には結婚前の旧姓である「モード・ダウリー」と刻まれている<ref>{{Find a Grave|id=178625867|name=Maud Catherine ''Dowley'' Lewis}} - {{accessdate|2020-01-18}}</ref>。
 
[[1979年]]、家に強盗が入り、その際エヴェレットは亡くなる<ref>{{cite web|url=https://www.cbc.ca/arts/think-you-know-the-story-of-maud-lewis-two-nova-scotia-artists-want-you-to-reconsider-the-myth-1.5038991|title=Think you know the story of Maud Lewis? Two Nova Scotia artists want you to reconsider the myth|accessdate=2020-01-18|first=Laura|last=Kenins|date=2019-05-01|publisher=[[カナダ放送協会]]}}</ref>。晩年エヴェレットも、絵を描いていた。
 
==作品と作風==
ほとんどの絵のサイズは小さく 20cm×25cmである。41cm×51cmの絵が3枚だけ確認されている。<br />茶ツボ、ティーポット、ちり取り、クッキーシート、薪ストーブなど家庭内のほとんどの物品、扉、雨戸、外壁、壁紙。家のあらゆるものがモードのキャンパスだった。家全体(内部の物品を含めた)がモードの作品である。
茶ツボ、ティーポット、ちり取り、クッキーシート、薪ストーブなど家庭内のほとんどの物品、扉、雨戸、外壁、壁紙。家のあらゆるものがモードのキャンパスだった。家全体(内部の物品を含めた)がモードの作品である。
 
モチーフは自分の住む田舎の風景、動物、草花、蝶などであった<br />
 
絵画手法は、先ず輪郭を描き、絵の具のチューブから直接キャンパスに描いた。色を混ぜることは無かった。原色が多く使われるが、バランスの良い配色がされている。[[遠近法]]が用いられることはあるが、影は描かれない。素朴で明晰な画面。動物はユーモラスに描かれる。<br />
絵画手法は、先ず輪郭を描き、絵の具のチューブから直接キャンパスに描いた。色を混ぜることは無かった。原色が多く使われるが、バランスの良い配色がされている。[[遠近法]]が用いられることはあるが、影は描かれない。素朴で明晰な画面。動物はユーモラスに描かれる。
美術の専門家の高い評価を受けることが少ない絵画である。それでも、モードの絵は見る人にとって明るく楽しい絵であり、それはモードが描く事に対して感じた楽しさと喜びが漏れ伝わる故であろう。
 
==マーシャルタウンの小さな家==
[[File:Maud Lewis House (40666790093).jpg|thumb|移築されたルイス家]]
カナダの東、ノバスコシアのハイウェイ沿いにあった小さな家。<br />
家の正面の壁には、いくつかの小さな常緑樹が不規則な配置(自然の中の木々のように)で描かれていた。
入口近くには<br />
 
『Paintings for sale』 絵画販売 と書かれた看板<br />
家の大きさはわずか4×3.8[[平方メートル|m<sup>2</sup>]]で、たった一つの部屋にキッチン、ソファ、テーブルが配置され、[[ロフト]]に寝室を設けていた。電気・水道は無く、暖をとるのには料理用の[[薪ストーブ]]が使われていた。それでも、壁・ドア・キッチン用品・インテリアなどあらゆる物と場所が、明るい色の絵の具で彩色され温かな雰囲気を醸し出していた。
興味深げに訪れた人々を迎えてくれたのは<br />
 
真っ青な美しい目で 少女のような笑みを浮かべた<br />
1970年にモード、1979年にエヴェレットが亡くなった後、家の状態は悪化する。ディグビー郡の人々は、家の保存、維持、修復の為に市民グループ「モード・ルイスの家を保存する会」(The Maud Lewis Painted House Society)を設立する。長年このグループは資金の調達に努めるが、より大きな組織に委ねることが家の保護に重要であると考えるようになる。
小さな小さな婦人 モード・ルイス
 
[[1984年]]に、家はノバスコシア州政府に売られて、{{仮リンク|ノバスコシア美術館|en|Art Gallery of Nova Scotia}}の管理下におかれることになる。[[1996年]]には、[[カナダ文化遺産省]]と地元の銀行、個人の寄付により資金を調達し、家の内部の物品も含めた徹底的な保存・修復作業が始められた。元の色や形を失った物も多かったが、1965年に放送されたテレビ番組の取材テープを参考に、最良だった1965年当時の状態に復元された。
 
家の正面の壁には、いくつかの小さな常緑樹が不規則な配置(自然の中の木々のように)で描かれていた。<br />
この家の大きさは4×3.8m、たった一つの部屋にキッチン、ソファ、テーブルが配置され寝室は[[ロフト]]である。電気・水道は無く、暖をとるのに料理用の[[ストーブ|薪ストーブ]]が使われていた。それでも、壁・ドア・キッチン用品・インテリアなどあらゆる物と場所が、明るい色の絵の具で彩色され温かな雰囲気を醸し出していた。<br />
1970年のモードと1979年のエヴェレット・ルイスの死去の後、家の状態は悪化する。ディグビー郡の人々は、家の保存、維持、修復の為に市民グループ「モード・ルイスの家を保存する会」(The Maud Lewis Painted House Society)を設立する。長年の間このグループは資金の調達に努めるが、より大きな組織に委ねることが家の保護に重要であると考えるようになる。<br />
[[1984年]]に、家はノバスコシア州政府に売られて、ノバスコシア美術館(Art Gallery of Nova Scotia)の庇護の下におかれることになる。[[1996年]]に、カナダ連邦政府の遺産省(Department of Canadian Heritage)と地元の銀行、個人の寄付により資金を調達し、家の内部の物品も含めた、保存と修復の徹底的な作業が始められた。元の色や形を失った物も多かったが、テレビ番組(1965年)の取材テープを参考に1965年当時の最良の状態に復元された。<br />
完全に修復された家は、モードの絵画と共に[[ハリファックス]]のノバスコシア美術館の屋内中央に移転され常設展示されている。
 
*=== もう一つの家 ===
[[File:MaudeLewisMemorial.jpg|thumb|240px|マーシャルタウンのモード・ルイス・メモリアル]]
家の移転後、家があった場所には記念モニュメントとして元の家と同じサイズの家が建てられた。ブライアン・マッケイ=リヨンが設計しケルビーニ・メタルワークスにより造られたそのモニュメントは、モード・ルイスの芸術表現の手法とはかなり異なっている。鉄骨のフレームがモードの人生の現実の暗い側面を伝え、色のハイライトがモードの世界の無邪気なビジョンを示すというものである。
 
==映画==
モード・ルイスとその夫エヴェレットの絆を描いた作品が『{{仮リンク|しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス|en|Maudie (film)}}』(原題: ''Maudie'')として、2016年に映画化された(日本では2018年3月3日に劇場公開された)。モードを演じた[[サリー・ホーキンス]]は、絵本作家の両親を持ち、自身もイラストレーター志望だったが、役作りのために素朴派画家の絵画クラスに数ヶ月間通ったほどだった<ref>{{cite web|url=https://www.cinemacafe.net/article/2018/01/28/55117.html|title=『シェイプ・オブ・ウォーター』でオスカー候補に!サリー・ホーキンス、3作連続公開|date=2018-01-28|accessdate=2020-01-18|work=cinemacafe.net}}</ref>。背中を丸め、縮こまった手で絵筆を握る姿はモードが乗り移ったかのようだった。妻への愛と尊敬の念を無骨に隠すエヴェレットには、[[イーサン・ホーク]]がキャスティングされた。ホークは本作出演後にモードの作品を2点購入したほどだった。監督は{{仮リンク|アシュリング・ウォルシュ|en|Aisling Walsh}}が務めたが、ホーキンスとは2005年のTVドラマ『[[荊の城]]』以来の再タッグとなった{{r|DRESS180221}}。作品は[[ベルリン国際映画祭]]をはじめ、世界の名だたる映画祭で上映された。中でも、カナダのアカデミー賞に相当する第6回[[カナダ・スクリーン・アワード]](では、作品賞、監督賞(ウォルシュ)、主演女優賞(ホーキンス)、助演男優賞(ホーク)、オリジナル脚本賞({{仮リンク|シェリー・ホワイト|en|Sherry White}})、編集賞([[スティーヴン・オコンネル]])、衣裳デザイン賞([[トリーシャ・バッカー]])の7部門を受賞した。
モード・ルイスとその夫エベレットの絆を描いた作品が『[[しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス]]』(原題: ''[[:en:Maudie (film)|Maudie]]'')として、2016年に映画化された(日本では2018年3月3日(土)に劇場公開された)。
 
== 日本での紹介 ==
主人公モードを演じたのは『[[シェイプ・オブ・ウォーター]]』(2017)でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた[[サリー・ホーキンス]]。絵本作家の両親を持ち、自身もイラストレーター志望だったサリーは、役作りのために素朴派画家の絵画クラスに数ヶ月間通ったほどで、背中を丸め、縮こまった手で絵筆を握る姿はモードが乗り移ったかのようだった。妻への愛と尊敬の念を無骨に隠すエベレットには、『[[6才のボクが、大人になるまで。]]』(2014)などでアカデミー賞ノミネート常連組の[[イーサン・ホーク]]。本作出演後にモードの作品を2点購入したという美術愛好家の一面を持つ。カナダの広い空の下で一風変わった夫婦の愛を描いたのは、サリー・ホーキンスとはTVドラマ『[[荊の城]]』(2005)以来再びタッグを組んだ{{仮リンク|アシュリング・ウォルシュ|en|Aisling Walsh}}監督。
2007年11月27日に放送された[[テレビ東京]]の番組『[[開運!なんでも鑑定団]]』において、[[大橋巨泉]]がモード・ルイスの作品を持参した(鑑定額は100万円)。大橋巨泉がモード・ルイスの絵に一目ぼれし入手に至るまでの経緯と共に、モード・ルイスを紹介するVTRが放映された。
 
2018年2月1日〜3月29日の8週にわたり、[[駐日カナダ大使館|カナダ大使館]]高円宮記念ギャラリーにて映画を記念した特別展「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」映画展が開催された。当初は3月13日までの予定だった会期は延長された<ref name="CANembassyJPN">{{cite web|url=https://www.canadainternational.gc.ca/japan-japon/events-evenements/maud-lewis.aspx?lang=jpn|title=「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」映画展|work=[[駐日カナダ大使館]]|accessdate=2020-01-18}}</ref>。ノバスコシア美術館協力の元、モードが花柄を描いた実物のクッキー缶のほか、絵画の複製や映画の撮影に使用された小道具などが展示された<ref name="美術手帖180205">{{cite web|url=https://bijutsutecho.com/magazine/interview/11587|title=素朴な絵を描き続けた画家モード・ルイス。その生涯を映画と展示でたどる|date=2018-02-05|accessdate=2020-01-18|publisher=|work=美術手帖}}</ref>{{r|DRESS180221|CANembassyJPN}}。
ベルリン国際映画祭をはじめ、世界の名だたる映画祭で上映され、第6回[[カナダ・スクリーン・アワード]](カナダ・アカデミー賞)では作品賞、監督賞(アシュリング・ウォルシュ)、主演女優賞(サリー・ホーキンス)、助演男優賞(イーサン・ホーク)、オリジナル脚本賞({{仮リンク|シェリー・ホワイト|en|Sherry White}})、編集賞([[スティーヴン・オコンネル]])、衣裳デザイン賞([[トリーシャ・バッカー]])の7部門を受賞したほか、多くの賞を受賞した。
 
==日本での紹介==
日本で公のメディアに紹介された事はなく、無名であった。[[テレビ東京]]の番組「[[開運!なんでも鑑定団]]」が日本での初めての紹介と考えられる。<br />
2007年11月27日の「開運!なんでも鑑定団」において、[[大橋巨泉]]がモード・ルイスの作品を持参した(鑑定額は100万円)。大橋巨泉がモード・ルイスの絵に一目ぼれし入手に至るまでの経緯と共に、モード・ルイスを紹介するVTRが放映された。<br /><br />
2018年2月1日(木)〜3月29日(木)の8週にわたり、カナダ大使館 高円宮記念ギャラリーにて「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」映画展が開催された。当初は3月13日(火)までの予定だった会期が延長されたこの展覧会は、映画公開を記念しノバスコシア美術館協力の元、モードが花柄を描いた缶の容器(実物)のほか、絵画の複製や映画の撮影に使用された小道具などが展示された。
 
==書籍==
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*Laurie Hamilton(著), Maud Lewis(著)『''The Painted House of Maud Lewis: Conserving a Folk Art Treasure'' 』出版社:Goose Lane Editions (2001/10) ISBN 978-0864923349
*Lance Woolaver(著), Bob Brooks(写真)『''The Illuminated Life of Maud Lewis'' 』出版社: Down East Books(2001/02) ISBN 978-1551092171
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
{{reflist}}
 
==外部リンク==
{{commonscat|Maud Lewis}}
*[http://www.lighthouse.ca/maud.html カナダのフォーク・アーティストを紹介したサイト](モード・ルイスの絵が掲載)(英語)
* {{Find a Grave|id=178625867|name=Maud Catherine ''Dowley'' Lewis}}
*[http://www.artgalleryofnovascotia.ca/en/AGNS_Halifax/default.aspx ノバスコシア美術館]ノバスコシア美術館ハリファックス分館(英語)
*[http://www.lighthouse.ca/maud.html カナダのフォーク・アーティストを紹介したサイト](モード・ルイスの絵が掲載){{en icon}}
*[http://www.nfb.ca/film/i_can_make_art_like_maud_lewis/ "I Can Make Art ... Like Maud Lewis"](動画)(英語)
*[http://www.artgalleryofnovascotia.ca/en/AGNS_Halifax/default.aspx ノバスコシア美術館]ノバスコシア美術館ハリファックス分館{{en icon}}
*[http://www.nfb.ca/film/i_can_make_art_like_maud_lewis/ "I Can Make Art ... Like Maud Lewis"](動画){{en icon}}
*[http://shiawase-enogu.jp/ 「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」公式サイト]
*[http://www.canadainternational.gc.ca/japan-japon/events-evenements/maud-lewis.aspx?lang=ja 「しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス」映画展] (カナダ大使館 高円宮記念ギャラリー)
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[[Category:カナダの画家]]