「マネッセ写本」の版間の差分

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ヨハネス・ハートラウプはリューディガーとヨハネスのマネッセ親子を称えて、「当王国においてここチューリヒほど多くの歌謡が収集されたことはない、マネッセ氏が歌集の収集に鋭意務めたのだ。その息子殿も同じ事業を遂行された」、と歌った<ref>リューディガー・マネッセ(Rüdiger Manesse;1252年に成人、1304年死去)は有力なチューリヒ市参事会員。息子のヨハネス(Johannes Manesse;1297年死去)も重要な地位にあった。ハートラウプの詩は、Claudia Brinker-von der Heyde: "Die literarische Welt des Mittelalters". Darmstadt: Wissenschaftliche Buchgesellschaft 2007. S. 91.によるが、ここでは大意を記した。</ref>。
 
写本には王侯を含む各宮廷詩人を描いた137枚の細密画が含まれ、[[貴族]]・[[騎士]]の場合は[[馬上槍試合]](トーナメント)に参加した際の[[紋章]]をあしらった完全武装(従って顔は見えない)の姿で描かれていることが多い。詩人の名前をモチーフとしたり、その詩のイメージで描かれている図案も少なくない。両方のモチーフを含む顕著な例が'''ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデの細密画'''で、画面の上方、楯の表面と兜飾りに詩人の名前フォーゲルヴァイデ(鳥の餌場)にちなむ鳥籠(とりかご)があしらわれ、画面中央には、彼の最も有名な格言詩の冒頭部分そのままの詩人の姿が描かれている<ref>格言詩「悪い時世」(L. 8, 4) は次のように始まる。「岩に腰かけ / 脚をくみ / その上に肘をばついて / 頤と片頬を / 手のひらにうずめ / わたしは 一心不乱に考えた、/ いかにこの世を生くべきかと。」(石川敬三訳 「ワルター 詩集」(Gedichte):訳者代表 呉茂一・高津春繁『世界名詩集大成 ①古代・中世編』平凡社、1960年、289頁)。</ref>。
 
紋章・兜飾り等の正確さについては疑問があり、むしろ理想の宮廷生活が描かれているといえるが、細密画は数多く模写複写されて広まっている。