「労働協約」の版間の差分

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[[労働組合]]による[[団体交渉]]や労使協議により労使双方が労働条件その他に関する事項を取りまとめた場合、労働協約と認められるためには、'''書面'''に記すことと、'''締結両当事者の[[署名]]または記名[[印章|押印]]'''が必要とされる([[b:労働組合法第14条|第14条]])。この要件を満たさなければ、仮に労使間に労働条件その他に関する合意が成立したとしても、これに労働協約としての規範的効力は付与することはできない(都南自動車教習所事件。最三小判平成13年3月13日)。組合の組織率は問わないので、少数組合であっても独自の労働協約を締結することは可能である。労使間の合意文書の表題が「覚書」「了解事項」等の名称であっても、第14条に該当すれば労働協約といえ(青森地判平成5年3月16日)、団体交渉記事録であっても、労使双方が署名したものであれば、その内容によっては労働協約と解される(東京地判昭和43年2月28日)。
*旧法(昭和24年改正前の旧労働組合法)においては書面に作成することのみによって法律上有効に成立したのであるが、改正法では、その効力発生要件として「書面に作成し、両当事者が署名すること」を掲げているのである(昭和24年6月9日発労第33号)。
*労働組合の代表者(例えば組合長、副組合長)が組合員の総意に依らず独断的に使用主と覚書等を交換したる場合其の覚書の効力如何は組合規約等により定められている当該代表者の権限によって決定される。即ち当該代表者が会社と協定を締結する権限を有する場合にはその締結した覚書は一応有効なるものとして組合を拘束し之を改廃する為には再度会社と交渉せねばならぬが、組合規約上当該代表者は交渉の権限を有するのみで協定の締結には組合の特定機関例えば評議員会又は総会の決議を要することとなっている場合はその代表者の交換した覚書は単なる下交渉であつて何等組合を拘束しない(昭和21年8月7日労発第442号)。
 
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# 第一項の決定は、公告によつてする。
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労働協約は労働組合と使用者側との契約であることから、協約上特に適用範囲を限定しない限り締結した労働組合に加入している組合員全員に適用され、当該組合員でない者に対して効力が及ぶものではない。しかし、労働組合が[[b:労働組合法第17条|第17条]]・[[b:労働組合法第18条|第18条]]のどちらかの要件を満たした場合は、その労働組合が締結した労働協約が当該組合の組合員以外の者にも自動的に拡張適用される('''一般的拘束力''')。「同種の労働者」とは、労働協約の適用せられ得べき範囲によって決定される。例えば、当該労働協約が工場事業場の全従業員に適用され得るものであれば、当該工場事業場の従業員たるもの、工員のみについて適用され得るものであれば、工員たるもの、旋盤工のみに適用され得るものであれば、旋盤工たるものが夫々「同種の労働者」である(昭和24年10月24日労収第8180号)。明らかに同種の労働者であるものを労働協約によって異種であるとその範囲を限定しても、第17条の規定による労働協約の一般的拘束力は当然に適用される(昭和25年2月22日労収第341号)。
 
第17条の「一の工場事業場」とは、個々の工場事業場を指し、一の企業が数個の工場事業場を有する場合は、その企業内の個々の工場事業場の各々が第17条にいう「一の工場事業場」であり、また第17条の適用は、「一の工場事業場」ごとになされるのであるから、ある企業に常時使用される同種の労働者の4分の3以上の数のものが一の労働協約の適用を受けているとしても、その企業の或る工場事業場において、その労働協約の適用を受ける者の数がその工場事業場に常時使用される同種の労働者の数の4分の3に達しない場合、その工場事業場においては、本条の適用はない(昭和29年4月7日労発111号)。拡張適用されるに至った後、その労働協約の適用される労働者の数が4分の3未満に減少した場合、拡張適用は停止される(昭和24年5月28日労収第2829号)。