「パルジファル」の版間の差分

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『パルジファル』は、ワーグナーがバイロイト祝祭歌劇場での上演を前提にして書いた唯一の作品である。ワーグナーの死後、その遺志を継いだ未亡人[[コジマ・ワーグナー|コジマ]]は『パルジファル』をバイロイトの独占とするために運動し、1886年の[[ベルヌ条約]]により、1913年までバイロイトでの独占上演が認められた。ワーグナーの死から30年後、作曲家の[[著作権]]が切れる1913年12月31日の深夜から翌日にかけて、[[ベルリン]]、[[ブダペスト]]、[[バルセロナ]]の各歌劇場で『パルジファル』が上演された。ブダペスト初演の指揮者は[[フリッツ・ライナー]]である。しかし、条約批准の遅かった[[アメリカ合衆国|アメリカ]]と[[オランダ]]では、これらに先立ち、1903年に[[ニューヨーク]]、1905年に[[アムステルダム]]で、それぞれ初演されていた。
 
「ワーグナーが全幕の後に拍手を禁じた」という事実はない。これは初演時に彼が「雰囲気を損なわないために途中で拍手しないように」と求めたところ(しかしワーグナー自身が「花の乙女」のシーンで拍手したともいう)<ref>{{Cite web|title=Parsifal - Musik überragend, Inszenierung Geschmackssache|url=http://www.festspieleblog.de/2017/08/parsifal-am-ursprungsort/|website=Festspieleblog|date=2017-08-22|accessdate=2019-08-22|language=de-DE|first=Regina|last=Ehm-Klier}}Peter Wapnewskyは、「第1幕と第2幕の後のカーテンコールは上演内容の価値を損なうと感じたのであろう」と説明している。Joachim Heinzle (Hrsg.): ''Wolfram von Eschenbach. Ein Handbuch''. 2 Bände, De Gruyter, Berlin/Boston 2011. (ISBN 978-3-11-019053-3) S. 144より。</ref>、観客が幕の後にも拍手をしなかったため、ワーグナーは戸惑い、後で「それは誤解で、各幕の後に拍手をしてくれてよい」と語った<ref>{{Cite news|title=Bayreuther Festspiele 2016: Tipps zum Parsifal-Smalltalk|url=https://www.welt.de/kultur/buehne-konzert/article157243596/Der-ultimative-Smalltalk-Guide-zu-Richard-Wagner.html|date=2016-07-25|accessdate=2019-08-22|first=Lucas|last=Wiegelmann}}</ref>。これが原因となって現在でも第1幕の後に沈黙を守る慣習が残っているが、近年では[[ウィーン]]や[[バイロイト]]でも通常通りの拍手が起こることも普通になっている(ただしカーテンコールは行われないことも多い)。
 
== 第1幕への前奏曲 ==