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=== 船長の選任と解任 ===
船長は海上企業主体(船主もしくは船舶賃借人)によって選任される<ref name="gendai163">{{Cite book |和書 |author1= 田村諄之輔 |author2= 平出慶道 |year=1996 |title=現代法講義 保険法・海商法補訂第2版 |page=163 |publisher=青林書院 }}</ref>。船舶共有の場合は船舶管理人が選任を行う([[b:商法第700条|商法700条]]・改正698条)<ref name="gendai163"/>。船長には航行区域と船舶の大きさに従って[[船舶職員及び小型船舶操縦者法]]に定める有資格者のうちから選任しなければならない<ref name="gendai163"/>。
 
船長がやむを得ない事由により自ら船舶を指揮することができないときは法令に別段の定めがある場合を除いて他人を選任して自己の職務を行わせることができ([[b:商法第707条|商法707条]]・改正709条前段)、これを'''代船長'''という<ref name="gendai163"/>。この場合においては船長はその選任につき船舶所有者に対して責任を負う(商法707条・改正709条後段)。
 
また、船長が死亡したとき、船舶を去ったとき、又はこれを指揮することができない場合において他人を選任しないときは、運航に従事する海員は、その職掌の順位に従って船長の職務を行う(船舶法20条)。これを'''代行船長'''というが、代行船長は厳密な意味での船長ではない<ref name="gendai163"/>。
 
船長は雇用契約の終了事由によりその地位を失うほか、船舶所有者は何時でも船長を解任することができる([[b:商法第721条|商法721条]]1項本文・改正715条1項)<ref name="gendai163"/>。ただし、正当な理由なく解任したときは船長は船舶所有者に対し解任によって生じた損害の賠償を請求することができる([[b:商法第721条|商法721条]]1項但書・改正715条2項)。
 
=== 船長の権限 ===
==== 私法上の権限 ====
* 船長の代理権
** 船長には船主からの代理権授与契約に基づく代理権が認められている<ref name="gendai164">{{Cite book |和書 |author1= 田村諄之輔 |author2= 平出慶道 |year=1996 |title=現代法講義 保険法・海商法補訂第2版 |page=164 |publisher=青林書院 }}</ref>。船長の代理権に加えた制限は善意の第三者に対抗することができない([[b:商法第714条|商法714条]]・改正708条2項)。
*** 船籍港においては船主も直接指図でき長は、船舶について抵当権を設定することから船長は特に委任借財受けた場合することを除くほかいて雇入及び雇止ために必要な一切の裁判上または裁判外の行為をなす権限のみを有する [[b:商法713条|商法7131項・改正708]]21項)<ref name="gendai164"/>
*** 船籍港外においては船長は航海のために必要な一切の裁判上または裁判外の行為をなす権限を有する (商法713条1項)。
** 船長が船舶の抵当、借財、積荷の全部又は一部の売却又は質入れをなすには、船舶の修繕費、救助料その他航海を継続するのに必要な費用を支弁する場合に限られる([[b:商法第715条|商法715条]]1項)。
** 船籍港外において船舶が修繕不能に至ったときは船長は競売することができるが管海官庁(その港がある地域を管轄する官庁)の認可を得ることを要する([[b:商法第717条|商法717条]])
* 積荷の供用
** 船長は航海を継続するため必要なときは積荷を航海の用に供することができる([[b:商法第719条|商法719条]]・改正712条)。
 
==== 公法上の権限 ====
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=== 船長の義務 ===
* [[善管注意義務]]
** 旧商法では、船長は善管注意義務を負い、船長はその職務を行うにつき注意を怠たらなかったことを証明しなければ船舶所有者、傭船者、荷送人その他の利害関係人に対して損害賠償責任を免れることができないとされ([[b:商法第705条|商法705条]]1項)、また、船長は船舶所有者の指図に従ったときであっても船舶所有者以外の者に対しては前項に定めた責任を免れることができないとされていたが商法705条2項)、この規定は改正商法では削除されただし海員当該規定その職務を行うにあたり他人に損害を加えた場合におい削除されも、傭者や荷送人監督を怠らなかったことを証明、運送人に対なければ損害賠償契約上の債務不履行責任を免れることが追求できない[[b:商法第706575|商法706条]])。これは[[b:民法第715条|民法715条]]2項と同じ趣旨である<ref name="gendai166">{{Cite book |和書 |author1= 田村諄之輔 |author2= 平出慶道 |year=1996 |title=現代法講義 保険法・海商法補訂第2版 |page=166 |publisher=青林書院 }}</ref>。
* 商法上の書類備置義務
** 船長は属具目録及び運送契約に関する書類を船中に備え置くことを要する([[b:商法第709条|商法709条]]1項・改正710条)。
* 発航前の検査
** 船長は、国土交通省令の定めるところにより、発航前に船舶が航海に支障ないかどうかその他航海に必要な準備が整っているかいないかを検査しなければならない(船員法8条)。