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'''バレンタインデー'''({{Lang-en-short|Valentine's Day}})、または、'''聖バレンタインデー'''(セイントバレンタインデー、{{Lang-en-short|St. Valentine's Day}})は、[[2月14日]]に祝われ、世界各地でカップルの愛の誓いの日とされる。元々[[269年]]に[[ローマ皇帝]]の迫害下で殉教した聖[[ウァレンティヌス]](テルニのバレンタイン)に由来する記念日だと、主に[[西方教会]]の広がる地域において、かつて伝えられていた。
 
== 起源 ==
[[ファイル:Chaucer_Hoccleve.png|right|thumb|160px|ジェフリー・チョーサーの肖像(1412)。バレンタインデーとロマンスを関連づけている文書で、現在のところ最古のものと見なされているのはチョーサーのParliament of Foulesである。]]
 
=== ローマ帝国発祥説 ===
バレンタインデーの歴史は、[[ローマ帝国]]の時代にさかのぼるとされる。
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[[File:Valentine's Day-1.jpg|thumb|140px|バレンタインチョコ(2011年2月14日撮影)]]
[[恋人]]たちの[[愛]]の誓いの日とされ、世界各地で様々な祝い方がある。
 
=== 日本 ===
 
==== 沿革 ====
[[日本]]では、[[1958年]]ごろから流行した<ref>広辞苑 第五版 p.2197 【バレンタインデー】</ref>。ただし、その内容は日本独自の発展を遂げたものとなっている。戦前に来日した[[外国人]]によって一部行われ、[[第二次世界大戦]]後まもなく、[[流通]][[業界]]や[[製菓]][[業界]]によって[[販売促進]]のために普及が試みられたが、日本社会に定着したのは、[[1970年代]]後半であった。「[[女性]]が[[男性]]に対して、親愛の情を込めて[[チョコレート]]を贈与する」という「日本型バレンタインデー」の様式が成立したのもこのころであった。なお、バレンタインデーにチョコレートを渡すのがいいのではと最初に考案して実践したのは、一説に[[大田区]]の製菓会社[[メリーチョコレートカムパニー]]の[[原邦生]]であるとされる<ref>八幡成人 [https://teamhacchan.wordpress.com/2015/02/14/%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%BC/ ヴァレンタイン・デー] チーム八ちゃん </ref>。<br />しかし、原邦生が行ったとされるイベントは昭和33年であるのに対し、神戸のモロゾフ製菓が20年以上前の昭和11年2月12日に外国人向け英字新聞『ザ・ジャパン・アドバタイザー』に、「あなたのバレンタイン(=愛しい方)にチョコレートを贈りましょう」というコピーの広告を既に掲載しており、モロゾフ製菓がバレンタインチョコを最初に考案した仕掛け人であるとされる説が最有力である。<br />そして[[日本チョコレート・ココア協会]]によると、1992年に聖バレンタイン殉教の地イタリア・テルニ市から神戸市に愛の像が送られており、その理由は、神戸が日本のバレンタインデー発祥の地と分かったからとの事である。
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「日本型バレンタインデー」の特徴を整理すると、以下の3点となる<ref name="harumichi">山田晴通2007による。参考文献参照。</ref>。
* 贈答品に[[チョコレート]]が重視される点
* [[女性]]から[[男性]]へ一方通行的[[贈答]]である点
* (女性の)愛情表明の機会だと認識されている点
このほか、職場における贈答習慣が強い点<ref group="†">日本では職場で贈答することが多いが、西欧・米国では職場で贈答する習慣はない。小笠原祐子1998参照。</ref>や、[[キリスト教]]との直接的関連はほとんど意識されていない点<ref group="†">日本社会では、知識としてバレンタインデーが、キリスト教的行事だという認識はあるものの、バレンタインデーの現場においては、[[宗教]]の信仰の実践だという事実は意識されることはまずない。</ref>も日本型バレンタインデーの特徴である。
 
==== 起源と紆余曲折 ====
日本でのバレンタインデーとチョコレートとの歴史の起源については、以下のようなものがあるが、判然としていない。
; 神戸モロゾフ製菓(現在の[[モロゾフ]])説
: 東京で発行されていた[[英字新聞]]『[[ジャパン・アドバタイザー|ザ・ジャパン・アドバタイザー]]』[[1936年]][[2月12日]]付けに同社が広告を掲載したことを重視するものである。「あなたのバレンタイン(=愛しい方)にチョコレートを贈りましょう」というコピーの広告であった<ref group="†">この広告コピーの全文と翻訳は、[http://camp.ff.tku.ac.jp/YAMADA-KEN/Y-KEN/fulltext/07V1.html#02 山田晴通2007]にある。</ref>。確認されている最も古い“バレンタインデーにはチョコを”の広告である。
: なお、モロゾフの本店があった最寄り駅の[[御影駅 (阪神)|阪神御影駅]]南側の広場は2013年に「バレンタイン広場」として整備されており、聖バレンタインゆかりの地とされる[[テルニ]]市からの「お墨付き」を得ている。
; [[メリーチョコレートカムパニー]] & [[伊勢丹]]説
: 同社が1958年2月に伊勢丹新宿本店で「バレンタインセール」というキャンペーンを行ったことを重視する説である。
; [[森永製菓]]説、[[伊勢丹]]説
: [[1960年]]より森永製菓が「愛する人にチョコレートを贈りましょう」と新聞広告を出し、さらに伊勢丹が[[1965年]]にバレンタインデーのフェアを開催し、これがバレンタインデー普及の契機となったとする説がある<ref>[[毎日新聞]] [[1977年]][[2月12日]]、[[朝日新聞]] [[1978年]][[2月15日]]</ref>。
: しかし、「バレンタインデー」の文字がある広告が、[[1956年]]の[[西武百貨店]]や[[松屋]]{{要曖昧さ回避|date=2017年9月}}の新聞広告や、[[1959年]]の[[松坂屋]]の新聞広告にも掲載されており、デパート業界では伊勢丹が最初というわけではない。
; [[プラザ (雑貨店)|ソニープラザ]]説
: [[ソニー]]創業者の[[盛田昭夫]]は、[[1968年]]に自社の関連輸入雑貨専門店ソニープラザがチョコレートを贈ることを流行させようと試みたことをもって「日本のバレンタインデーはうちが作った」としている<ref>[[2007年]][[2月3日]] [[北海道新聞]]1面「卓上四季」より</ref>。
 
ただいずれにしても、すぐに大きな反響があったわけではなく、商品もあまり売れなかったようである<ref group="†">メリーチョコレート社による新宿伊勢丹における最初のセールの売り上げ金額は判然としなくなっているが、少額であったことは間違いない。メリーチョコレートカムパニーの『30周年記念誌』([[1980年]])には「数千円位」(St. Valentine’s Dayの頁)とする記述がある。一方、その後創業者の父の跡を継いで同社の社長となった原邦生は、著書やインタビューの中で、いくつか異なる数字を挙げている。例えば、朝日新聞 [[2000年]][[9月21日]]付日曜版の記事「チョコ贈答、ルーツは神戸」は、原へのインタビューも踏まえ「三日間で売れたのは三十円の板チョコが五枚と、四円のカード五枚だけだった」としているが、原の著作『社長は親になれ!』([[2004年]]、日本実業出版社)には「結果はチョコレート三枚とメッセージカードが一枚、売上はたったの一七〇円」(p.29)とある([http://camp.ff.tku.ac.jp/YAMADA-KEN/Y-KEN/fulltext/07V1.html#N12 山田晴通2007 注12 参照])。</ref>。各種の説があるが、バレンタインデーが日本社会に普及したあとに、自社宣伝のために主張されたために誇張も含まれると思われる。
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=== 正教会が優勢な地域 ===
 
==== 正教会におけるウァレンティヌス(ワレンティン) ====
聖ワレンティン(ウァレンティヌス)<ref group="†">[[教会スラヴ語]]表記:{{Lang|sla|Валентин}}の、[[日本正教会]]による転写</ref>を崇敬する[[正教会]]の広がる地域では、[[西欧]]文化の影響を受けるまでこのような習慣はなかった。
 
そもそも[[正教会暦]]においては、[[3世紀]]に[[致命者|致命(殉教)]]した2名の聖職者であった聖ワレンティン<ref>教会スラヴ語表記:{{Lang|sla|Валентин}}の、日本正教会による転写</ref>(ウァレンティヌス)が記憶されているが、記憶日は2月14日ではなく、7月ないし8月である。
* [[司祭]][[致命者]]聖ワレンティン - 記憶日は[[7月6日]]([[ユリウス暦]]を使用する正教会では[[グレゴリオ暦]]の[[7月19日]]に相当)<ref>[http://ocafs.oca.org/FeastSaintsLife.asp?FSID=101926 Martyr Valentinus the Presbyter and those with him at Rome] - [[アメリカ正教会]]のページ。</ref>
* [[神品致命者]][[主教]]ワレンティン - 記憶日は[[7月30日]](ユリウス暦を使用する正教会ではグレゴリオ暦の[[8月12日]]に相当)<ref>[http://ocafs.oca.org/FeastSaintsLife.asp?FSID=102148 Hieromartyr Valentine the Bishop of Interamna, Terni in Italy] - [[アメリカ正教会]]のページ。</ref>
 
また、3世紀に致命した聖ワレンティンはもう1名いるが、彼は聖職者ではなく、現代のブルガリアにおける兵士であった。記憶日は[[4月24日]](ユリウス暦を使う正教会では[[5月7日]]に相当)<ref>[https://oca.org/saints/lives/2013/04/24/101193-martyr-valentine-in-moesia-bulgaria Martyr Valentine in Moesia, Bulgaria] - [[アメリカ正教会]]のページ。</ref>。
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== 派生した文化 ==
 
=== 日本 ===
; [[ホワイトデー]]
: バレンタインデーの1か月後である[[3月14日]]を、主に男性から女性へ返礼のプレゼントをする日「[[ホワイトデー]]」としている。代表的な贈り物は、チョコレートに対して[[クッキー]]・[[マシュマロ]]・[[飴]]などである。<!--こまごまとした記述は「ホワイトデー」の項目で行う-->
; [[オレンジデー]]
: 近年では柑橘類生産農家などが[[4月14日]]を[[オレンジデー]]と呼び、恋人同士(男性女性とも)でオレンジを贈りあい、愛情の確認をすることを提案しているが、2017年現在では社会への浸透は皆無に近い。
; [[メイストームデー]]
: ことわざ「[[八十八夜#習俗|八十八夜の別れ霜]]」より、バレンタインデーから88日後の[[5月13日]]を[[メイストームデー]]と呼び、別れ話を切り出すのに最適な日としている<ref>{{Cite news |date= |url= http://kumanichi.com/sinseimen/201204/20120428001.shtml|title= 新生面|publisher= 熊本日日新聞 くまにちコム|accessdate=2012-05-14}}</ref>が、これも2017年現在では社会への浸透は皆無に近い。
; [[セプテンバー・バレンタイン]]
: {{要出典範囲|女性から男性に別れを言い出してもいい日として[[9月14日]]をセプテンバー・バレンタインと呼ぶ。関連曲に[[佐々木幸男]]の「セプテンバー・バレンタイン」(作詞:斎藤敦子/作曲:[[安部恭弘]])がある|date=2019-08-22}}。
 
=== 韓国 ===
; [[ブラックデー]]
: バレンタインデー及びホワイトデーで贈り物をもらえなかった(恋愛とは無縁に終わった)男女が集まって[[炸醤麺]]や[[ブラックコーヒー]]を口にする日。4月14日に行われる。
 
== 脚注 ==
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=== 注釈 ===
{{Reflist|group="†"}}
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=== 参考文献 ===
* 日本のバレンタインデー
** (日本のバレンタインデーを知るのに有用な文献を掲げる。※は本稿記述に参照したものである)
** 川又一英 1984『大正十五年の聖バレンタイン』PHP 研究所
** 井上優 1993『大正ロマンをチョコレートに包んで』オリジン社
** 小笠原祐子 1998『OL たちの〈レジスタンス〉』中央公論社(第3章)
** ※石井研士 2005『日本人の一年と一生』春秋社
** ※[[山田晴通]] 2007「「バレンタイン・チョコレート」はどこからきたのか(1)」『東京経済大学人文自然科学論集』124([http://ci.nii.ac.jp/naid/110006611530/][http://www.tku.ac.jp/kiyou/contents/hans/124/4_yamada.pdf][http://camp.ff.tku.ac.jp/YAMADA-KEN/Y-KEN/fulltext/07V1.html])
 
== 関連項目 ==
{{Commonscat|Valentine's Day}}
* [[バレンタインデー関連楽曲一覧]]
* [[チョコレートアレルギー]] - 毎年バレンタインデーの時期に、チョコレート[[アレルギー]]により、[[アトピー]]疾患を悪化させて来院する患者が急増するため、「バレンタインデー症候群」と呼ぶことがある。
* [[ヴァン・アレン帯]] - バレンタインと言葉の響きが似ているため、[[駄洒落]]として言われる。
* [[聖バレンタインデーの虐殺]] - 1929年2月14日にシカゴで起きたギャングの抗争事件。
* [[血のバレンタイン]]
 
{{チョコレート}}
{{Event-stub}}
{{DEFAULTSORT:はれんたいんてえ}}
 
[[Category:バレンタインデー|*]]
[[Category:日本の年中行事]]