「ナンセンス変異依存mRNA分解機構」の版間の差分

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塩基対の挿入/欠失だけでなく塩基置換によるナンセンス変異が存在する(実際には塩基置換によるものが多数派と思われる)。ナンセンス変異によりmRNA自体が短くなるわけではなく、翻訳領域(タンパク質コード領域)が短くなるという表現が適切である。
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翻訳の終了は、mRNA上にUPF1、SMG1、解放因子、eRF1、eRF3から成る複合体の形成を誘導する。もし、mRNAが変異により本来より上流に終止コドンを持っているためにエキソンジャンクション複合体がmRNA上に残っていれば、UPF1がUPF2、UPF3と連携してUPF1のリン酸化反応を引き起こす。脊椎動物では通常、終止コドンに関わる最後のエキソンジャンクション複合体の場所が、その転写産物がNMDの対象となるか否かを決定している。
 
もし終止コドンが最後のエキソンジャンクション複合体より約50塩基対以内の下流に存在すればその転写産物は通常通り翻訳される。対して、終止コドンがいずれかのエキソンジャンクション複合体より約50塩基対以上上流に存在すれば、その転写産物はNMDによって処理され、発現を減少させられる。リン酸化されたUPF1はSMG-5、SMG-6、SMG-7と連携してUPF-1自身の[[脱リン酸化]]反応を誘導する。SMG-7は細胞質におけるmRNA分解の場であるP-bodyに蓄積され、NMDにおいてその反応を終了させる働きを持つと考えられている。ヒトの細胞と酵母菌の双方において、NMDの主要な経路は、エキソリボヌクレアーゼであるXRN1によって5'キャップが分解・除去されることで開始される。また、mRNAが分解される他の経路として、3'端から5'端への脱アデニル化がある。
 
異常な転写産物を除去する、というNMDのよく知られた機能にはさらに、NMDには[[3' 非翻訳領域|3'非翻訳領域]]内に[[イントロン]]を含んだmRNAを除去するというものがある<ref>Bicknell AA, Cenik C, Chua HN, Roth FP, Moore MJ (Dec 2012). "Introns in UTRs: why we should stop ignoring them.". BioEssays. 34 (12): 1025–34. doi:10.1002/bies.201200073. <nowiki>PMID 23108796</nowiki>.</ref>。これらのことから、NMDのターゲット(たとえば活動性の抑制された、Arcとして知られる細胞骨格関連蛋白)が未だに、NMDが生理的機能に関係しているということを示唆するような、極めて重要な生物学的機能を持つ可能性があるということが予想されている。