「ケフィア」の版間の差分

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ケフィア粒(ケフィアグレイン、Kefir grains)という[[種菌]]を[[ウシ|牛]]や[[ヤギ]]、[[ヒツジ|羊]]の乳に[[接種|植えること]]で作られる。伝統的なケフィアは、ヤギ皮の袋にミルクとケフィアグレインを入れ、戸口の近くにぶら下げて作られていた。人々が戸口を通る際に袋と触れたり当たったりするために、中のミルクとケフィアグレインがよく混ざり続けたのである<ref name="farnworth1">{{cite book | title = Handbook of Fermented Functional Foods | last = Farnworth | first = Edward R. | publisher = CRC | year = 2003 | id = ISBN 0-8493-1372-4}}</ref>。
 
ケフィアグレインは[[酵母]]や[[真正細菌]]の結合体である<ref>谷川真由美、綿貫仁美、林一也 ほか、[https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010814673 ケフィアグレイン菌株を用いたグレインの生成とケフィアの比較] 日本食品保蔵科学会誌 37(5), 241-244, 2011-09-30, {{naid|10029839327}}</ref>。この共生母体は[[カリフラワー]]に似た形状を形作っている。1990年代以降は、抗腫瘍活性<ref>久保道徳、小谷功、中村信介 ほか、[https://doi.org/10.1248/yakushi1947.112.7_489 コーカサス型発酵乳ケフィアの薬理活性研究(第1報)抗腫瘍活性について その1] YAKUGAKU ZASSHI. 1992年 112巻 7号 p.489-495, {{doi|10.1248/yakushi1947.112.7_489}}</ref>などに利点があるという研究報告により<ref name=jsnfs.43.450 />、商品化が進んだ。
 
伝統的なケフィアは概して常温で一晩かけて発酵させる。[[ラクトース]]の発酵により、酸・炭酸・そして僅かな[[アルコール]]が生じ、薄い[[ヨーグルト]]と同程度の濃度の飲み物が出来上がる<ref name="kowsikoski">Kowsikowski, F., and V. Mistry. 1997. Cheese and Fermented Milk Foods, 3rd ed, vol. I. F. V. Kowsikowski, L.L.C., Westport, Conn.</ref>。[[20世紀]]初期に小規模な乳製品加工場で作られていたケフィアは、1パーセントから2パーセント程度のアルコール濃度に発酵していたが、近代的な製造方法で商用に作られるケフィアのアルコール濃度は1パーセント以下である。これは発酵時間が減少したためと考えられている<ref name="farnworth1"/>。
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慣習的なケフィアの製造には、真正細菌と酵母のゼリー質の集合体であるケフィアグレインが必要とされる。このケフィアグレインには糸のような質感で口の中でもそれが感じ取れる、「ケフィラン」として知られる水に溶けやすい[[多糖]]が含まれている。ケフィアグレインは発酵の中で成長し、さらなるグレインが産出されるのである。グレインは白色から黄色に見え通常はクルミ大の大きさであるが、米粒と同じくらいの大きさの場合もある。
 
製品を保存している間も発酵は続き、ガスが発生し続けるため、店頭で販売する際は容器にガス抜き用の穴が開いている。その為、[[食品衛生法]]日本販売される食品の梱包は密閉状態でなければならないと[[食品衛生法]]で定められている日本ではため、生の状態では販売できず、乾燥してカプセル剤などに加工されて販売されている。
 
== 健康への影響 ==
家庭で作る場合は植え継ぎを行うと[[大腸菌]]Escherichia(Escherichia coli)coli)などの食中毒の原因となるいくつかの雑菌の混入を防ぐ事は出来ず、大腸菌などに汚染されても見た目で判別する事は出来ない<ref name=jhej1987.46.881 />と指摘されている。
 
単純に発酵の期間を短くまたは長くすることで、栄養物の含有量を変更することができる。しかしどちらの長さでも、それぞれ異なった健康への利点がある。例えば、かなり熟成させたケフィア(酸味が増加する)は[[葉酸]]の含有量が著しく増加する<ref name="kneifel1">{{cite journal
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| doi =
| accessdate = 2007-06-10
}}</ref>。肺癌細胞移植マウスにケフィアを投与したところ[[腫瘍]]増殖抑制効果を示した。加熱殺菌したケフィアでも抑制効果を示した。これはケフィアに含まれている多糖または非還元糖を含む区分の効果であることを示唆している<ref name=jsnfs.43.450>古川徳、松岡昭善、山中良忠、[https://doi.org/10.4327/jsnfs.43.450 マウスへのヨーグルトおよびケフィール投与が腫瘍の増殖に及ぼす影響] 「日本栄養・食糧学会誌」 1990年 43巻 6号 p.450-453, {{doi|10.4327/jsnfs.43.450}}</ref>。
}}</ref>。
肺癌細胞移植マウスにケフィアを投与したところ[[腫瘍]]増殖抑制効果を示した。加熱殺菌したケフィアでも抑制効果を示した。これはケフィアに含まれている多糖または非還元糖を含む区分の効果であることを示唆している<ref name=jsnfs.43.450>古川徳、松岡昭善、山中良忠、[https://doi.org/10.4327/jsnfs.43.450 マウスへのヨーグルトおよびケフィール投与が腫瘍の増殖に及ぼす影響] 「日本栄養・食糧学会誌」 1990年 43巻 6号 p.450-453, {{doi|10.4327/jsnfs.43.450}}</ref>。
 
== ケフィアの飲用 ==
ケフィアをストレートに飲む人がいる一方でそのままでは酸味が強すぎるために果物やハチミツ、[[メープルシロップ]]や他の甘味料を加えて飲むのを好む人々も多い。凍らせた[[バナナ]]や[[イチゴ]]、[[ブルーベリー]]や他の果物をケフィアと混ぜ[[ミキサー (調理器具)|ミキサー]]に入れ[[スムージー]]を作って飲むことも可能である。中には[[バニラ]]や[[リュウゼツラン]]の果汁等の風味を加えて飲む例もある。また、シリアルやグラノーラの上にミルクの代わりとしてケフィアをかける人もいる。ケフィアはまた安価で健康な飲み物として人気が高い旧[[ソビエト連邦]]の位置していた地域全体でも、やはりミルクの代わりに飲む朝食の飲み物として典型的でどこでも手に入る飲料となっている。また、5~65 - 6パーセント程度の砂糖を加えた牛乳を使用し長時間発酵させると分離してくるが、これは酵母による[[アルコール発酵]]であり、風味の良い発泡性の乳飲料となる<ref>[https://www.nakagaki.co.jp/2_7.html ケフィアシャンパンのつくり方]</ref>。アルコールは1パーセント未満であり、[[酒税法]]違反にはならない。
 
== 料理での使用 ==
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加えて豆乳や米乳、ココナッツミルクの他、フルーツジュースやヤシの水、麦芽汁、ジンジャー・ビールほか糖分を含んだ液体等、哺乳類から産出されていない「ミルク」でもケフィアグレインは発酵することがある。しかし、菌の成長要素として不可欠な真正細菌(哺乳類のミルクには入っている)を含んでいない媒体が使用された場合、グレインが成長を中止してしまう恐れがあるため発酵させる際に新しい液体を試す場合は余ったケフィアグレインを使用すると良い。
 
しかし[[乳糖]]はグレイン(ケフィラン)を作り出す多糖の統合に不必要であり、科学的研究によりコメの加水分解物 (rice hydrolysate) が代用の媒体として適しているという論証もなされた<ref name="maeda1">{{cite journal
| last = Maeda
| first = H