「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」の版間の差分

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== 作曲の経緯 ==
シュトラウスは交響詩の第3作『[[死と変容]]』([[1889年]])の後、歌劇オペラの作曲に意欲を見せた。しかし、キリル・キストラー(Cyrill Kistler、1848年 - 1907年)の歌劇オペラ『オイレンシュピーゲル』に触発された、「ティル」を主人公とする歌劇オペラは未完に終わり、その後完成した初の歌劇オペラ『[[グントラム (オペラ)|グントラム]]』は初演([[1894年]])が失敗に終わったことから歌劇オペラの作曲を一旦あきらめ、再び交響詩を手がけることにした。「ティル」をテーマとした新しい交響詩は[[1894年]]から[[1895年]]にかけて作曲され、5月6日に完成した<ref name=meikyoku1>『名曲解説全集4 管弦楽(下)』音楽之友社、1959年</ref>。
 
== 初演 ==
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== 音楽・構成 ==
*[[ロンド形式]]で作曲されている。[[ヘ長調]]。Gemächlich(落ち着いた感じで)‐Volles zeitmass(sehr lebhaft)(イン・テンポで(非常に生き生きとして))。
*弦楽器による親しみやすい短い前奏で始まる。これは昔話の「むかしむかし……」を表すテーマである。続いて[[ホルン]]によるティル・オイレンシュピーゲルの第1のテーマが出る。続いて[[クラリネット]]でティルの笑いを表すテーマが示される。まず[[市場]]に現れたティルは牛馬を解き放し、市場は大騒ぎになる。ティルは空を飛ぶ靴で遁走する。続いてティルは[[僧侶]]に変装し、でたらめなお説教で人々を煙に巻く。独奏[[ヴァイオリン]]が退屈したティルのあくびを表現するが、ふと彼の心に破滅への予感がよぎる(金管群による信号)。続いてティルは[[騎士]]に変装し、美しい淑女を口説くが彼女にあっさりと袖にされる。怒ったティルは全人類への復讐を誓う(金管の鋭い上昇音型)。最初の標的を俗物学者([[ファゴット]]によるユーモラスな音型)に定めたティルは、彼らに論争をふっかける。しかし次第に旗色が悪くなり、論破されたティルは悔しまぎれに小唄を歌う。再びホルンによるティルのテーマが現れ、次第に勢いを増していく。好き放題にいたずらを繰り返すティルの活躍が描かれるが、突如[[小太鼓]]が鳴り響き、ティルは逮捕される。金管によるいかめしい裁判のテーマが奏される。ティルは裁判を嘲笑しているが、やがて彼は死の予感におびえて金切り声を上げる。ついに[[死刑]]の判決が下り、ティルは絞首台に昇らされ敢えない最期を遂げる。冒頭の「むかしむかし……」のテーマが回帰し、ティルは死んでも彼の残した愉快ないたずらは不滅であることを示すティルの笑いの動機で曲が締めくくられる。
 
== 室内楽編曲版 ==