「トチノキ」の版間の差分

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[[種子]]は[[デンプン]]や[[タンパク質]]を多く含み、「栃の実」として[[渋抜き]]して食用になる。食用の歴史は古く、[[縄文時代]]の遺跡からも出土している。例えば埼玉県川口市の赤山遺跡では栃の実の加工工場ともいうべき施設があったことがわかっており、大型の土器、臼代わりに利用された石、木製の水槽などが出土している<ref>{{Cite book |和書 |author1= 小山田了三|author2=小山田隆信|title=材料技術史概論 第3版|year=2001|page=31 |publisher=東京電機大学 }}</ref>。渋抜きは[[コナラ]]や[[ミズナラ]]などの果実([[ドングリ]])よりも手間がかかり、長期間流水に浸す、大量の[[灰汁]]で煮るなど高度な技術が必要だが、かつては耕地に恵まれない山村では[[ヒエ]]やドングリと共に[[主食]]の一角を成し、常食しない地域でも[[飢饉]]の際の食料(救荒作物)として重宝され、天井裏に備蓄しておく民家もあった。積雪量が多く、稲作が難しい[[中部地方]]の山岳地帯では、盛んにトチの実の採取、保存が行われていた。そのために森林の伐採の時にもトチノキは保護され、私有の山林であってもトチノキの勝手な伐採を禁じていた[[藩]]もある。また、各地に残る「栃谷」や「栃ノ谷」などの地名も、食用植物として重視されていたことの証拠と言えよう。山村の食糧事情が好転した現在では、食料としての役目を終えたトチノキは伐採され木材とされる一方で、渋抜きしたトチの実をもち米と共に搗いた[[栃餅]](とちもち)が現在でも郷土食として受け継がれ、土産物にもなっている。
 
粉にひいたトチの実を麺棒で伸ばしてつくる栃麺は、固まりやすく迅速に作業しなければならず、これを栃麺棒を振るうという。これと、慌てることを意味する「とちめく」を擬人化した「とちめく坊」から「狼狽坊」(栃麺棒、とちめんぼう)と呼ぶようになり<ref>{{Cite book|和書|author = 大槻文彦|title = 大言海 第3巻|url=http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1265336/282|accessdate = 2017-06-11|date = 1932年10月|publisher = 山房}}</ref>、「狼狽坊を食らう」が略されて「面食らう」という動詞が出来たとされている<ref>{{Cite book|和書|author = 大槻文彦|title = 大言海 第4巻|url= http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1265406/594|accessdate = 2017-06-11|date = 1932年10月|publisher = 山房}}
</ref>。
トチノキの若芽の粘液をたむしの患部に塗る伝統的民間療法が長野県秋山郷地域などにみられる<ref>『信州の民間薬』全212頁中20頁医療タイムス社昭和46年12月10日発行信濃生薬研究会林兼道編集</ref>。