「新株引受権」の版間の差分

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'''新株引受権'''(しんかぶひきうけけん)とは、株主が新株発行の際に発行される[[株式]]を割り当てられ、優先的にこれを引き受けることができる権利をいう。
 
[[2001年]]の[[商法]]改正以前は、「新株引受権付社債」について言われていた「新株引受権」は、現在の「[[新株予約権]]」とほぼ同内容の概念をさすものであったが、同改正により、新株予約権を単独で発行・譲渡できる制度が導入されたことに伴い、その後は全く別の概念をさす[[法律]]用語になった。
 
== 商法上の新株引受権 ==
===株式譲渡制限を設けている株式会社===
旧商法においては、[[株式会社]]は、その定款により、すべての株式に譲渡制限の定めをおくことが可能きるあったが、新株発行の際に株主以外の者に新株が発行される場合、既存株主にとっては、もともと投下資本回収の途が制限されている上に、さらに会社に対する支配の割合が低下してしまう、という弊害が生じやすい。このため、このような会社においては、[[取締役会]]で新株発行決議を行う場合は、株主に新株引受権を与えることとし(俗に言う「株主割当増資」)、株主以外の者に新株を割り当てる場合(俗に言う「第三者割当増資」の場合)は[[株主総会]]の特別決議(有利発行の際にはその旨情報開示も要する)を要することとしていた。
 
新株発行の際、新株引受権を他人に譲渡できる旨定められた場合は、新株引受権証書が発行され、引受権譲渡の際にその証書を譲渡すれば第三者に対抗できるようになっていた。ただし、株主の請求があるときに限り同証書を発行するものとすることは禁止されていなかった
 
なお、新株予約権または[[新株予約権付社債]]を発行する際にも、同様の規律(それぞれ「新株予約権の引受権」または「新株予約権付社債の引受権」とよばれる)に服するものとされていた
 
===株式譲渡制限のない会社===
一方、譲渡制限のない会社の場合は、投下資本回収は比較的容易であるため、上記のような弊害は起こりうるものの比較的軽微であるといえる。そのため、株主に原則として新株引受権を与える、という規制はおかれていなかった。したがって、授権資本制度の範囲内で、原則として取締役会の決議のみにより第三者に対しても自由に新株を発行できほか、株主に新株引受権を付与することも可能きるあった。ただし、第三者割当増資の際に有利発行を行う場合は、例外的に株主総会における情報開示および特別決議を要するものとされていた
 
== 会社法上の新株引受権 ==
[[会社法]]では、上記の新株引受権・新株予約権の引受権・新株予約権付社債の引受権に係る証書の制度は廃止されることとなった。そのため、これらの引受権が付与される場合は、基準日に株主である者のみが行使できる権利となる。また、自己株式の処分の手続と規定が統合されため、これまで概念が存在しなかった「自己株式引受権」についてもあわせて規定されることになている。
 
なお、商法と会社法の間で、株式の譲渡制限に関する制度が変更されているため、注意が必要である。
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[[公開会社]](譲渡制限のない株式を1株でも発行している会社)においては、これまで通り取締役会で新株発行・新株予約権発行・新株予約権付社債発行および自己株式処分の決議を行うことができる。その際、株主に引受権を付与することも、株主以外の者に新株等を割り当てることも原則として自由である。有利発行の規制も以前と変わらない。
 
また、株主に無償でこれらの引受権を付与することができる手続規定が新たに導入され。この場合には、発行される株式の種類が異なるものであっても差し支えない([[株式分割]]との大きな相違点の一つ)。
 
===公開会社以外の株式会社===
一方、公開会社以外の株式会社(発行する全ての株式に譲渡制限がついている会社)は、新株発行・新株予約権発行・新株予約権付社債発行および自己株式の処分は、いずれも原則として株主総会の特別決議を要することとした。ただし、株主に引受権を付与する場合、取締役の決定(取締役会設置会社にあっては、取締役会の決議)のみで発行できることを定款で定めることができるものとした。なお、無償による引受権付与(他種の株式に関するものでもよい)については、株主総会(取締役会設置会社の場合は、取締役会)の決議が原則として必要であるが、定款で別段の定めをすることも妨げられない。
 
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[[Category:商法|しんかぶひきうけけん]]